見出し画像

Vision Proで写真を“体験”する

2024年7月3日、私ことアラサー会社員は表参道のアップルストアにいた。物欲を刺激される場所にはあまり行きたくない。それはもちろんカメラ屋さんもそう。だが、行ってしまう。それが私の性である。ただ、今回は大きな目的があった。それは6月28日に日本でも発売が開始されたアップルの空間コンピュータ“Vision Pro(以下:VP)”のデモ/体験である。現在は各アップルストアでデモの予約をすることが可能で、これ自体はもちろん“無料(タダ)”だ。タダという言葉にも弱く、これも私の性だろう。


空間コンピュータ

VPをこう表現すると怒られるかもしれないが、ゴーグルタイプのXR(クロスリアリティ)機器ということで良いのだろう。つまりは「VR(仮想現実)」、「AR(拡張現実)」、「MR(複合現実)」が包括された技術が応用されているのだと思う。予約時間にストアへ行くと、わりとスムーズに案内が進んだ。私は度付きのメガネを掛けているので、VPを使用するには別売りのインサートレンズ(ツァイス製)を入れないといけない。このデモではそのレンズも用意されているので、眼鏡っ子(死語?)も安心である。

表参道店の体験コーナーには、レンズの度数を測る機械が置かれていた。使用しているメガネをお渡しすれば、その数値に近い度数のレンズを入れた状態でデモ機をセットアップし持って来てくださる流れだ。その間の数分、担当してくださる方と雑談。在庫はそれなりにあるようで「買って帰れます!」という話に。最安機種でも約60万円で、インサートレンズもそれなりに高い。ぐぬぬ!という気持ちでその時を待つ。すると、奥から別の店員さんが“私の”VPを持ってきた。これが現代の未知との遭遇なのか。


現実の非現実

VPの他にもこうしたゴーグルは発売されているが、私はこれまで使ったことがない。そのため、まるっきり初めての体験だ。まずは持ってみると、評判通りにズシっとくるものがあった。担当の方はiPadを持って横に座っており、VPの画面プレビューが出来るようだ。いよいよ試着(装着か?)。今回のデモ機はデュアルループバンドというものが付けられている。2箇所のバンドを調整して電源を入れた瞬間、私は思わず感嘆の声を漏らした。現在なのだけれど「これが未来ってやつか!」と思ったのだ。

所謂“パススルー”という状態かと思うが、私の現実と視界の中に文字が浮かんでいる。耳には様々な言語での「こんにちは!」的な音声も。良いポジションにスピーカーがあるのだろう。原作から見ているファンではないが、どこか『攻殻機動隊』の世界に入った気分だった。VP自体の重さは気にならない、と私には言えない。でも、熱中のあまりに重さは忘れられた。基本的にはハンドジェスチャーと視線で操作をしていく。これもまた未来のようだった。自分が“見たアプリ”を選択して起動した時の興奮。


イマーシブ

意地悪な表現かもしれないが、このデモではビジネス的な利用シーンよりもエンターテイメントなどを“推したい”ようだ。なので写真AppやApple TVのコンテンツ再生がメインとなっている。後者ではオリジナルドラマ?の一部を見ることが出来たが、VPをシアターモードにした時の没入感はすごかった。将来的にはシアター内の座席位置変更も行えるようになるのだとか。こうして綴りながらも「どういうこと??」と思うが、本当にそういう体験が出来るのだ。「イマーシブとはこういうことか!」と実感する。

最大の感動は空間写真と空間ビデオであった。前者の方は、iPhoneで撮影した2Dの写真に奥行きと空間を持たせることも出来る。絵本で飛び出すギミックが仕込まれている作品があるが、そのデジタル版(表現が悪い)が目の前に展開される感じ。後者はiPhone15 ProやVPで撮影した空間ビデオを再生すると立体に見えるというもの。幾つかの短いクリップだったが、音声と共に再生されることで本当に撮影場所にいるような気分になれる。「家族との記録を残して、いつか振り返ったら、、」と考えて少しジーンと来た。


体験/体感するデバイス

結果的に、私は購入していない。もちろん、1番大きい壁は値段だ。でも、それだけの価値は見出せそうなデバイスであることは感じれた。今後、OSの更新や対応アプリの追加、欲を言えば軽量化まで行ってくれればありえない選択肢ではないと思っている。加えて、どんなに私が駄文を綴ろうとおそらく伝わらない。YouTubeでいくつもレビューを見たが、当然にそれ以上だった。興味がある方は、是非とも無料のうちに体験していただきたい。タダより高いものはない?まぁ、そうとも言えるかもしれないけれど。


Apple Vision Pro

これまで

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?