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絵が気になるし名前もいいし、芋づる式に興味もわくし【文豪春秋】

U子

文豪の逸話は大胆で突飛で奔放で。石川啄木も太宰治も永井荷風も、とてつもなく人間臭い。作家は自由だかっこいい。あこがれていました。

そんな明治の文豪・作家たちのエピソードが盛りだくさんな『文豪春秋』。小説好きにはわくわくするタイトルに、この絵です!

「変な人」「けったいな人たち」で終わらない読後感。好き。

今回は【文豪春秋】でいきたいと思います。

水木しげるが生前描いたもの?

書店に並ぶ本のなかで、ひときわ目立っていた表紙。絵とタイトルに吸い寄せられました。

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「水木しげる先生の新作?」「生前お描きになったものが出たの?」と思っってしまうほどの水木しげる感。しばらく勘違いをしていたほどです、

著者はドリヤス工場さんです。調べてみると、水木しげるタッチで描くパロディマンガ家さん。おじょうずで、話の展開もすごくおもしろい。これからウォッチし続けねば!

★ほかにもこんな本が!

菊池寛がナビゲート!昔話を聞いているみたいな心地よさ

文藝春秋の『文豪春秋』。文藝春秋を創設したのが菊池寛です。

この本では菊池寛の胸像が登場します。ザ・水木しげるタッチのぐうたらした社員に菊池寛像がお話を聞かせるという形。おじいちゃんの昔話を聞くような、とってもリラックスした気分になれる一冊です。

文豪のおもしろエピソードをまとめた本はたくさんありますが、オモシロだけで終わらないのがこの本のすごいところ。

いち文豪6P、プロフィール付き。菊池寛先生が友人の話をするように、とんちも効かせながら。全体像をつかみながらひとりひとりに印象に残るテーマがあり、哀愁があるんです。そして、菊池寛にも親近感がわいちゃう形。おもしろいじいちゃんだなあとしみじみ読み込みました。

久米正雄を調べてみたら…思わぬ遭遇

読書をすると、思いがけない出会いがあります。シナプスがつながるように、急に過去と今がつながることがあるんです。

『文豪春秋』でも同じ現象が起こりました。

たくさんの作家のエピソードが登場しますが、特に印象に残ったのが、夏目漱石の娘・筆子を2人の作家が取り合う「憂鬱な門人」の回。三角関係が、それも夏目漱石界隈で、物語ではなくてリアルにあったとは。

三角関係てロマンだとおもっています。取り合う者同士の関係や、勝者と敗者のものがたりも見ものだし、三角関係は題材としても興味深いし。ふたりについても知りたくなります。

ここで登場するのが、作家の久米正雄と松岡錠。明治24年生まれの同い年のふたりです。章の最後にある久米正雄のプロフィールを見てびっくり。

久米正雄はご近所じゃん。ひいじいちゃんと同じくらいじゃん。

久米正雄を調べてみると(Wikipediaなど)、昔聞いたことがあったお話がまさに久米正雄のお父様のことでした。おそらく祖父に聞いた話だったかな。

小学校が火事で焼け、御真影も焼けてしまう。校長がその責任をとり割腹自殺をされたという、明治時代半ばの一件のこと。

記憶の片隅の片隅、隠れたところに残っていた微かな欠片が、急にミリミリと触手を伸ばし、記憶と記憶をつないでいきました。

読書から始まる呼び水現象が好き

一冊の本が呼び水となり次の一冊に出会う。興味が芋づる式にどんどん増えていく。読書は呼び水現象です。

不意に出会った久米正雄。今がきっと久米正雄を知るタイミングかな。次に読む本も決まりました。

また違うタイミングで読んだら別の呼び水もありそうで。だから読書はやめられないのです。

文豪春秋
ドリヤス工場・著
文藝春秋



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