坂戸 優侑 *yu_sakado

ひとりでもいい。少しでもいい。 読んだ人の心に、何かが残ればいいな。 と思いながら書いてます。 『【短編小説】楓恋とタケシさん』一話完結でのんびり更新中。
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【一話完結】楓恋とタケシさん (1)

-春、桜餅と八重桜- 「桜餅食べたい」 ロングスカートを器用に折りたたんでしゃがみ込んだ楓恋(かれん)が、両手で頬杖をつき、彼を見上げて言った。 「あそこにあるん…

蜘蛛を見ていた

8:00前の電車。 空いてるとも、混んでるとも言えない車両の通路に立ち、ぼうっとしていると、つり革とつり革の間に巣をはって、その中心にいる蜘蛛を見つけた。 コロナで…

質問してください、がつらい

「話を聞き終わったら、ひとりひとつ質問してください」 子供の頃から、これが嫌いだった。 なかなか質問が思い浮かばず、ああ、自分は考える能力がないやつなんだと、毎…

【小説】左利きの三好さん

好きな人が、いる。 6つ上の会社の先輩。 企画部の一番若手で、周りの社員全員に可愛がられている。 背が高くて気さくで、くせっ毛の長めの前髪からのぞくたれ目が、笑う…

【エッセイ】バケツをひっくり返したような雨とバケツをひっくり返したように落ちた私の気分

その日は朝から土砂降りだった。 傘に当たる雨の音で、雨粒が大きいことが分かる。 途切れることなく鳴り続ける雨音が、不思議とだんだん心地よくなってきた。 その理由…

悔しすぎた12歳、冬。

「ああ、今日は私、真剣に歌ってるなあ」 ちょっと気だるくなる、卒業式の練習。でも、その日は真面目に、しっかりと口を開けて歌い、上記の自覚を得ていた体育館での卒業…