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小束弓月
2021年6月18日 19:39
第二章 雪を纏う夏草 瀬戸の海に浮かぶ島々を見渡す讃岐国五色の峯の西には綾川が流れている。文月下旬のある晴れた日の昼下がり、両者の間にある松山の津という小さな港を目指し、摂津国大物浦を出港した三隻の船が現れた。島々を縫うように先導する小さな漕ぎ船の上では、小柄で色黒の筋骨逞しい男が漕ぎ手の屈強な男衆を怒鳴りつけていた。それに続く帆船は漕ぎ船の数倍大きく頑丈な作りで、湿り気を帯びた緩やかな風を帆
2021年6月18日 19:56
小説「雪を纏う夏草」を紹介した短編ビデオです。朗読:和泉スズ