アニメ:鈴木敏夫が語る宮崎駿の才能を培った原点

https://www.youtube.com/watch?v=xVDVo21Shtw

先日、今から手掛けるアニメプロジェクトのヒントを得ようと、

似た立場の川村元気氏のインタビューを漁った。

そこには「集合的無意識」というワードが頻繁に登場した。

「集合的無意識」、いわゆるみんながなんとなく思っていることだ。

それを言語化することで、「あ~、それそれ!」という反応が起きる体験は、

誰しもが経験することだ。

余談だが、この「それそれ!」と言っているときに感じる、

胸中に潜むモヤモヤが晴れる快感を「カタルシス」と呼ぶのを、

高校時代国語の先生から教わったことを、ふと思い出した。

で、

川村元気はいかに「集合的無意識」を見つけるのかというと、

日常生活の中で違和感を覚える瞬間をとにかく集めることだ。

「なんでだろう?」と思うことを、スルーせず反芻し考える。

ふと、「こういうことなんじゃないか」とひらめきを覚えることがある。それが紆余曲折を得て、企画に落とし込まれるという運びだ。

思えば前職の広告会社で、これと似た経験をした。

企画を立てるときの話だ。

企画を作るには、まず圧倒的にその業界を知らなくてはならない。

新入社員は文字ベースでwikiレベルの知識をおぼえ、

先輩に生の情報をヒアリングし、現場に出て、各々の目で1次情報を集めていく。

そう、大事なのは、1次情報である。

言い換えれば、自分の五感で得た情報だ。

前職の営業スタイルは、コンサル営業と言われる。

商品を売るだけじゃなく、クライアントの困っていることを解決してあげることに重きを置くスタイルだ。

ここで味噌なのは、困っていることを解決させることではなく、困っていることを見つけることだそうだ。

解決する手段がないことも、もちろん多いにあるが、往々にして「解決できない」状況を作り上げたのは、

間違った課題を定義したことが原因。

例えば、

A社では仕事ができないB君の存在がネックだと言われる。

営業の成績は絶望的、クライアントからクレームが絶えない、

人件費かかるだけならまだしも、既存の売上をも脅かす。さっさと解雇してしまいたい。

とはいえ労働法の厳しい日本ではレイオフにもできないし、自主退社をすすめるもその気配はなし。

とりあえず、窓際で書類整理の仕事を与える。給料が上がらなければそのうちやめてくれるだろう。

しかし、である。

B君にいろいろヒアリングしてみると、周りから言われているようなことでもないのがわかる。

渡されるのはクレーマークライアントばかり、元々奥手なため考えたことは周りにうまく伝わらない。

せっかくなので、彼の考えをいろいろヒアリングしてみる。

すると、言っていることは意外と筋が通っていることに気づく。

じゃ、B君を企画部に異動させてはどうかと、提案する。

半年後、B君は営業部隊の推進担当という重役を任されることになる。

実際にあった話である。

このケースをもって言いたいことは、ディティール観察の大切さである。

誰でもみればすぐにわかる問題でないからこそ、解決できずに困っている。

自分の五感で情報を集め、仮説検証を繰り返す。

そこにはじめて本当の課題が顔を出す。

このことは、どうやら映画、アニメ映画の世界においても同じである。

ディティールまで把握しないと、思い込みで企画を作ることになる。

思い込みで建てた企画は、実態とかけ離れていることが多い。

だから、思い込みだけじゃ仕事にならない。

とは言え、思い込み=仮説そのものを否定しているわけじゃない。

大事なのは、仮説と、それを検証するアクションのセットだ。

前職らしい言い方をすれば、PDCAサイクルを回すことである。

前置きが長くなったが、

鈴木敏夫氏いわく、宮崎駿が才能を培った契機も、

どうやらディティールにある。

宮崎さんは、高校から4年間、毎日井の頭公園で通行人の写生をしていた、

というのだ。

そしてこの4年間の写生を通じて、

宮崎さんは老若男女の歩き方の違い、くせ、動き方、話し方などの

ディティールをキャッチする力を得る。

生意気ながら、大変共感できるものがある。

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