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6月 俺的化学業界ニュースまとめ+関係特許の調査

6月の化学業界ニュースで印象に残ったものをまとめていきます。+して、月に気になったニュースに関する特許を限定して3つ見て、コメントしていきます。

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野崎さんのツイート


こちらに関する野崎さんのツイート。以降このような感じで調査、そしてそれに対するコメントを入れていきます。


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Stratasysについて


Stratasysは米国ミネソタ州エデンプレーリーに本拠を構える3次元造形機、3Dプリンタの専業メーカーです。3Dプリンタの検索をすると必ず出願数上位にいます。当該材料はナイロンと炭素繊維の複合材料を3Dプリントのフィラメントにしている。

関連特許を探す

DB: J-platpat(本記事はJ-platpatのみで検索する)
検索式:[ストラタシス/AP][炭素繊維/TX][ナイロン/TX]

材料はおそらく、この特許に関係している関係している。

(11)【公表番号】特表2019-506313(P2019-506313A)
(43)【公表日】平成31年3月7日(2019.3.7)
(54)【発明の名称】ポリアミド形成材料を使用する三次元インクジェット印刷

記載としては、下記の通りである。

(57)【要約】
三次元3Dインクジェット印刷によって、ポリアミド含有材料から作られた三次元物体を造形するために有用な配合システム、及びそれを使用する方法及びシステムが提供される。配合システムは、少なくとも第一及び第二造形用配合物から形成され、それらは、ラクタム、及び第一配合物においてラクタムのアニオン開環重合を誘導するための触媒、第二配合物においてラクタムのアニオン開環重合を促進するための活性剤を含む。さらに、第一及び/又は第二配合物には硬化エネルギーにさらすと重合速度を増加できる化合物を含み、活性剤として、ラクタムでブロックされたポリイソシアネートを含み、第一造形用配合物にはその融点を低下できる少なくとも一種の材料を含む。選択された比率で使用可能な配合システムがまた、提供される。


【0408】
例示的なかかる薬剤は、本明細書に記載されるように、ポリアミン(例えばナイロン6)材料の配合物に使用可能な耐衝撃性改良剤を含む。
【0409】
例えば炭素繊維、カーボンナノチューブ、ガラスファイバー、アラミドKeylar、ポリパラフェニレンベンズビスオキサゾールZylon、及び他の極性及び非極性の耐衝撃性改良剤のような他の耐衝撃性改良剤もまた考えられる。

コメント


今後、単一材料だけではなく、様々な異種複合材料も取り扱うように3Dプリント業界は動いていくと思う。大量生産に向いていない3Dプリンタは、オーダメイドを行うことで価値の出るものをターゲットとするであろう。例えば、臓器など、、、材料ニーズもそちらに流れていくと考えられる。

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三菱鉛筆

三菱鉛筆株式会社は、日本の文房具製造会社である。鉛筆、色鉛筆、シャープペンシル、ボールペン、サインペンなどを製造・販売する企業であるが、顔料分散技術を利用し、LiB用CNT分散液で事業拡大を狙うとのこと。

関連特許をみていく。

検索式:[三菱鉛筆/AP]*[CNT+電池/TX]

材料はおそらく、この特許に関係している関係している。
(11)【公開番号】特開2021-181537(P2021-181537A)
(43)【公開日】令和3年11月25日(2021.11.25)
(54)【発明の名称】フッ素系樹脂粒子非水系分散体

記載内容は以下の通り

(57)【要約】
【課題】
微粒子径で保存安定性に優れており、長期保存後でも再分散性に優れると共に、各種の熱硬化樹脂などの樹脂材料や、潤滑剤やグリース、ワニス、塗料などに添加した際にも凝集せず、均一に混合させることができ、密着を必要とする用途において、良好な密着性を付与できるフッ素系樹脂粒子非水系分散体を提供する。
【解決手段】 少なくとも、フッ素系樹脂粒子と、テルペン骨格を持つ化合物と、非水系溶媒とを含み、上記フッ素系樹脂粒子100質量部に対しテルペン骨格を持つ化合物の含有量が0.1〜30質量部であり、水分量が20000ppm未満であることを特徴とするフッ素系樹脂粒子非水系分散体。

細かい内容は省略するが、おそらく、LiB用のバインダーとして使用される。


バインダーとは、正極あるいは負極の活物質同士 を結着させ、集電箔上に固定化することで電極構造を維持する役目を担うものである。

https://www.arakawachem.co.jp/jp/technology/20210713tec.pdf

コメント

自社の強みを活かした、良い例ではないだろうか?また、LiBのバインダーの市場は競争が激しいが、その中で顧客を勝ち取った戦略がとても気になる。


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UBE(宇部興産)

UBE株式会社は日本の大手総合化学メーカーである。

関係特許を調べていく。

検索式:[宇部興産/AP][ポリアミド/TX][でんぷん/TX]*[包装/TX]

(11)【公開番号】特開2006-161017(P2006-161017A)
(43)【公開日】平成18年6月22日(2006.6.22)
(54)【発明の名称】新規ポリオキサレート

発明背景内容は以下の通り。

【0003】
近年、地球環境に与えるプラスチックの廃棄問題の解決策として、ポリ乳酸に代表される再生可能な植物資源由来の原料を利用した材料開発が盛んである。その一つとして、でんぷんやセルロース等の多糖類からの分解及び変性によって得られる原料、中でも、でんぷんの加水分解により生成するグルコースを還元及び分子内脱水環化して得られるイソソルビドとジカルボン酸誘導体とから得られるポリエステルがよく知られている。
【0004】
イソソルビドを用いたポリエステルとしては、例えば、イソソルビドとテレフタル酸クロリドとから得られるポリエステル(非特許文献1,2)や、イソソルビドと芳香族又は脂環式ジカルボン酸とから得られるポリエステル(特許文献1)が開示されているが、特に後者は液晶用途を目的としたものであり、耐熱性や生分解性等については何の記述もされていない。
【0005】
その他、イソソルビドと脂肪族ジカルボン酸誘導体とから得られるポリエステルとして、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸のそれぞれの酸クロリド化合物を使用して合成されるポリエステルが知られている(非特許文献3,4,5)。しかし、これらのポリエステルはいずれも生分解性を有するが、融点を示さず、非晶性であり、ガラス転移温度も最も高いコハク酸クロ
リドを使用した場合で高々36℃程度と非常に低く、プラスチックとしての実用性に欠けるものであった。
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の課題は、従来技術の問題点である耐熱性の大幅に向上したイソソルビド系生分解性ポリエステルを提供することにある。

また、関係のあると考えられる理由記載を並べると、

【0012】
また、本発明のポリオキサレートフィルムは、耐熱性、耐薬品性、透明性に加え、酸素バリア性に優れているので、食品、医薬品、化粧品、精密機器,家電製品等の包装材料或いは包装容器として特に有用である。なお、本発明のポリオキサレート及びポリオキサレートフィルムは、生分解性を有する上に再生可能な植物資源由来の原料を利用しているため、廃棄に伴う地球環境への負荷が非常に少ないものである。
【0033】
また、配合できる他の重合体としては、天然又は合成高分子が挙げられる。天然高分子としては、例えば、デンプン、酢酸セルロース、キトサン、アルギン酸、天然ゴムなどが挙げることができ、合成高分子としては、例えば、ポリカプロラクトン又はその共重合体、ポリ乳酸又はその共重合体、ポリグリコール酸、ポリコハク酸エステル、コハク酸/アジピン酸コポリエステル、コハク酸/テレフタル酸コポリエステル、ポリ(3−ヒドロキシブタン酸)、(3−ヒドロキシブタン酸/4−ヒドロキシブタン酸)コポリマー、ポリビニルアルコール、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレ−ト、ポリブチレンテレフタレート、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリグルタミン酸エステル、ポリエステルゴム、ポリアミドゴム、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体(SBS)、水添SBS等のゴム又はエラストマーなどを挙げることができる。

でんぷんとポリアミドゴムを配合できる記載、包装用途の記載がある。

コメント


公開は2006年であり、当時は生分解性材料がまだニーズ高くない時期だったはずである。将来への投資として、開発を進めていたとしたら、10数年でそれが花開き始めていると思うと胸が厚くなる。

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