東雲

本当に暇になった時だけ筆をとります。 写真関連のことを書いたり書かなかったり。 X-…

東雲

本当に暇になった時だけ筆をとります。 写真関連のことを書いたり書かなかったり。 X-T20/X-T5

最近の記事

    • 追憶する春

      こんにちは。東雲です。 カメラを手に取り写真を撮り始めて丁度一年、FUJIFILMのカメラを手にしてからは初めての春が先月終わりを迎えました。始めたばかりの頃の尖った思想も今は削れてしまい、良くも悪くも洗練されてしまったような気がしています。これから夏になるまでの間に少し湿った気分になることが多くなるのでその時はメッセージ性強めの写真を撮りたいと思っています。 前置きはこのくらいで以下、僕の春です。

      • 旅路(END)

        雨の僕を乗せてバスは重い脚で君の街から遠ざかっていく。右手と、昨日も着たニットからは初めて吸った彼女のパーラメントの匂いが微かに残っていて、それは意図的に、脳内に蜃気楼を出現させる。人生最良の日々だったこの3日間の蜃気楼を。エビングハウスが言うように、人間は忘れる生き物だから、僕はこの蜃気楼を一生見るつもりでいる。ただもし、僕の告白が実を結ぶのなら、一生ではなくなるかもしれない。想いが受け入れられるかは、まだわかっていない。いずれにせよ、数日後泣きながら煙草を吸っている自分は

        • 旅路4

          蛍光灯を挟んだ頭上を這っているそいつはなんなんだと言いたげな私を横目に天使の梯子が峡谷を照らしている。終着まではまだまだ時間がかかる。私の地元よりも辺鄙なところに来たようだ。先程乗客が一名降車した際に立ち上がったバスの運転手を見て映画「パターソン」を思い出した。 あの終始何も起こるわけでもなくゆったりと時間が過ぎてゆくあの映画だ。私はこの映画を観た当時、パターソンの世界に強く憧れた。何も変化のない世界に憧れたのではない。あの時間の流れ方に憧れたのだ。この世界は、というよりこの

          旅路3

          今朝の遅延の影響で終着行きのバスがようやく出た。遅すぎる。と言いたいところだが待ち時間の間に南京町を軽くまわることができたのでよしとする。 空の気分がよく変わる県だなぁと思いながらシャッターを切っていた。 こんなに楽しんでしまっていいんだろうか。 自分のことを知っている人が誰一人いないと確信しているから伸び伸びと動ける。 僕は普段から幾つもの仮面を持ち歩いている。 対友人の仮面、対家族の仮面、対知り合いの仮面、対親友の仮面、対会社の人間の仮面...本当の自分が現れるのは単独

          旅路2

          海を渡るまで時間がまだあるようなのでワンクッション置いてみる。 高槻を過ぎた。普段電車に乗らないせいで後ろ向きに進む座席に座ってしまったことに発車後気付いた。酔いそうだ。ここまで来るとやはり雪は全くなく、緑も少ない。 上を見上げる回数も多くなった。 今は吹田。 数ヶ月前に行ったPK shampooのライブを思い出す。彼等以上のバンドはもう生涯見れないんじゃないかと思える、そんなバンド。こんなに有名になってしまったらライブ当たらんやん。京都全落ちした。日本○ね。 新大阪に停まっ

          旅路1

          独り、電車に揺られている。 あと30分もすれば京都に着くらしい。 終着まではまだまだ時間がかかりそうだ。 右を向けば山、左を向けばすぐ海が見える路線。 雪深かった風景が次第に溶けるように熱を帯びて、数時間前までいた場所が本当に同じ国なのかと錯覚する。 吹雪で遅延した影響で目的地への到着時間が4時間も伸びてしまった。現地で過ごせたであろうこの4時間の後悔はきっと復路の電車内で重くのしかかるのだろう。今はそれを忘れるように耳の中に直接爆音のノイズを流している。頭の片隅で充電が切れ