見出し画像

NPOセミナー開催報告 ~気候ネットワークの平田理事をお迎えして~

先日、スパークスのサステナブル投資チームとして初の試みとなる「NPOウェビナー」を開催しました。
スピーカーは地球温暖化防止に取り組むNGO/NPOの気候ネットワーク。
参加者は上場企業のIR担当、ESG担当。

NPOが上場企業のIR担当に向けてプレゼンテーションをする場面は日本ではまだあまりお目にかかりませんし、それを運用機関が主催するというのも、私が知る限り過去に事例がありません。

そこで、我々がこのような珍しい形のウェビナーを開催するに至った経緯や、開催を通じて得た学びについて記してみたいと思います。

ウェビナー概要

当ウェビナーのスピーカーを務めていただいたのは「気候ネットワーク」の平田仁子さん。

気候ネットワークは昨年、今年と続けてメガバンクに対して株主提案をしたことで注目されている団体です。また、平田さんご自身も今年6月に環境保全活動界において著名なアワードである「ゴールドマン環境賞」を受賞されたばかり。

一方でウェビナーの参加者は主に上場企業のIR担当、ESG担当の方々。スパークスの情報発信に関心をもたれている方を中心に参加を募りました。

政府のカーボンニュートラル宣言以降、日本でも気候変動対策の重要性が急上昇していることに加え、気候ネットワークや平田さんがメディアに取り上げられることが増えたこともあって、事前申し込みに対して実際の参加者が9割を超えるという非常に参加率の高いウェビナーとなりました。

開催の背景

なぜスパークスのサステナブル投資チームがこのウェビナーを開催したのか。
根柢にあるのは日本全体のESGを底上げしたいという思いです。

我々の戦略に投資いただいている資金の大半が欧米の投資家。そのため海外のESG情報に触れる機会が多いという点に特徴があります。
そのインプットを上場企業のみなさんにお届けし、日本全体のESGレベルを引き上げることに貢献する。
そうすれば日本市場全体に対する世界の投資家の評価が高まり、結果として我々のファンドパフォーマンスが高まり、資金をお預けいただいている投資家の期待に応えることにもつながります。
欧米では営利セクターと非営利セクターが活発に交流していますが、日本ではまだ活発とは言えない状態です。
そこで、両者の橋渡しをして対話を促進することには大きな意義があるのではないかと思い、今回の企画へと考えが至りました。

では、数あるNPOの中でなぜ気候ネットワークの平田さんにスピーカーをお願いすることになったのか。
そもそもの発端は気候ネットワークを含む複数NPOから、スパークスがお手紙をいただいたことにあります。
手紙の内容は、ある投資先企業に対してのダイベストメント(全売却)の要請。気候変動影響の大きさを理由に保有株を売却してほしいという内容でした。

ESGを理由としたダイベストメント要請を受けるというのはスパークスとして過去に例のないこと。
どのように対応していいかわからず困っていたところ、当社のESGアドバイザー経由で気候ネットワーク理事の平田さんを紹介してもらうこととなり、ミーティングを行うこととなりました。

対話を通じて、気候ネットワークが気候変動対策について多くの知見を有していることに加え、その考え方が極端に偏ったものではないということを確認できました。

スパークスとして、気候ネットワークの意見を全面的に賛同している訳ではありませんが、20年以上の活動実績に裏打ちされた確固たる意見は多くの方に紹介する価値があると考えて、スピーカーをお願いしました。

内容とフィードバック

平田さんからは気候変動対策に取り組むことの意義に続けて、日本全体の脱炭素化に向けて、より多くの企業を巻き込んだ動きが必要という考えをご披露いただきました。

今回のウェビナーでは気候ネットワークが従来エンゲージメント対象としてきた、温室効果ガスの排出が多い企業や、そこに資金提供している企業以外も多く参加されていました。

プレゼンテーションの最後には「企業に期待すること」という内容として、以下のような提案がありました。

・学びと共有
・気候目標の共有と自社目標設定と計画化
・時間軸への配慮したトランジション(移行)の道筋の厳格な選定
・スコープ1・2・3*(温室効果ガス排出量)の総合的対応
・開示
・ジャストトランジション(平等で公正な方法での脱炭素社会への移行)
・支援・要請・協力・連携
・新しい常識への明るいビジョンを持ち示すこと

*スコープ1.2.3についてはこちらでも取り上げています

話の中で印象的だったのは、株主提案をしたことによって気候ネットワークの活動のレベルが上がったという点。株主提案をきっかけに今まで別世界にいた投資家との交流が生まれ、それが活動のヒントになっているとのこと。投資が世の中に与えるインパクトの大きさを実感し、今後は積極的に投資家とのつながりを増やしていきたいという発言がなされました。

ご参考までに、参加者からのフィードバックの声をいくつか紹介させていただきます。

・非営利の観点での情報を受ける機会が少ないため、参考になった。
・普段会う機会のないNPOの取り組みと展望を聞くことができ、勉強になった。
・株主提案と言う形で積極的に企業に働きかけている活動が刺激になった。
・気候変動対策として、取引先の高排出企業に働きかけをするのも一つの方法だということが分かった。
・今後のIR開示に生きる具体的な提案が欲しかった。

まとめ

以上、NPOウェビナーの開催報告でした。

上場企業のIR担当、ESG担当の方々の中で、気候変動対策はもちろんのこと、NPOの活動ついての関心が高まっていることを強く感じる機会となりました。

とはいっても、アンケートでNPOとのコミュニケーションを積極的に取りたいと答えたのは参加者の4分の1程度でしたので、多くの方がどのように付き合っているのかを探っているのが現状のようです。

歩み寄る意思がありながらお互いに躊躇している上場企業とNPO。
我々が間に入ってその橋渡しになることの意義の大きさを感じましたので、今後もエンゲージメント活動の一環として同様のイベントを企画していきたいと考えております。

※内容は個人の見解を元に書いているため、スパークス全体の見解とは異なることがありますのでご了承ください。

この記事が気に入ったら、サポートをしてみませんか?
気軽にクリエイターの支援と、記事のオススメができます!
スパークス・アセット・マネジメント(https://note.sparx.co.jp/)所属。サステナブル投資チーム、ファンドマネージャー。ESGを軸とした経営改善企業を投資対象とする。対話を通じてその活動をサポートすることでステークホルダー価値と経済価値の両立を目指す。