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[ 日本書紀を読んでみる ] 巻第一 神代 上 天地開闢

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概要 宇治谷孟「日本書紀」(講談社学術文庫)を読みとおすことを目的にしています。すこしずつ読んだ内容を,簡潔にまとめ,読者と共有していきます。間違いがあれば,コメント欄で教えてください。

目的

一緒に,宇治谷孟「日本書紀」(講談社学術文庫)を読みとおしましょう。今日は第一夜,ページは 15 ページから18ページです。

巻第一 神代 上 天地開闢

昔,天と地はまだわかれていなかった。陰陽の別もまだ生じていない。そのうち天は天へ地は地に別れ始めた。別れ始めたそのとき,神が生まれた。はじまりの神である。その神の名を国常立尊(くにのとこたちのみこと)という。

次に,国狭槌尊(くにのさつちのみこと)が生まれた。土の神である。そして,豊斟渟尊(とよくむぬのみこと)が生まれた。雲の神である。

土の神と雲の神。今まさに天地開闢,天にあるべきものは雲となって天にのぼっていき,地となるものは土となり沈んでいく。

ものごとが始まるのには始まるだけの理由がある。あるものが天にのぼり,あるものが地にとなる。そうした自然現象にもそれを生じさせる理由がある。すべてはそうした理由によって,なんの不思議もなく起こり,あるべきところに行くよう進んでいくのである。

天地開闢のとき,陰陽のうち陽だけが強くはたらいた。だから,上の3つの神はすべて男神である。

次に,埿土煑尊(ういじにのみこと)と沙土煑尊(すいじにのみこと)が生まれた。男女一対の神であり,ウヒジニは男神,スヒジニは女神であった。大地は泥や砂のまじりあった状態であった。

次に,大戸之道尊(おおとのじのみこと)と大苫辺尊(おおとまべのみこと)が生まれた。オオトノヂは男神,オオトノベは女神であった。彼らの誕生によって,大地は固まった。

そうして,面足尊(おもだるのみこと)と惶根尊(かしこねのみこと)が生まれた。オモダルは男神,カシコネは女神である。ふたりの誕生は,大地が完成したことを表している。

天地開闢時は陽の力が強かった。その後,大地が誕生するまでの間は陰と陽とのふたつの力がバランスよくはたらいて,あるべき状態へと世界は変わって行った。大地となるべきところは,最初,泥と砂であった。そのうち大地となるところは固まった。最後にあるべきところ,大地が完成したのである。それぞれの神はそうした自然現象を司っている。自然法則であると考えて欲しい。

このとき,まだ,日本は生まれていない。

思うこと

何々の尊とがたくさんでてくるが,これは皆,神さまです。神さまといっても,志村けんさんのコントのように雲の上にいて,人間のかたちをしていて,「わたしゃ,かみさまだよ」としゃべったりはしません。神さまはひとのかたちをしているわけではなく,言ってみれば,自然の法則のようなものだとわたしは考えています。自然にもいろいろあって,動物もひとも自然であり,ひとのこころや感情もやはり自然なわけです。わたしたちの神様はいたるところにいて,わたしたちのこころのなかにもやはりいて,それらに従ってわたしたちは生きていると言っていいでしょう。

神さまは遠くにいるわけではなく,わたしたちの心の中にもいるということですね。

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