声明 -コロナ禍に寄せて-2

5月にホームページに載せた声明に続き、今回は11月の終わりに書いた文章です。読んだ方の気が少しでも緩めば幸いです。

「今年一度も風邪を引いていない」に抱く危機感

「今年は一度も風邪を引いていない。やはりこまめな手洗いうがい、マスクは有効なのだ」という趣旨のツイートをする人が増えたように思います。返信欄を見ると「私も消毒を心がけているおかげか引いてません!」と賛同する人たちのツイートがあり、いよいよまずい状況になってきたように思います。

「引いてはいけないという気持ちが大きいのかもしれない」と言う人もいますが、まさにその通りで風邪は気持ちが緩まないと引けないのです。頭の使い過ぎの緊張も、消化器の負担の緊張も、心理的な緊張にしても、その強張りを緩めるために風邪をひき、熱を出し、新鮮な体を取り戻すのです。風邪を引くという行為自体が体を修復している。まめに風邪が引ければ大病しないというのが整体の考え方であり、大病した経験のあるクライアントに「病気する前に風邪は引いていましたか?」と訊ねるとほとんど方が最後にいつ風邪を引いたか覚えていないと言います。

体の自己調整機能が敏感に働かなくなる原因は、せっかく風邪を引いても薬を飲んで熱を出すのを止めたり、体が疲労しているのを無視して使い続け、気を張り続けているといったことが多いのですが、今年は「うかつに風邪も引けない」という緊張感で体が緩められない人が桁違いに多いのです。普段施術していて、「Aさんはいつもならこれくらいのタイミングで体が変わり始めるはずなのになかなか変わらない」という経験が何度もありました。「気を緩めるな」というメッセージ、世間の目が体を縛り付けていて、本来ふっと気が緩められる人、さっと風邪が引ける人が強張ったままになっている。感染者数の増大よりも深刻なことが起きています。

今まで風邪を引いてもほとんど人は病院に行かず家で寝ていました。病院に行ったとしても何ウイルスに感染したかなんていちいち検査しません。してもインフルエンザくらいでしょう。もし風邪を引いた人が全員病院に行って検査していたら、年間の風邪ウイルス感染者数はとんでもない数になるはずです。熱が出たとか、鼻水が止まらないとか、「風邪を引いたと明らかに認識できる」のが年1〜2回で、無症状で何かに感染している日が365日中結構な日数あるかもと考えると、何の症状もないけど陽性の人を感染者にカウントして発表してたらいつまで経っても終わりません。

風邪は誰でも引くものだし、風邪で亡くなる人がいるのもしょうがないこととして、今更言われなくとも昔から私たちはウイルスと共存してきたわけですが、毎日の感染者数を数字で出された途端、急に気になってきた。全国一律の休校なんて誰だって大変な事態だと思うでしょう。この発表の時点で国民は行動を停止し、3月4月あたりでメディアが恐怖を煽り散らし、潜在意識に徹底的に刷り込まれた「コロナおっかない」という気持ちに多くの人が居着いてしまいました。

11月下旬の今もなお、その日の感染者の総数だけを見出しに書き、無症状者がそのうち何人かは書かない。見出しを見た人が「過剰に不安にならないような」報道の仕方をする気配もなければ、政府が報道の仕方を指導する気配もありません。感染者の増減ではなく報道の仕方が早々に変わっていれば、ここまで長引かなかったのではないでしょうか。

イートイン警察と自粛警察

急に話が逸れますが、昨年軽減税率が導入された時に、コンビニなどイートインコーナーで食べる時は外食扱いで税率10%という意味不明な制度が話題になりました。私はてっきり「こんな馬鹿馬鹿しいことやってられるか」と、店も客も無視するだろうと思っていたら、店側は購入時に自己申告しろと店内アナウンスしたり、イートインコーナーを飲食禁止にするスーパーまで出てきた(自分で書いてて混乱)。そして客は「あの人8%で買ったのに中で食べてますよ!」と店員にチクる、イートイン警察と化したのです。この件に限らず、救急隊員が救急車でコンビニに立ち寄り買い物するのを見た市民が、わざわざ消防局にクレームの電話をするというニュースが数年前からありました。

他人が得している、楽しているのが許せない
自分の考え方が絶対に正しいと信じて疑わない
意味不明な決まりだけど上が言うから従うしかない
皆我慢してるんだからお前も我慢しろ

これらはコロナ禍に突然生まれた問題ではありません。自粛警察の卵は数年前から急速に成長していたように思いますし、「右手にお箸持って、左手でマスク付け外しして」というのも、私の中ではイートイン税率を考えた役人と同じ部類の馬鹿だと認識しています。

風邪を生活から排除してはいけない

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病気を治すために新たな薬が作られるのではなく、薬を売るために新しい病気を作ってしまう。この本で紹介されているのは高血圧や骨粗しょう症、うつ病などですが、もしかして「風邪」を治療すべき病気として、薬を売るために騒いでいるのでは?というのは言い過ぎかもしれませんが、コロナだけでなく風邪を悪として排除しようとする動きはじわじわ進むでしょうし、それに伴って感染症以外の問題が増え続けるでしょう。

風邪撲滅のために室内でのマスクは義務。しない人は非常識。マスクしている人ばかりで不安を感じるという感覚は全くもって正しい感覚です。咳の出る人はマスクしましょうという時代に早く戻さないと、大人のメンタルにも子どもの情緒・言語の発達にも悪影響なのは明らかです。公園で遊ぶ時もコロナが怖くてマスクが外せないという子どもがいます。こんな事態を放置して良い訳がありません。

冒頭の私は風邪を引いていないというツイートは、風邪を引いた人に対して「あなたは対策を怠ったのだ」と間接的に非難しているようなものです。すべての人に「風邪は引けた方が良いのだ」という整体の考え方を取り入れろなんて言うつもりは毛頭ありませんが、誰でもいつでも風邪が引ける社会、風邪を引いても大変だったねと声をかけてもらえる社会であってほしいと願います。

死は病院の中だけのものになり、家で親族を看取ることがない。
糞尿はすぐ水で流される。くみ取り便所も肥溜めもない。
汚らわしいものを生活から排除していったことと、「ウイルスに打ち勝つ」という現代人の傲慢さには何か関係がある気がするのですが、これに風邪まで排除してしまったら、清潔なのに呼吸できない世の中になるでしょう。

暗示からの解放

この時期に「バスツアーの車内でカラオケ大会、クラスター発生」は気が緩んでいると言われてもしょうがないかもしれませんが、最低限の対策をして普通に生活している人は「気を緩めるな」というメッセージにこれ以上耳を貸してはいけません。半年以上も我慢を強いられて、気を緩めるな、ふんどしを締めろと言われ、緊張を維持して生きられる人などいません。

「コロナ禍を活かして成長しよう」
うるせえよバカ。暑苦しい成長の押し付けも無視しましょう。
ニセモンがはっきりして、人間関係もタイムラインもさっぱりしただけで十分な収穫です。

整体協会の創始者、野口晴哉は「皆お互いに暗示して、相手も自分も金縛りにしている。僕のやってきたことは金縛りをどうやって解くか。暗示からの解放だ」と言った。

「コロナおっかない」という暗示からの解放。
これが現代の整体指導者の仕事かもしれません。

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野口整体をベースとした整体院「芳田整体」代表。ホームページはこちら→https://www.yoshidaseitai.com/