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副業(複業)している場合の実務経験ってどうなるの?

障害福祉業界を明るくしたい行政書士の篠原です。

サービス管理責任者として認められるための要件の1つに「実務経験」がありますね。

世間では副業を認める風潮が出始めており、副業を解禁する企業が増えてきていますね。障害福祉サービス事業の従業員でも副業している方も増え始めているのではないでしょうか?

よく見かける例として平日は就労Bや放課後等デイサービスの従業員として働きながら、土日に行動援護のヘルパーをしているようなケースです。

今回お伝えしたい内容はこのように副業(複業)をする従業員の実務経験についてです。

実務経験とは

実務経験は以下のようになります。

①相談支援業務が5年以上身体上・精神上の障害があること又は環境上の理由により日常生活を営むのに支障がある者の日常生活の自立に関する相談に応じ、助言・指導その他の支援を行う業務

②直接支援業務が5年又は8年以上身体上・精神上の障害があることにより日常生活を営むのに支障がある者につき、入浴・排泄・食事その他の介護
社会福祉主事任用資格者、ホームヘルパー2級修了者、保育士等の場合が5年

③国家資格取得者で①・②の業務が3年以上:医師、歯科医師、薬剤師、保健師、助産師、看護師、准看護師、理学療法士、作業療法士社会福祉士介護福祉士、視能訓練士、義肢装具士、歯科衛生士、言語聴覚士、あん摩マッサージ指圧師、鍼師、灸師、柔道整復師、管理栄養士、栄養士、精神保健福祉士

相談支援業務の場合は以下で働いていたような方が実務経験として認められます。

児童相談所、地域包括支援センター、障害者就業・生活支援センター(ナカポツ)

直接支援業務の場合は以下で働いていたような方が実務経験として認められます。

障害者支援施設、障害福祉サービス事業、病院、訪問看護ステーション

埼玉県で認められる実務経験が以下となります。実務経験証明書を発行した際には申請の担当窓口に確認をした方が望ましいです。

1年あたり180日以上であることが必要になるため、①〜③の実務経験では以下の日数を証明する必要があります。

5年以上 → 900日以上
②5年以上又は8年以上 → 900日位以上又は1440日以上
3年以上 → 540日以上

実務経験に関しては放デイラボの小澤信朗先生の動画で詳しく説明されていますので、こちらもご覧になってみて下さい。

副業(複業)する場合の実務経験

こちらの副業ケースで実務経験を考えてみましょう。

保育士取得者の実務経験
放課後等デイサービス(常勤・平日のみ)の勤務期間:2014年4月〜2017年3月(3年:780日)
行動援護の勤務期間(土日のみ):2015年4月から2017年6月(2年2ヶ月:224日)

このように2つの事業所から実務経験証明書を取得できれば、5年2ヶ月かつ1004日の実務経験となりますので、サービス管理責任者の実務経験としては問題がないように見えますね。

ですが、副業(複業)している場合の実務経験はどちらか一方の実務経験しか認められません

この場合ですと放課後等デイサービスの方の実務経験は認められますが、2015年4月〜2017年3月までの行動援護の実務経験は認められません。

実務経験の日付が重なっている合算期間を行政は認めないので、放課後等デイサービスを辞めた2017年4月以降の行動援護の実務経験でないと認められません。

上記の期間ですと行動援護の実務経験として認められる期間は2017年4月から2017年6月までの期間となります。土日だけの勤務ですと、行動援護の実務経験は16日しか認められません

つまりこのケースの実務経験は「3年・796日」となりますので、サービス管理責任者の実務経験は満たしていないこととなります。

ここでこんな疑問が頭に浮かんだ方はいませんか?

「保育士」って国家資格だから3年かつ540日の実務経験で良いんじゃないの?

この疑問が頭に浮かんだ方は半分正解しています。

保育士は国家資格ですからね。

しかし、サービス管理責任者の実務経験で紹介した③の国家資格に保育士は入っていましたでしょうか?

残念ながら入っていません。

サービス管理責任者の場合、保育士は②の実務経験となりますので、「5年かつ900日以上」の実務経験がないと認められないのが答えです。

ただし、サービス管理責任者等基礎研修の受講要件は満たしておりますので、研修の受講が終えていない場合でしたら、受講することは可能になります。

基礎研修と実践研修を終えても事業所のサービス管理責任者として認められるためには「残り2年・104日」の実務経験が必要になりますので、副業(複業)してまで実務経験を得るために無理をする必要はありません。

むしろ見落としで事業所のサービス管理責任者として認められてしまうと実地指導で指摘を受ける可能性は間違いなくあります。

最近は人員基準違反による障害福祉サービス等報酬の返還に関するニュースが目立っていますね。

こんな記事も書きました。

実務経験も気をつけて頂きたいポイントです。

保育士に関するちょっとした独り言

余談になりますが、保育士の難易度はどんどん上がってきていますね。
受験したことはありませんが、受験者の話を聞いた限りでは社会福祉士や介護福祉士より難しい試験じゃないかと思っています。

保育士の難易度を考えるとサービス管理責任者の実務経験に含まれる国家資格として認めるか否かは賛否両論かと思いますが、現時点では認められていません。

少なくとも鍼師や灸師よりかは保育士をサービス管理責任者の実務経験に含んでも良いんじゃないかなとは思いますが、何か理由があるのかもしれないですね。

障害福祉サービス事業を始めたい方が指定申請に向けた準備をする際に役立つ情報をこちらにまとめております。お役立てください。


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