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タダに麻痺する。

▼令和2年5月現在、日本はコロナ禍にある。
このコロナ禍において、改めて「タダに麻痺しているのではないか」と自省している。

▼例えば…Twitterの仕様が変わったり、エラーがでたりするとする。
ぼくはそうすると「なんだよ、またかよ」と文句が先に出る。
そのサービスにお金を払っていないのに。

▼例えば…役所関連に電話する。自分の思った通りの運用でなければ、「それ、おかしいだろ」と思ってしまう。あまりに融通がきかない場合は…口にだしてしまうこともある。
”相談”や”連絡”に関してはお金を払っていないのに。

▼もちろんTwitter社も役所もタダでサービスを提供しているが…見返りがないわけじゃないと思う。
TwitterやYoutubeと言った無料で閲覧・使用ができるものについてはユーザに「広告」を表示したりするだろうし、「広告料」をとっている場合もあるだろう。
役所や企業にしても、コールセンターなどのサービスは・・・色々な考え方もあるだろうが、サービスを見越して製品の値段を設定したり、税金に伴う予算組みで行っていると考えている。

▼そうなのだ。世の中にタダなものなんてないのだ。
確かに、使う人間からすれば、タダに見えるかもしれないけれども・・・
そのサービスを設計した人、作った人、運用している人、保守している人…様々な人の労力があるのだ。

▼それにデフレだったからかもしれないが…「安い」サービスや製品もある。
「安かろう悪かろう」というものもあるが、安くても質の高いサービスや製品を求められる風潮が世の中にはあるのではないか。

▼タダだったり価格が安いサービスや製品というのは…もちろん、簡単にできるものではない。
そこに携わり、それを守っている人すべての知恵と工夫、失敗がたくさん詰まっているのだ。

▼なんでもかんでも安くできるからと言って、「時間」がかからないわけではないはずだ。
どんな製品・サービスにも時間はかかる。0秒でできるなんてことはないはずだ。
ぼくも含めて、この「時間コスト」に対する思いが欠けている風潮があるように感じる。

▼簡単に見えるようで…その実、経験と工夫、過去の失敗と知恵がたくさん詰まっているからこそ、門外漢から見れば「簡単に」見えてしまうのではないか。

▼画家のピカソの逸話で『この絵の価格は、100万ドルです』という話がある。
詳細はこちらのページに詳しいが…30秒で書き上げた絵をピカソは「30年と30秒かかっています」と言ったそうだ。

▼人は自分の仕事以外にあまり興味がないのかもしれないし、モノの価値というのは人によって当然違う。
しかし、どんな仕事に対しても人の工夫や時間、知恵を蔑ろにすることは誰にもできないはずだ。

▼このコロナ禍においてもやはり文句が多いぼくだが…
ここで自省し、立ち止まり、「タダに麻痺していないか」ということを考えたい。
他人の時間も自分の時間と同じように流れ大切なものであるということを今一度噛みしめ、自戒したい。

舞台演出家の武藤と申します。お気に召しましたら、サポートのほど、よろしくお願いいたします!