電車で目の前に座っていた、ある女性の指輪の話
ある日の飲み会帰りのこと。
終電間際の東横線に乗っていると、電車で目の前に座っていた女性が、隣に座っている友達数人と「あはは」と笑い合っていた。彼女もまた、飲み会帰りなのかもしれない。
彼らが何の話をしていたのかはすっかり忘れてしまったけど、その女性は笑いながらバックの中を探して、ハンドクリームを手の甲にぬっていた。そのとき、左手の薬指につけていた結婚指輪を愛おしそうに見つめながら、くるくると回していたのを見てしまった。
そのときは特に何とも思わなかったのに、最寄り駅で