1日1枚 Vol.359 12月17日 開催が決まってから

告知4回目

巡回展_お知らせ

大阪は難波にある御堂筋グランドビル2階の富士フイルムイメージングプラザ大阪で写真展「孵化」を開催しています。

ちなみに、こういった個展をちゃんとやるのは初めて。
グループ展とかコンペに入賞して、みたいな展示は過去にと言っても10年以上前の話になりますが、何度もやっています。

写真って実際に紙にプリントしたものと対面すると、ディスプレイの透過原稿とはまた違った見え方をするし、プリンターの技術とか会場の設営とかそういった諸々の影響もあって違う表情を見せてくれます。
なので、
「自分の写真展に来て下さい!」
というよりは、
「写真展を実際に体験して欲しいです」
という気持ち。
最近では目にする機会の減った銀塩プリント。プロラボのプリント技術で表現出来た深く滑らかなトーンが本当に美しいので、色んな角度や距離で写真を見て欲しいなー、という感じ。


で、写真展の開催が決まってからの話。
「これ、良いんじゃないの?」と一応まとめた写真を毎日何度も眺めること約1ヶ月。
悪くないと思っていた写真にまるでピンと来なくなりました。
なので継続して仕事の合間に撮りためる、は続けていました。
でも、コロナで思うように撮影には行けないから焦ります。
仕事もやるんだかやらないんだか、見通しがまるで立たなかったからね。

モノクロで行こうと腹を決めてはいましたが、可能性は拾っておきたいのであれこれ撮り進める感じ。

スクリーンショット 2021-12-16 1.07.21

こんなのとか。


かと思えば1枚1枚作り込むのが良いのかも??と思って

スクリーンショット 2021-12-16 1.11.29

こういう感じにしてみたり、

スクリーンショット 2021-12-16 1.11.54

全体じゃなくて一部にクローズアップしてみたり。

起承転結の「転」になるような写真を撮らなきゃ、と右往左往していました。
候補作が300を越えた辺りで、全くまとまらなくなったのでシンプルに行こうと。これが6月末。
7月は撮影出来ませんでした。
時間だけはあったので毎日印刷してました。
結局、初志貫徹ということで当初の計画通りモノクロでモチーフは引きでビル、レタッチも無し!と決めたのが8月の頭。

8月の中旬に入るとポスターとDMデザイン、ステートメントを本格的に仕上げなきゃいけません。
というのも、だいたい開催の1.5〜2ヶ月程度前には欲しいってことだったからね。開催は10月末です。
この時点では写真の80%は決まったけど、まだピンと来てない写真があったし、タイトルもR.S.I.にするつもりでした。
が、ピンと来ている訳でなくて。


技法をタイトルにする、という案も悪くは無いけど、シックリ来る言葉が見つからない状態。レイアウトも考えなければ。そういう決まってない事が多いという時間は心を消耗します。

そんな時は、このシリーズを撮り始めた時の気持ちを思い返すようにしていました。

こういう写り方をする事もあるんだ、を楽しんで欲しいのが気持ちの根幹です。
あとは綺麗ないわゆる絶景写真に対するアンチテーゼというか。真っ直ぐ写ってなくても良いじゃない?という感じだな。

ちなみにこの時点での見せ方は全部小全紙で額装を想定していました。


カタチの在り方とか見え方とか、実際にワンショットで撮れてるっていう「リアル」であることの証明とか。カメラという道具が媒体になって別の次元を見せてくれる感じとか。色んな要素を含めながらも、順路や流れに捉われず1枚1枚を楽しんで貰えるように。

そんなこんなで、タイトルが決まったのは8月末。29日だったかな。

DMのデザインは自分でやってみました。プロにお願いする気マンマンだったけど、どうせなら出来るところまでやってみようと。

画像6

結果シンプルに。
※入稿データのスクショなんだけど、上下がうまく切り取れない不具合で変な感じになっています。


気付けばテストプリントのデータを渡すまで1ヶ月を切ったあたり。レビュー仕事がチラホラ復活し始めたので、撮影仕事の合間に撮る、をやっていました。

撮影した日は少ない時で1日600ショット、多い時で4500ショット。平均すると1回の撮影で大体2500-3000ショットくらい撮ってました。と言ってもワンシーンで3-400枚撮るから8モチーフ撮れれば良い方。
あれ?と思って撮影を開始してからの撮影総数は55,000ショットくらい。撮影日数だけで言えば16日だったりもします。そのうち80%以上はどうしようもない失敗作。撮った半分は消しています。

スクリーンショット 2021-12-17 9.20.16

こんなのも多いからね。

撮影は全て電子シャッターなので、メカシャッターの寿命気にせず撮れるのが良いよね。例えばZ9も無限です。冬じゃなければGFX50Rでもバッテリ2個で4000ショットできるからね。


レイアウト初期には40枚以上あった写真が最終的に33枚まで減って、写真弘社で色々なアドバイスも頂いて、現在の展示スタイルであるアルポリ+ゲタ仕上げに。
余白は僅少でサイズはスクエアが200 x 200、450 x 450、600x600の3種、4:3が小全紙、全紙、大全紙、特大の合計7種類でレイアウトすることで落ち着きました。
余白有りで、200 x 200以外は13-15mm均等。特大は40と50mmだったかな。
この仕上げが本当に格好良いと思っています。
ちなみに昨年11月にイメージングプラザで開催された井津さんの展示を参考にしています。

この展示が格好良かったというか、印象的で記憶に残っていました。



やってみると分かることってたくさんあります。

テーマを決めることの難しさ。コンセプト化してまとめることの難しさ。プリントによる見え方の違い。こういった諸々が気分や体調によっても変化します。

実際に在廊していても、あれほど見た自分の写真の新しい表情が見えてきたりするので新鮮でした。


1番難しかったのが、やっていて何が良いのか分からなくなること。道に迷うのがキツかった。
明確なストーリーや時系列のあるシリーズでは無かったから。

どうしたいか?ってのが結局のところ重要です。

ダラダラ進めず、疑問を感じたらしっかり立ち止まって前後の確認。
違和感を違和感のままにしない。
言葉にすれば簡単なことだね。
あと物事を大きく考えない。手近なところから削っていくように処理すると、少しずつでも解決していくので気が楽です。
普段の仕事とかと一緒だな。あと困ったら誰かに投げる。
素人の意見はとても重要です。ってのが、見る人の大半は素人だからね。

心に従うことの重要性とバランスの難しさはどの世界にもあると思います。

展示のプロにまとめてもらうという方法もあるけど、自分で考えて悩んだ方が良いよ、と写真弘社でアドバイスをもらいました。
そうした経験は必ず糧になるから、と。

個人的に、100%同意します。
自分でやってよかった。


ということで、12月27日まで難波で写真展をやっていますので
興味を持って頂けたなら是非会場へ足を伸ばしてみて下さい。
共感できる出来ない、分かる分からない、いろいろな感情が出てくると思いますが、ピンと来ないかも知れない。
でも、それで良いです。
ただ、見て体験してみて、会場を出たら少し世界が違って見えるかも知れないし何も変わらないかも知れない。
それで全然良いと思います。

もしピンと来て忘れられないと思ったり、疑問や写真を欲しいと感じたなら気軽にツイッタなり、私のWebページから連絡してみて下さい。

そういった何かに興味を持つことや写真を楽しんで欲しいという気持ちを込めて「孵化」というタイトルを付けています。

スクリーンショット 2021-12-16 1.07.45


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