見出し画像

日本のシェアリングエコノミーに未来はあるか?〜今後の課題、最適解は〜

こんにちは、ロコタビの椎谷です。

最近「ランサーズ」「スペースマーケット」「ジモティ」「ビザスク」などシェアリングサービス関連企業の上場が続いていますね。

我々のサービス「ロコタビ」は2014年からやってきていますが、名古屋発の地方ベンチャーとして、関東のベンチャー界隈と心理的にも物理的にも距離をとってきたことで、「日本のシェアリングエコノミー」のメインストリームから必然的に外れてしまいました。。

そんな中、彼らはシェアリングエコノミー黎明期から活動されて、日本のシェアリングエコノミー市場を創り、更に上場にまで事業を成長させたという事には本当に頭が下がる思いです。

ただ、いまだに「Airbnbって何?」「Uberってタクシー?」と言う人が殆どで、日本は「シェアリングエコノミー」が一般になっているとは言い難い状況です。そこで、あらためてシェアリングエコノミーとは何か、そしてシェアリングエコノミーの未来、今後はどうなるのかという事を、個人的な見解を踏まえて説明していくことで、少しでも興味を持って、使ってもらえる人が増えたらと思っています。

「シェアリングエコノミー」自体がまだまだ新しい市場であり、明確な定義が存在していないというのが実情でもあり、あくまで一解釈として考えてもらえると嬉しいです。

シェアリング市場(シェアリング・オンディマンドエコノミー)とは?

シェアリングエコノミーをわかりやすく説明します。

■シェアリングエコノミーとは?

この10年程度で広まってきたインターネットなどの『プラットフォーム』上で提供者が所有するモノやスペース、サービスを、利用者が共有することにより成り立つ市場経済の仕組み。

■オンデマンドエコノミーとは?

インターネットなどにより『必要なときに必要なだけ』商品やサービスが提供される経済活動。一般的に個人の空き時間や労働力、所有物などをそれを必要とする人や会社に一定期間提供するサービスのこと。

日本のシェアリングエコノミーの状況・現状

日本のシェアリングエコノミーの市場規模と予測
・2018年度は約1兆8,874億円
・2030年度には約5兆7,589億円の市場に拡大予想(ベースシナリオ)
(出典)シェアリングエコノミー協会、「シェアリングエコノミー市場調査 2018年版」

総務省が発行する情報通信白書令和元年版では、本編第1部「特集 進化するデジタル経済とその先にあるSociety 5.0」の最初の文章で「シェアリングエコノミー」が紹介され、特集テーマの重要なポイントになっています。

しかし、平成30年総務省の調査DATAによると、現状の日本国内のシェアリングサービス認知は半分にも届かず、世界の主要国の中でも日本のシェアリングエコノミーの認知度はまだ低い状況です。
更に、利用経験においてはシェアリングサービスを知っている人の中でも8割以上の人が経験無しと回答し、世界の主要国と比べてシェアリングエコノミーの浸透率がかなり低いと言わざる負えません。

シェアリングサービスの認知度(日本)
画像1

シェアリングサービスの認知度(国際比較)
画像2

シェアリングサービスの利用経験(国際比較)(シェアリングサービスを知っている人のみ)
画像3

(出典)総務省「ICTによるインクルージョンの実現に関する調査研究」(平成30年)

既にシェアリングエコノミーが普及している海外では、シェアリングエコノミーの代表格、AirbnbやUberしかり、各地で訴訟やデモ騒ぎになるなど、既存市場を破壊するようなインパクトを与えてはいる一方でその反動も大きく、本当にシェアリングエコノミーが世の中の為になっているのか、まだ最適解が見つかっていません。
特に既存市場をシェアリングの仕組みによってシェアを奪うというサービスは、本質的にシェアリングによって課題を解決しているのかを考える時期に来ていると言えます。日本でも海外の流れは今後も注視する必要があります。

さて、日本もこれからシェアリングエコノミーが普及して行くにあたり、ここでシェアリングエコノミーの分類を定義して、日本でのシェアリングエコノミーの最適解はあるのか考えてみます。

■シェアリングエコノミーの分類

シェアエコ分類マトリックス

一般的な分類ではなく、あくまでも現状の独自解釈による定義となります。この分類に当てはまりづらいサービスもあると思います。

アイドルエコノミー Idle Economy 

※現在主流のシェアリングサービス

「空いてる人・モノ・空間」を活用して、(経済的な)価値を創出するエコノミー。
補足:IdolではなくIdle(「アイドリング」の意味)

<特徴>
・空いているモノ、時間、空間、スキルを利活用
・誰もが同じ空いているもの
・多数の空きから絞り込む=競争原理の最適化
・依頼者優位

<勝ちパターン>
・市場シェアNo1(ユーザー獲得)
・利用者オペレーションの最適化

<課題・問題>
・価格競争に陥いる
・既存業界とのシェアの取り合い

<代表サービス事例>
Uber:空いている車とユーザーのマッチング
Airbnb:空いている部屋とユーザーのマッチング
Anytime:空いている時間とユーザーのマッチング
Lancers:使われていないスキル&時間とユーザーのマッチング
スペースマーケット:空き空間とユーザーのマッチング
ラクスル:空いている印刷機とユーザーのマッチング
akippa:空いている駐車場とユーザーのマッチング
Buyma:バイヤーとユーザーのマッチング

タレントエコノミー Talent Economy

「タレント=才能」をベースにしたシェアリングエコノミーの定義。上記「アイドルエコノミー」と対比的に設定

<特徴>
・才能を利活用
・その人にしかない才能や経験
・オンリーワンを選ぶ=理想的な出会いの最適化
・両者理想の最大公約数

<勝ちパターン>
・市場の創造・確立(マーケットデザイン

<課題・問題>
・市場が小さい、もしくは存在しない可能性(ユーザーの発見)
・一般認知や市場のスケールが遅い、もしくは無視される
・どうやって才能をおさえておくか(提供者獲得)

<代表サービス事例>
おっさんレンタル:おじさんとユーザーのマッチング
レンタルなんもしない人:なんもしない人とユーザーのマッチング
minne:ハンドメードのマーケットプレイス
AKB48:会いに行けるアイドルとファンのマッチング
ロコタビ:海外在住日本人とユーザーのマッチング

グループエコノミー(共同シェアリング) Group Economy

モノやサービスなどの資源を共同で利用する共有経済。

<特徴>
・複数ユーザーによる共同利用
・個人の所有から集団の共有へ
・共同利用によるモノや時間、コストの最適化
・レンタルビジネス2.0、協同組合2.0
・レンタルからシェアリングの時代 ※相互扶助からシェアリングの時代。

<勝ちパターン>
・市場シェアNo1(ユーザー獲得)

<課題・問題>
・一般的にBtoCビジネスのため、資金力が重要
・既製品の脅威になる(既存ビジネスがまわらなくなる)

<代表サービス事例>
タイムズカーシェア:車のシェアリング
バイクシェア:自転車のシェアリング
airCloset:ファッションのシェアリング
ギルト:ショッピングのシェアリング(共同購入)
キャリーオン:子供服のシェアリング

リサイクルエコノミー(再流通プラットフォーム) Recycle Economy

「物」や「サービス」などを再利用する循環型経済
サーキュラー・エコノミーとも言う

<特徴>
・モノやサービスの再利用(再流通)
・消費社会から持続可能社会へ(消費経済から循環型経済)
・ライフサイクルの最大化

<勝ちパターン>
・再流通ネットワーク創りとその可視化
・既存市場との共存可能な仕組み(Win-Winの関係)

<課題・問題>
・既製品の脅威になる(既存ビジネスがまわらなくなる)
・既存のモノ、サービスが継続して入ってくる仕組み(提供者の獲得)

<代表サービス事例>
Craigslist:世界のクラシファイドサイト
ジモティ:日本のクラシファイドサイト
メルカリ:フリマアプリ
ヤフオク:中古品のオークション
チケットストリート:中古チケットの売買サイト
PASS THE BATON:ストーリー・リサイクルショップ
ブックオフ:古本リサイクル

以上、シェアリングエコノミーの分類をしてみました。まだ新しいジャンルで決まった分け方は無く、分類の仕方も色々とあるので、他の事例などもみてみると参考になると思います。

シェアリングエコノミーの最適解はあるのか?

<シェアリングエコノミーが経済全体にもたらす影響>
供給力を向上させる
・今まで有効活用されていなかった資産の稼働率を高める
・モノや人といったリソースの稼働率を高めることで、潜在成長率の引き上げにつながる
新たな需要を作り出す
・既存産業が提供出来ていなかった、潜在需要を創造することが出来る
新たなビジネス(サービス)を作り出す
・今まで活用されることがなかった個人のアイデアがビジネスにつながる可能性がある
・個人の経験・知識・スキル×プラットフォーム=新しい価値とビジネス
(参照)シェアリング・エコノミー ―Uber、Airbnbが変えた世界

シェアリングエコノミーの本質は「供給力を向上させ、新しい産業・市場を創出する」ことだと考えています。その前提で、現状のシェアリングサービスをみていくことにします。

シェアリングエコノミーの何が課題なのか?

現在起こっている問題の多くは「アイドルエコノミー」に属するサービスが関わっています。「アイドルエコノミー」の多くは既存市場が存在し、ターゲットも明確なため参入しやすく、市場規模も大きいのでシェアリングエコノミーのジャンルとして普及が先に進んだと考えられます。例えば、Airbnbはホテル・宿泊市場、Uberはタクシー市場。
「アイドルエコノミー」の課題は『価格競争に陥いる』『既存市場でシェアの取り合い』をどう克服するかです。

シェアリングエコノミーの本質は「供給力を向上させ、新しい産業・市場を創出する」ことだと書きましたが、既にある市場をシェアリングという仕組みでユーザーのニーズを満たすことだけでは、「供給力を向上させ、新しい産業・市場を創出する」ことにはなりません。
アイドルエコノミー含めシェアリングエコノミーの存在意義が問われるのは、今後、既存市場に無い新たな需要を生み出し、新しい市場を創る事が出来るかどうかです。

・・・

「シェアリングエコノミーの未来」は、突きつめると、まずそれを必要としている人がいて、その人の課題を解決することが出来るビジネスであれば、シェアリングエコノミーにこだわる必要は無いという、当たり前のことに行き着きます。
私自身AirbnbもUber両方使った事がありますが、どちらも凄く使い易く、既存の業界には無い利便性やメリットを感じます。特に海外でUberを使うことは、言葉や支払い、目的地へのアクセスの煩わしさを解消してくれます。
シェアリングエコノミーが全てを解決してくれる!これからの時代はシェアリングエコノミー!というような幻想がありますが、改めて今何が必要なのかを考える事で、シェアリングエコノミーの未来、今後を考えるキッカケになるのではないでしょうか。

ロコタビの紹介

最後に、私達が運営しているロコタビというシェアリングサービスについてご紹介。
ロコタビは海外在住日本人(ロコ)が旅のお手伝いしてくれるサービスです。上記の分類だと、タレントエコノミーに属します。

ロコタビ:埋もれた海外の才能とユーザーのマッチング

世の中には様々なシェアリングサービスがありますが、ロコタビが今後のシェアリングエコノミーの最適解の一つになれるよう、日々試行錯誤しています。
興味を持った方は是非使ってみていただけると嬉しいです。

以下、旧サービス名ですが、紹介動画を見ると理解が進みます。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?