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演出家の演出術

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舞台演出家の武藤が考える演出術について記載しております。 ここに書いてあるのは世の中にたくさんある演出術の一つです。
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今はできることをして・・・

おい、武藤、何かを忘れてしまっているのではないか

毎年この時期になると中高生向けの演劇ワークショップをクローズドなのですが、開催します。 昨日、その講座を開催しました。 舞台演出家として、”いちおう”お芝居の事を伝えますが……その実、ぼくの方が生徒さんたちにたくさん教えてもらっていると思うのです。 ▼土曜講座『開催する』というよりも呼んでもらう、という方が正しい表現です。 神奈川県にある逗子開成中学校・高等学校さまでは『土曜講座』という特色のある課外授業的な講座を用意されています。 例えば、青銅鏡を作る講座だったり新聞記

台本をすべて読む

ぼくが以前専門学校で講師をしていた頃、 「台本は一日一回以上、自分の出ていない部分も含めて最初から最後まですべて読む事」 と伝えていました。 今もこの考えは変わっていません。 どんな仕事でも言える事ですが、仕事は仕事であるからです。 たとえ誰かに支持された『仕事』であっても”動作”や”作業”ではなく、あくまでも結果が伴う仕事だからです。 つまり、世の中にあるありとあらゆる『仕事』は『結果』が伴う仕事だからと考えています。 そして、自分の持てる力を出し切る為には『情報』

残心

ぼくがお芝居を創る上に大事にしていることの一つに「残心」というものがあります。 この言葉は演劇で使われる言葉ではなく、武道や茶道で特に用いられる言葉です。 ▼残心とは・・・Wikipediaによると 残心(ざんしん)とは日本の武道および芸道において用いられる言葉。残身や残芯と書くこともある。文字通り解釈すると、心が途切れないという意味。意識すること、とくに技を終えた後、力を緩めたりくつろいでいながらも注意を払っている状態を示す。また技と同時に終わって忘れてしまうのではな

easy?

演劇を始める時に、だいたい「発声」について学ぶ事が多いと思います。 だいたい、腹式呼吸についてが初めて習うことの場合が多いのではないでしょうか。 更に進んでいきますと、活舌、表現方法、エチュード、朗読などなど…順番は違えど、基礎的な事を習得していきます。 そうした中で「基礎練習」というものが出てきます。 実はぼく、この「基礎練習」が嫌いなのですが・・・ 嫌いだと、準備ができないことになると考えています。 ▼お芝居と基礎練習この記事はマガジン「演出術」の記事として書いてお

あい

ぼくは、どの物語にも「愛」があると考えています。 だからぼくの演出する作品にも、新和座が皆さんにご覧いただく作品にも愛があると考えています。 ▼人の愛どの物語にも愛がある、それは、登場人物たちの行動には必ず何かの思いがあり、それは極論を言えば全て『愛』につながると考えています。 たとえ、恋愛に関する物語でなくても・・・登場人物には愛があります。 親子愛、兄弟愛、師弟愛、夫婦愛・・・もちろん恋愛もそうですし、何かを思うことの根本には愛があるのではないか、とぼくは考えています

共通の言語を持つ。

舞台演出をしていて、「言葉が通じない」だとか「言っている事が伝わらないなぁ」と思ったことはここ最近はあまりありません。 しかし、以前は「言っている事がなんで伝わらないんだ?」と思う事が多くありました。 それは、俳優さんや他のスタッフとの『言語』が共通化されていなかったからです。 ▼共通の言語共通の言語と言っても別に”共通語”を使いましょうですとか”標準語”を使いましょうということではありません。 どの仕事でもそうだと思いますが、その業界に特化した”専門用語”があると思いま

真剣に、真面目に。

お芝居をやっている人の多くは真剣に真面目に取り組んでいると思います。 不肖ぼくもそうですし、劇団新和座も真剣に真面目に取り組んでいます。 しかし。 「果たして、ぼくたちは今、この時、本当に真剣に真面目に取り組んでいるのか」 そんな疑問を持つことがあります。 ▼腹式呼吸という嘘お芝居を始めるにあたって、「発声」について習う事が多いのではないでしょうか。 またその際、「腹式呼吸がお芝居においての呼吸法だ」とどこか刷り込まれているような気がしています。 もちろん、腹式呼吸が不

インテリジェンス~収集、分析、活用

お芝居をする上で、「インテリジェンス」は必要なことだとぼくは考えています。 このインテリジェンスというのは知能や知性ということの他に、情報や諜報を表すこともあります。 お芝居をする上で、知能や知性もある程度必要だと考えていますが…今回の記事はこの「情報」「諜報」もお芝居に必要でないか、という考えを述べて参ります。 ▼諜報活動諜報活動。この言葉だけ聞きますと、アクションやスパイの物語が好きなぼくはドキドキしてしまいます。 企業や他国に忍び込み…敵が居れば、ばっさばさと倒して

プロ意識

以前講座を持っていた専門学校でもそうですし、ワークショップなどでも聞かれたこともあります。 またTwitterの質問箱などでも・・・。はたまた、モノを書く仕事の方でもこの話題は結構出ます。 「プロ意識とは何ですか」 という話題です。 このプロ意識って人それぞれ違うと感じています。 今回はぼくが考えている「プロ意識」について述べて参ります。 ▼そもそも「プロ」とは芸術の世界ではよく「プロ」と「アマチュア」の違いについて話題になりますし、「セミプロ」という言葉も耳にします。

やる事はネガティブで。気持ちはポジティブに。

先日の記事にも記載いたしましたが、ぼくは総ての仕事は「ネガティブリスト」でやる事が望ましいと考えています。 お芝居に関しても同様だと考えています。 お芝居をしようと思った時に、『これだけやれば大丈夫』というモノは存在しません。 確かに”セオリー”というものはあるのですが‥‥このセオリーだけをやっていれば良いということもありませんし、 『これ』だけというのはない、と考えています。 ▼マニュアル化できないお芝居をやろう、俳優になろうと思ったら‥‥養成所や専門学校に行くことが多

女にゃ勝てない。

最初に申しておきますが…この記事はフェミニスト云々ということではなく、ぼくが舞台演出をする上で大切に思っていることを書くつもりです。 結論から申せば、ぼくは女性を非常に尊敬しています。 それは産み出す力を持っているからです。 ▼産み出す力世の中には男と女が居ます。 世界中の生物の中には例外もあるかもしれませんが…人間で言えば、女性には「産み出す」力が備わっていると認識しています。 男にはない、「子を産み出す力」です。 この「産み出す」力を持つ女性にぼくは創作において勝て

演出家は選ばれてなるもの

よく「俳優は資格がいらないから、『今日から俳優です』と名乗ればなることができる」と言われますが…ぼくはそうだとは思っていません。 演出家も同じであります。 師匠からの受け売りですが… 「演出家は選ばれてなるもの」 というものがあります。 ▼誰に選ばれるのか。では一体『誰』に選ばれるのか… 演出者はお客様、スタッフ、俳優にそれぞれ選ばれる必要があるのです。 それは1回ではなく… そうしなければ「舞台演出」などできるあろうはずもない、という師匠の言葉です。 例えば、どこか

陸軍と海軍の文化の違い

人から聞いた話なのだが…陸軍と海軍は文化の違いがあるそうです。 ぼくは、お芝居もチームで行うものだと考えています。 どんな仕事でもその組織で独特の文化があり、そうした文化が色々ある中で…ぼくは陸軍と海軍の文化を織り交ぜたものを劇団の活動、演出活動で目指しています。 ▼海軍の文化海軍は大きな船を動かすと言った特性から、すべてを報告する、という文化があるそうなのです。 例えば、見張り員が何か発見した場合、艦長まで決められた手順ですぐに報告する、といった具合です。 そして、艦長