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生き抜く為の息抜きを。

5月から私の店は
当分の間、焼き菓子のお持ち帰りをメインに営業する事に決めました。

カフェではなく焼き菓子屋さんに変身です。

実は小学生の頃、
クッキー屋さんになりたいという想いがあったので、ころなのお陰でまた夢が1つ叶ってしまいました。

なんて…、

そんな能天気な事を本気で思っている私ですが、
なぜこんな風に思えるのか…それはまたもやお客様のお陰です。

お客様達には数日前に、5月1日から焼き菓子のお持ち帰りがメインになります!と告知致しました。



その後、
来店されるお客様達からは色んな言葉を頂きました。

店を開けていて、
誰かに何か言われたのか。

お店を辞めないで下さい。
(辞めるなんて言ってません笑)

この店がどんな役割をしているか、
ご自身の気持ちをこれでもかと涙を浮かべて打ち明けてくれた方もいらっしゃいました。

そんなお客様達の想いと言葉を頂いて、

あー、
少し休憩しても大丈夫だなと思えたのです。

だから少しの間、カフェを休んで焼き菓子の販売に専念しようと決めました。

お庭のお花を持って来て下さる方、
手作りのマスクを持って来て下さ方。

言葉だけではなく、
表現は違えど色んなお客様の気持ちが強く伝わってくる今。

ステイホームが謳われ、
外出自粛を余儀無くされる中、
店を開けていることの意味をずっとしつこく考えています。

カフェという存在が必要のない方がいらっしゃるのも勿論分かります。

しかし、家族以外と話す他愛ないおしゃべりや、
ボーっとする時間、今までと変わらない空間で過ごす数分間が必要と感じる方がいらっしゃるならば、

ここで息抜きをしてほしい。

この場所が役に立てるなら、
どうか使って頂きたい。

そう思っています。

今日、この街での勤務が最後になる方が
沢山の焼き菓子をご注文して下さいました。

退職するので職場の人達に焼き菓子を渡したいという事でした。


お客様は昨日もお仕事の休憩時間にカフェに来て下さり、今日からカフェを休憩する事をご存知でしたが、

最後の日にフレンチトーストを食べたいと言って下さったので、ありがたく作らせて頂きました。


遠くから通勤されていたお客様。

お昼の休憩時間にキッシュやフレンチトーストを召し上がられ、いつも少しだけ本を読んでお仕事へ戻られていました。

今まで貴重なお時間を店に使って頂いていたなと思います。

今日もお会計の後に「ホッとしました。」と言って下さり、「またこの街に来る時は寄らせて頂きすね。」と約束をして下さいました。

この騒動で通勤のお時間も不安だったでしょう。

カフェにいらっしゃる事も考えられたかと思いますが、最後の日まで何度も通って下さいました。

ホッとする時間を感じて頂けるなら、
ここで過ごす数分は心を保つ為にも必要な時間なのではないかなと思います。

息抜きの仕方は人それぞれ。

小さな街の小さな店を必要としてくれる方がいらっしゃるから、私は店を開けてせっせと焼き菓子を焼いて、

5月からは焼き菓子のお持ち帰りのみと言いながらも、コーヒーが飲みたいと言って下さるなら、ありがたく淹れさせて頂く。

まだ先が見えない中、
自分自身が生き抜く為の息抜きをどうか探して頂きたい、そう思っていました。

皆さんきちんとマスクをして来店され、
入店されたら手洗いをしアルコール除菌をして、

帰られるときは、

美味しいものをありがとう。
店を開けていてくれてありがとう。
また来るから頑張ってね!

と私を気遣って下さる。

今、書いていて改めて気が付きました。

そうだ…私が生き抜く為にここが必要なんだ。

人の為にと想う気持ち、
誰かの息抜きを作りたいという気持ちが私を生かしてくれていました。

生き抜く為の息抜きを作る為に私は生きる。

そうだった、そうだった。

私に出来る事はこれしかなかった。

さて、明日もたくさん焼き菓子を焼きます。




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