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WEEKLY人工無脳【2018年総集号】

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AI・データサイエンス系の記事(+個人的な趣味で脳科学・医療・ヘルスケア系話題)について、「超面白い!このネタについて誰かと語りたい!!」と思って2018年4月から勢いで書き始めた「WEEKLY人工無脳」。

WEEKLYといいながら9ヶ月間で20回しか更新してないのですが、はてなブログ→noteとメディアを跨ぎながら合計で175本の記事について要約や解説を書いてきました。

おかげさまで、はてなブログでは読者数130名、noteでは4,300フォロワーとなり、飲み会のネタ提供くらいにはなったのではと思ってます。たくさん読んでいただきありがとうございました!

今号ではこれまでの175本の記事の中から、個人的に特に印象的だった16本の記事をピックアップし、総集号としてまとめました。気になる話があればぜひリンク先(第○号掲載 というところ)のバックナンバーを読んでください!

① (第1号掲載)FBからの大規模情報流出と不正利用。いつか起こるだろうと思われていたことがついに起こる。

データ活用による選挙コンサルを行うケンブリッジ・アナリティカが起こしたFacebook個人情報流出事件。さっそく懐かしい…4月の出来事だったんですね。
内部告発インタビュー動画で、インタビュー受けてるデータサイエンティストが漫画のキャラクターかよってくらいキャラ立ちしてることも個人的ツボ。
衝撃だったのは、オーストラリアの流出ではたった53人のユーザーから31万人分のデータが流出していたという話。「ソーシャルネットワーク」の時代を強く感じる出来事でした(第2号に掲載)。

②(第2号掲載)人は相手の顔の血色の変化だけで感情を読み取れるという衝撃

論文誌PNASに掲載された研究。
人は相手の顔の血色の変化だけで相手の感情を読み取れているという研究結果について。深層学習を使った類似実験でも同じような結果を得られるというところがまた最高に興味深い。
人間は実は無意識のうちに処理している情報が他にもまだまだあったりするんだろうなー。しかもその無意識の作業が機械的に再現可能かもって最高にROCK!

③ (第2号掲載)医師の代わりに医療判断を行うAIが世界で初めて認可される。医療の流れが変わるぞ

「医師の代わりに医療判断を行えるAI」が世界で初めてFDA認可を受けた話。2018年4月の話。当時はめちゃくちゃテンション上がって界隈の人たちは超盛り上がった。
最近ではFDA認可医療AI装置は割とちょこちょこ出るようになってきていて、日本でもメディカルAI学会という"AI寄りの医療学会”も登場している。2018年が世界的にもAIの医療活用元年だったのは間違いない。
それでも医療AIは「医師のサポート役」という立場で、判断結果がブラックボックスにならないように判断根拠を強く問われるような流れになっている。一方で、「根拠はわからないがほぼ100%正しい答えを出すAI」があれば使わない手はないだろう!という意見もある。「判断の正確性」を取るか「心理的安全」を取るか、言い換えるなら人間はどこまで「理解を手放すか」という話(第18号にも類似話題)。

④(第4号掲載)新型ゾゾスーツに「違う、そうじゃない」が殺到。しかし技術者たちはにわかに賞賛している模様

4月の終わり頃にzozoから発表されたzozoスーツの話題。これも懐かしい。
発表当時はセンサーがたくさん付いた近未来的なzozoツースだったけど、実際に配布されたものは画像認識によりサイズを推定する方式。初期モデルは開発頓挫して赤字を出したりしながらも、やっぱり画像認識の現行バージョンがイケてるように思う。自分もTシャツ、ジーンズ、ヒートテックを買いました!
個人的には前澤社長好きなので引き続き超応援してます。zozo社かっこいいぜ。

⑤(第6号掲載)Googleの電話予約AIシステムDuplex、ついに本物のAIみたいなものがでてきよった

データサイエンティスト職はじめて4年くらいになりますが、初めて「AIやん...」って思った話。5月の始め頃だったらしい。
当時のインパクトはすごかったし、今でもすごいと思う、が、未だに一般利用スタートしてないよね?どうなったんでしょうね
DuplexをECサイトのコールセンターへ適応した事例 "Contact center AI" の話もありました。(第15号掲載)

⑥(第7号掲載) 『素晴らしい瞬間』を自動的に撮影するGoogleのカメラは膨大な人力作業で作られていた

機械学習により「良い感じの瞬間」を自動で認識しショート動画を撮影してくれるカメラの話。作成方法について書かれたブログが読んでるだけでツラかった…(製作者たちの苦労が偲ばれる)。
他の企業に作れないGoogleらしい挑戦的なプロダクトなので大好き。お値段$249で販売されている
2018年3月くらいに発売されてからすでに結構たってますが、日本語の「買ってみた・使ってみた」ブログは軽くググった感じ見つからない。レビューブログ書いたらまだ話題になるかもですね。

⑦ (第7号掲載) 実は人間はもっと多くのものを「視ている」らしい。しかも無意識に。

東北大学電気通信研究所の研究の話。
人間は自分の周囲360度の環境を学習し、脳内でモデルとして構築することで、直接見ることのできない頭の後ろ側の情報も無意識に処理していることがかわったという研究。こういう、「人間が無意識にやっていることがわかったぞ」系の話めっちゃ好き。
余談ですが、②に載せた血色で感情を読み取れる話とこれ両方共、人気のポッドキャスト番組「バイリンガルニュース」で知ったネタです。Mamiさんのリサーチ力すごい。毎週聞いてます。

⑧ (第11号掲載)機械学習で”画像を見ずに”細胞分類を超高速高精度に行うシステム “ゴーストサイトメトリー”が超かっこいい

情報生物学出身なので刺さる話題。細胞分類装置に機械学習を組み込んで超進化させたぜって話。
対象の細胞を超高速に正確に分類する技術というのは超重要な技術(例えば、血中から必要な細胞だけを取り出したりとか)。
もともと画像的に細胞判定していたところを、機械学習で判定できる最小限の情報(これを"ゴースト"と呼んでる)だけを使うことで精度とスピードを両方upできたということらしい。日本がリードしてる技術らしいので期待。
③で載せた医療AIと異なり、判断根拠の可視化(画像を作成しない)を捨てて精度向上に当てていることが面白い。機械学習は目的に合った使い分けが必要。

⑨ (第13号掲載)世界中に住所を付け直すビジネスがほとんど錬金術みたいなんだが

世界中の地理的位置を3単語の組み合わせで再マッピングするアイデア。この方法で3mメッシュという細かさで世界中の位置をピンポイントで指定できる。
最初にこの話を知ったときは「確かに便利かもだけど何に使うんだこれw」って思ってたら、自動運転業界などから多額の投資が相次いているらしい。正確な位置を示すことはもちろん、カーナビに住所指定するときにもクソ長い住所をテキストすることなく、音声入力で3単語言うだけになる。インターフェイース革命も起こせる。なるほど…。
世界中に超詳細にユニークな住所をつけ直す、というだけのアイデア。誰もが思いつきそうで誰もやってこなかったビジネス。シンプルなアイデア1つでほとんど錬金術みたいな資金集めしている感がすごい。

⑩(第13号掲載)IT化進めたら売上が下がったでござるという話

鳥貴族の売上落ちたのはタッチパネル導入したからじゃね?って話。
人件費削減とデータを取る意味も込めていろいろなところでIT化が進んでいるが、カジュアルにIT化すると意外なところで穴にハマったりするかも。
ここで指摘されていることが正しいかどうかは不明だが、個人的には目から鱗な話だった。

⑪(第14号掲載)手話×画像分析×スマートスピーカーの最高にクールな組み合わせに感動した

これまで見たスマートスピーカー関係の事例で最も感動したやつ。
TensorFlow.jsで手話のサインを画像的に読み取ってテキスト化し、スマートスピーカーのAlexaとコミュニケーションするという内容。
スマートスピーカーといえば「言語のインターフェース」であったが、ここに深層学習を使った画像理解も加えることで「画像(視覚情報)×言語」のインターフェースが出来上がる。つまり、手話を全く使えない人でもこのシステムを介せば手話ユーザーと会話ができるようになる。機械学習をスマートに組み合わせた秀逸なプロダクト。好き。

⑫(第15号掲載)これぞヘルスケアIoT。テクノロジーで全国の猫が健康に暮らせますように。

猫大好きなので個人的に超応援してるプロダクト(購入申込み済み)
ねこ専用のIoTトイレとスマホアプリによって愛猫の体調変化を見守ることができる、ねこヘルスケアサービス『toletta』について。
体重などのセンシングはもちろん、画像認識で多頭飼いの猫の個別識別もできる。ペット保険のアニコム社などとも共同研究してるらしい。他にないプロダクトかと言われるとそうでもないが、のちにハードウェアスタートアップの苦しみとしてLTされたこちらのイベントが話題になったこともあってますます応援したい所存(読んでるだけでツライ、お腹痛くなる)。

⑬(第15号掲載)みんなにこやかに会議しましょうね。あなたの表情も議事録に書いとくんで...

機械学習APIによる議事録の自動テキスト化に加え、リアルタイムに表情をモニタリングすることで、威嚇するような表情になれば赤文字でテキストされ、疑問を呈するように首をかしげれば斜体で黄色でテキストされるというような感じでテキストスタイルを自動で変換していくプラグインを作った人の話。
上記の手話画像解釈と同じく、機械学習を組み合わせた使い方のアイデアが秀逸。
『これは会議中不機嫌な顔をしている人をたしなめるのに使えるような気もする。あの人が会議に参加すると議事録が真っ赤ですよ!みたいな。』という@icoxfog417さんのコメントも刺さる。

⑭(第16号掲載)中国の交通AIは「渋滞」を過去の遺物に変えつつある

中国の事例。アリババ系企業が開発した「ET都市ブレイン」という交通AIシステムが、動的に交通信号を制御するようにしたところ、社会問題となっていた交通渋滞が嘘のように消えたという話。
社会インフラにガッツリ機械学習が組み込まれて稼働しててビビる。あまりにもすごいのでぜひ元記事読んでほしい。
中国のAI開発レベル・実装スピードのすごさを改めて思い知らされる一年だった。

⑮(第17号掲載)AIから学ぶ、「公平」を創ることの難しさ

Amazonで開発中だった「採用を助けるAIシステム」が男性志願者を女性志願者よりも優位にレーティングしていたのでシステムを廃止したという話。
技術的には、教師データとなる人間の判断に恣意性やバイアスが入ってるので、AIもそのままそれを再現したという簡単な話ではあるが、では本当にバイアスの入らない「公平な」システムなどできるのだろうかということはすごく難しい問題。なぜなら学習データを用意するのは人間で、すべての人間は(悪意がなくても無意識のうちに)あらゆる物事の判断にバイアスをかけているから。
倫理的な面に触れるデータを分析している人は改めて振り返りたい記事。

⑯(第17号掲載)AI対AIの戦いはすでに起きている

2018年に爆発的に進化した技術の一つ、GANによるフェイク動画について。
フェイク動画を見たことがない人はまずこの動画を見てほしい。これは絶対に気づけない。
インターネット上のテキストコンテンツにおいて、恣意的な部分切り取りや意図的な曲解によって悪意のある「フェイク記事」が膨大に存在するが、きちんと1次ソースをたどると嘘を嘘と見抜くこともまだ可能だった。そして一方で(悪意のある切り取りなどはあるものの)「動画なら嘘はない」という心理的安心がまだあったが、このフェイク動画技術で動画すらも信じられない時代がついに来てしまった感。
嘘を作るAIと嘘を見抜くAIの戦いはすでに水面下で始まっている。

雑記

2018年の話題を網羅というよりは、自分の気になった記事だけ拾ってるので書きたいことまだまだあるのですが、なんとか16本に絞りました!
ジャンルばらばらですが、ビジネス・アカデミア問わずデータサイエンスや機械学習はどこにでも入りこんでるんだなーと改めて感じます。

3月末に、ハヤカワ五味さん×カツセマサヒコさんが話してるVoicyで「独断ニュース」を知って、そのフォーマットに惚れてこのブログを書き始めました。最新の話題を追ってそれをアウトプットし続けるのめちゃくちゃツライことだと理解した…。一方でこのブログがきっかけでリアルでも出会えた方々(@karaage0703, @maskedanl, @goando, @ozaken_AI and more!)もいてやっぱりブログ書いてみるもんだなーという気持ちです。

「WEEKLY人工無脳」は一段落感あるので、今後は別の形で何かを書いていきたいなと思っています。引き続き宜しくおねがいします!面白い話題があればツイッターでも呟いてますのでフォロー宜しくおねがいします。👉https://twitter.com/yutatatatata (コメントなどお気軽にもらえると喜びます)

■「WEEKLY人工無脳」は、筆者がSNSや日頃の雑談で知ったネタを独断と偏見でまとめているブログです。
■「WEEKLY人工無脳」は、筆者がその話題を知ったタイミングでまとめているため、「記事公開自体は先月」といった可能性も十分にあり得ます。速報性よりも話題性を重視していることをご了承ください。(ですが、できるだけ直近の話題にフォーカスしてます。)
■「WEEKLY人工無脳」は個人の余暇で運営しているため、調べが足りないこともあります。誤りがあれば優しく教えてください。
■「WEEKLY人工無脳」は「独断ニュース(http://dokudan-weekly.hatenablog.jp/)」に刺激を受けて書き始めた、独断ニュースのデータサイエンス・人工知能業界版です。飽きるまで適当に続けます。

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