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宮本武蔵『五輪書』

友人から頂いたので読んでみました。

晩年、洞窟に籠って書いたという『五輪書』。
「二天一流」と武蔵自ら命名した二刀流の「兵法指南書」。決して剣術だけではなく、現代人の、乱世を生き抜くヒントも与えてくれる、人生の指南書、とも評され、英語やフランス語にも翻訳されているとか。

「地ち・水すい・火か・風ふう・空くう」の5巻からなり、この五つの要素は、仏教において宇宙を構成するものとされているそうです。

「地之巻」は、兵法の道の概略、及び、二天一流の見方や考え方を説き明かす。

「水之巻」は、生命の源である水を兵法の手本とし、心を水にする、と説く。一を知って万を知ること。それが兵法の道理。

「火之巻」は、戦いについて。火には大小強弱があり、火勢の凄まじさや変化の激しさがあり、それが戦いに通じる、と説く。火のように変化が激しく、一瞬を争うので、日々の鍛練を怠らず、十分に習熟した上で、平常心で敵と対峙することが、兵法の極意となる。

「風之巻」は、「二天一流」とは関係のない他流派の兵法について。世間に存在する兵法とそれらの流派の技を明確に書き記す。他の流派を知らずして己の技を上達させることは難しい。

「空之巻」は、意識することなく自然に真の兵法の道へ入ってゆく方法を説く。空という以上、奥もなければ入口もない。空が何であるかを知るには、勝つ道理が理解できたら、一度その道理から離れるとよい。

「九ヶ条の戒め」
一、よこしまな心を起こさず、正しいことを考えること。
二、兵法の道は鍛練にあるということ。
三、諸芸に触れること。
四、様々な職能の道を知ること。
五、物事の利害損失を見抜くこと。
六、物事の本質を見極められる眼力を持つこと。
七、目には映らないところも推理し、察知すること。
八、微細な変化、動きも見逃さないこと。
九、役立たないことはやらないこと。

武蔵は、心技体の全てで相手を凌駕できていれば負けることはない、と説く。
具体的な剣術として、相手の顔を切る、心臓を射す、確実に殺すことについても書かれていますが、心理的要素などに関しても綴られています。
わざと時間に遅れて相手をイライラさせる。
太陽が出ていれば必ず自分の背に太陽が来るように、というのも興味深い。

「目付めつけ(目配り)」には、
心で見る「観」と、目で眺める「見」がある。

「読むだけで十分とか、習うだけで満足だなどとは決して思わず、書かれたことだけを真似すればよいというような横着な考えも捨ててもらいたい。いつも自分自身の身に当てはめて理解することを心掛けてほしい。」

この辺りは、自己啓発本やビジネス本をただ読んで、分かったつもりになり、実生活の中に落とし込んで活かせていない、という自分に改めて強く入ってくる言葉です。
エリー学園入学を機に、ブログを始めようと決意しました。自分が何を考え、感じ、思っているのかを、よく自己対峙し、客観的に見つめ直し、アウトプットすることによって、自己意識の持ち方、在り方を再認識する。そこから再びインプット→アウトプット→再認識再確認というサイクルへとうまく組み込んでゆく、まさに訓練の最中です。
「九ヶ条の戒め」も、まさに最近改めて意識し直していることが多かったので、また一つ一つ深めて考えてゆきたいと思います。


15歳で、関ヶ原の戦いに参戦
29歳で、佐々木小次郎と巌流島決闘
31歳で、大阪夏の陣に参戦
55歳で、島原の乱に参戦
60歳で、『五輪書』執筆
62歳で、癌で死去

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