見出し画像

高校時代に映画を撮ろうと奮闘した話 ③

第三弾、前回は脚本の完成と主人公役の獲得までを書いた。
今回は主人公役の獲得に付随した話をする。

主人公役になってくれた友人は陸上部所属の三年生、引退の関わる大会は勿論のこと、受験生としての勉強も関わってくる。
が、当の企画主である筆者は主人公を獲得したことに浮かれ他の助演などは適当に集まるだろうとぼやぼや過ごしていた。(まあ企画した1月から6月までまともに動いてないもんね)

すると全く関係のない、というよりこちらが映画企画をしていて陸上部のやつを主人公にすることが決まったことを知らない別の陸上部の友人が大会で写真を撮って欲しいと頼んできた。しかも大会前日に、

彼に言わせれば、その大会で引退するから節目ということも兼ねて写真部のお前に撮って欲しいとのことだった。
もっと早く打診をされていたら写真部の出張撮影会とでも称してみんなで行けたのだか、なんせ前日に連絡をしてきたので私一人で行くことになった。


かんかん照りの中、片田舎にある陸上競技場を目指す。
通っている高校からは電車を乗り継いで2時間くらいかかった。
それだけ遠いのもあり応援に来ているやつは私を含めても5人程度だった。
灼熱だったので500mlのペットボトルをその日だけで5本近く買うことになった。

その日はしっかりと写真を撮り、今まで全く関わりのなかった陸上部顧問にも感謝されるくらいには写真部としての活動をあらわにできた。(一人だけどね)

こんな善人な行為をしたのは無論、借りを作るためだ。
これを出汁に私は依頼をしてきた友人に話を振った。
「なあ、写真部企画の映画、出てくれな?」

彼はポスターなどで存在を知っていたらしく最初は渋った。

しかしこちらには最強のカードがある。
「え、こないだ大会の写真撮ったじゃん。電車賃結構かかったよ。」
完全なる威圧、これはヤクザか。はたまた勧誘系の詐欺師だ。

こうしてまず、助演を一人確保した。(今思えば最低だ)

そして次はもう一人の陸上部の友人の元にこちらから声をかけた。
「なぁ、映画撮るんだけど出演してくれない?」

しかもその時のセッティングは主人公役の友人も脅迫された友人もその場にいた。
状況を知っている二人は勧誘中の彼にも「お前もでてよ!俺らだけだとさ、」と声をかける。

これぞ完全勧誘!逃げ道など(ほぼ)ない!


こうしたクソ行為によって最低必要数の出演者確保にこぎ着けた。
もっと早くから声かけをすればよかった話なのかもしれなが…


こうして演者も手に入れて(半ば強引に)浮かれたが、喜びも束の間だった。

毎週一度の活動日、いつもの生物学習室に集まり写真の印刷などをして部員と過ごしていたところ、学習室奥にある別室、研究室から物音がする。
白衣に身を包んだ生物教師、我が写真部の顧問が出てきたではないか!

この顧問の先生は基本的に研究室に篭り、実験の準備やら校内の畑に行って植物観察をしており、部活に顔をだすことはほとんどない。
なおかつ、ゼロ残業主義者なので活動時間が伸びて18:00ごろまで写真の印刷などをしていても問答無用で帰宅してしまう。(なんなら16:10の授業終了と同時に帰る)学内でも課題提出の隙を与えない忍者的存在になっていた。
(各校一人はこういう先生いるよね)

「おーい、今度の予算審議委員会に出るからさ、欲しいものある?2万くらいで」
事務連絡ぐらいでしか遭遇することはない。
「いつもの写真用紙とインクでいいかな?」
映画の件を突っ込まれると思い身構えた私がアホらしくなった。
なんせ校風のデメリットを取り上げる映画だ、説明したらどうなることやら、せっかく演者を見つけて、脚本も完成させたのに没になるのはごめんだ。
しかしこの先生は校内の情勢などまるでで興味がない口だと思う。
あれだけのポスターを少しも見ていない。
「いつもので平気です。」
業務連絡の返答は必要最低限で良い。業務なのだから、

「あ、写真部の子?映画やるんだっけ?頑張ってね」
ここで最悪な人物が加わってしまったのだ。
研究室から顔を出したのは実験補助員という完全に顧問の子分的ポジションの嘱託の先生だ。

「映画、文化祭でやる感じかな?」
なんという感の良さ。
「夏休みとかあんまり撮影しないでね〜俺わざわざ活動のために学校行くのやだから」
内容はそっちのけでやはり自分に関わる問題の方が大事だった。
が、この発言は割と問題だ。

撮影を夏休み前提でここまできてしまったのだ。

どうなることやら



次回

目前に迫る夏休み、しかしスケジュールは決まらない。
「あ、その日は帰省してます。」最悪の返信、

「スケジュール」

お楽しみに!

面白い記事が書けるように努力します。