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商標登録に悩む中堅企業の幹部さんから受けやすい3つのご相談パターン

「会社に知的財産部がないし相談するあてもないから教えてほしいのだけど。。。」というのが、中堅企業の幹部さんからご相談を受けるファーストステップです。

中堅企業といっても業種や規模は無数にありますが、ここで紹介する「幹部さん」のざっくりとした人物像は以下です。

☑ 役職は部⻑以上
☑ 社⻑の右腕的存在
☑ ⼈事への発⾔権もある


①独占契約した海外のブランド名を商標登録したい

現地の国ではメジャーだけど日本ではマイナーなお宝ブランドを発掘し、日本での独占販売契約を結ぶケースがあります。

これは、衣類・スキンケア品・文具・自転車・雑貨・貴金属のような単価が高めな商品を取り扱う外国企業と、販路を持っている日本企業とが協力し、日本でブランド展開するビジネスモデルです。

商標登録は国毎なので、現地の国で商標登録されていても、日本で商標登録されていない場合がけっこうあります。

外国企業のブランドを日本に輸入する日本企業は、契約前にそのブランド名と似ている商標が既に登録されてないかどうかチェックすべきです。先に登録されているのに商品を輸入したら、その商標権を侵害してしまいます。

もし登録されていなければ、ブランド名を日本で商標登録したほうが安全です。その場合、外国企業と相談して、どちらが商標権を所有するかを決めましょう。外国企業または日本企業の単独名義か、双方の共同名義か、といったパターンがあります。


②文字かロゴどちらを商標登録すべきかわからない

商標登録の大原則は「実際に使う商標を登録する」です。文字もロゴもどちらも使うなら、両方商標登録すべきです。

とはいえ、ロゴは文字をちょこっと変えただけ、という場合もあると思います。このような場合、文字の変更度合、が重要です。簡単な目安は、下記①②③です。

定番フォント(明朝体、ゴシック体など)と言える程度の変更
⇒⇒文字のみ商標登録(ロゴは商標登録しない)
飾り文字(定番フォントではない)が文字をちゃんと読める変更
⇒⇒ロゴのみ商標登録
③定番フォントとはあきらかに異なる変更
⇒⇒文字もロゴもどちらも商標登録

①と②の見極めが難しいところです。この場合の簡単な目安は、下記ア)イ)です。

ア)今後もロゴを変更する可能性がある場合
⇒⇒文字のみ商標登録(ロゴは商標登録しない)
イ)文字では商標登録できるか微妙な場合(例:先に似たような商標が登録されている場合、普通っぽい名称の場合)
⇒⇒ロゴのみ商標登録


③商標登録したロゴと実際に使用しているロゴが違う

これもよくある相談です。商標登録した後、イメージチェンジのために数年したらロゴを変更することがあるためです。

これも文字の変更度合に応じて、変更後の新ロゴを商標登録すべきかどうか検討することをおすすめします。新ロゴが旧ロゴの商標登録の範囲から外れているかもしれないからです。

新ロゴが旧ロゴの商標登録の範囲から外れていたら、事実上旧ロゴを使用していないという理由で、旧ロゴの商標登録が取り消されてしまうリスクがあります。

さらに新ロゴを商標登録していないと、競合他社が新ロゴに似ているデザイン(見た目)のロゴを先に商標登録してしまうリスクもあります。


まとめ

あらためまして、中堅企業の幹部さんからされやすい商標登録のご相談は以下の3パターンです

①独占契約した海外のブランド名を商標登録したい
②文字かロゴどちらを商標登録すべきかわからない
③商標登録したロゴと実際に使用しているロゴが違う

商標登録の効力は文字を基準にするかデザイン(見た目)を基準にするかによって異なります。ロゴの場合、新ロゴと旧ロゴの変更度合によって、それぞれ商標登録の権利範囲(効力)が異なるため注意しましょう。

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