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【登録団体インタビュー】NPO法人 ジャパンアウトドアファクトリー岡山支部

ゆうあいセンター登録団体の活動を市民の皆さまに広く発信するとともに、私たちや他利用団体とのネットワーク構築に繋げるという目的をもち、今回のインタビューは、ジャパンアウトドアファクトリーのポケットさん(ボランティアリーダー/大学3年生/右上)と、つくねさん(スタッフ/右下)のお2人にお話を伺いました。
そして、活躍している学生ボランティアにスポットをあてて、お送りします。

つくねさん(左)ポケットさん(右)

ー本日はインタビューにご対応いただき、ありがとうございます。ボランティアリーダーのポケットさん、スタッフのつくねさん。とても独特なニックネームですが、由来がありましたら教えて下さい。

ポケット:
ポケットモンスターが好きで、先輩につけてもらいました。ポケモンよりポケットの方が可愛いなと思って。
つくね:名付け親の先輩が好きな食べ物が由来です(笑)

ー代々先輩につけていただくのが恒例というのも、部活みたいで面白いですね。では、早速ですがジャパンアウトドアファクトリー(以下JOF)での活動内容を教えてください。

ポケット:
毎月土曜日と日曜日に、日帰りのアウトドア活動やキャンプを楽しんでいます。川遊びや山登りをしたり、クラフトモノづくりでは、バードコールやキャンドル作りといった活動もしています。

豪渓にて川遊び(2021年7月/JOF提供)

ーバードコールは誰でも簡単に作れるものなのでしょうか?

ポケット:
事前にリーダーたちがドリルで穴を空けておいて、子どもたちが仕上げをしていきます。ドリルを使ったことがなかったり初めてのことも沢山ありますが、段々と出来ることが増えてきて楽しいです。

ーありがとうございます。新しいことが出来るようになるのは、わくわくしますよね。ちなみに、本日もゆうあいセンターの会議室で活動されているとのことですが、何をされているのですか?

ポケット:
今日は明日から始まる活動の準備や、次のテーマについてリーダーで会議をしています。実際にプログラムを実施する際に必要なものも手作りしています。

ー会議だけでなく、手作りで準備をされているのですね。ボランティアリーダーについて教えてください。

つくね:
継続参加型のボランティアで、大学生や専門学生などが対象になります。アウトドアの特別なスキルは必要なく、チームリーダーとして子どもたちと思いっきり遊ぶことや、一緒に企画を考えるなどリーダー自身も楽しんでもらうことを目的としています。岡山支部は現在15名ほど所属していて、キャンプでは他支部リーダーとも交流があり、ざっと100名ほど各地に所属リーダーがいます。初回の体験説明に来て頂く場合のみ、交通費を実費負担でお願いしています。

ーリーダー同士の県域を越えた交流はとても魅力的ですね!ポケットさんは現在大学3年生とのことですが、いつからJOFの活動に携わっているのでしょうか?

ポケット:
1年生の5月に体験に来た時をきっかけに、継続して関わっています。現在教育学部で小学校の先生を目指しており、子どもたちと関わる機会も欲しかったし、活動も楽しそうだな、と魅力を感じました。外遊びも好きで、小学生の頃は友達家族とキャンプに行ったりしていました。大学生になっても体験できるのは嬉しいし、楽しみながら活動しています。

ーそうなんですね。好きなことを活かしてボランティア活動が出来たり、将来の夢に纏わる知識や経験が増える機会は貴重ですね。実は私もキャンプが趣味でして。ずっとJOFさんのことが個人的にも気になっていたので、今回お声がけさせていただきました。

ポケット:
経験値はかなり得られているなと実感しています。楽しそうな子どもたちを見ている自分も楽しいですし、活動に携わることによって充実した1日を過ごしています。
つくね:インタビューのお声がけをいただいた時、私たちの団体を思い出してくれて嬉しかったです。会議室でいつもお世話になっているので、ちょっとでも接点が持てればとこちらも思っていました。

ーありがとうございます。さて、本題のキャンプについてお話を聞いていきたいのですが、日帰り、宿泊と様々なプログラムがありますね。西粟倉のキャンプ場では何泊のプログラムがあるのでしょうか。

ポケット:
日帰りの子どもたちは会員登録されている方が多いですが、宿泊はその都度募集をしています。リピーターが多いので顔見知りの子が多いことも特徴です。長期休暇(春夏冬)にキャンププログラムを実施していて、短いもので2泊。高学年(5年生以上)を対象に、長いもので10泊のプログラムがあります。

ー10泊ですか!?完全に野営生活ですね、楽しそう。
ホームページのスタッフ欄にある受賞歴について教えてください。

つくね:
年に1度、アワードとしてリーダーを称える機会があります。スタッフだけではなく、リーダーで受賞している子たちも沢山います。チーフディレクターが今までの頑張りなどを評価して決めるので、私たち担当スタッフも当日まで誰が受賞するか知らされていないまま当日を迎えるんですよ。ドキドキです。

ーありがとうございます。他にも”専用の連絡カード”というものもあるんですよね。

つくね:
日帰りでは扱っていないのですが、宿泊となると常備薬やバスの酔い止めなどを間違えずお渡しできるよう、それぞれカードを付けてもらって管理するようにしています。

ー持病があって毎日お薬を飲まないといけない子にとっても、参加のハードルが下がりますね。イベント参加者の制限や条件はありますか?

つくね:
基本的には、私たちの力不足でお預かり出来ない子たち以外は受け入れが可能です。身体が不自由な子の受付が出来ないこともあります。それぞれ子どもたちが楽しめるように、保護者の方と相談をしながら参加出来るキャンプを一緒に選ぶなど対応しています。

ー難易度が高いキャンプとは、どのようなものですか?

ポケット:
例えば泊数の長いものや、友達と協力しないとクリア出来ないプログラムがあります。自分の想いを伝えたり、人の話を聞くのが苦手な子の場合には、難易度を下げたものを考えることもあります。

ー受け入れる側も試行錯誤しながら学びの機会になっているんですね。
コロナ禍で、家と学校以外の第3の居場所との接続が断たれてしまっているケースが多いなと、ひしひし感じています。ある程度屋外で自由度の高い活動が出来るのはいいですね。コロナ禍の活動の中で、困ったことや現在進行形で困っている事はありますか?

ポケット:
川遊びやモノ作り以外にも野外炊飯がありましたが、ほぼ出来なくなりましたね。子どもたちもとても残念そうです。

ーそうですよね。連泊するときの食事はどうしているのですか?

つくね:
基本的には宿泊施設やキャンプ場には厨房があるので、ご飯を提供できます。設備が整っているので、子どもたちがマスクや手袋を装着してクッキングをすることもあります。日帰りだと難しいことも、宿泊だと設備が整っており体験出来ることが増えますね。プログラムを考えるときに「これは手を繋がないといけないから避けよう」とか、「消毒液はここに何個置いておこう」とか。この2年間は神経を使うことがずっと増えました。

ーアウトドア本来の、多少の擦り傷や、泥んこになって全力で遊ぶ!なんてことも、コロナウイルスの影響下では衛生面にも気を使いますよね。

ポケット:
移動の時も公共交通機関を利用していて、以前は多少大きな声ではしゃいでもよかったのですが、今は「声を押さえて押さえて!」って言わざるをえない状況です。本当はお喋りも楽しみたいところですが、なかなか難しいですね。
つくね:子どもたちに矢面が立つのは避けたいので大変です。周りの方々の迷惑にならないように、つい口うるさくなっちゃいますね。参加判断についても時間が経つにつれて、それぞれの各ご家庭の判断が大きくなってきているなと感じています。勿論お休みされた方には、また沢山来れるように振替のお知らせをしています。選択して来ていただいたり、安心できるまでお休みしますという方もそれぞれおられます。

ーちなみに、一番遠い場所でどこまでが活動範囲になるのでしょうか?

つくね:
現在は県内での活動に限定していますが、以前は香川など電車で行ける範囲は行けていました。車で兵庫県の河川に遊びに行ったり。もうちょっと落ち着いたら行きたいですね。

日の出海岸にて、クラフト用の貝殻を集める子どもたち(2021年5月/JOF提供)

ー早く県外にも行けるようになってほしいですね。1番好きなプログラムを教えてください。

ポケット:
ペットボトルロケットがやりたいです。気圧で飛ばすウォーターロケットです。子どもたちがハイテンションになって、僕たちも楽しいです。
つくね:工作が好きです。上手い下手とかではなく、自分の作りたいものを形に出来るのが楽しいので、ついついプログラムに入れがちです。

ー活動の中で特に印象に残っているエピソードがあれば聞かせてください。

ポケット:
以前旗取りをした時に、リーダーも交えて真剣に作戦会議をしたり、子どもたちと勝利を分かち合えたことです。嬉しくて泣く子や、負けて悔し涙する子もいました。普段の大学生活では得られない心震える体験だったので、とても印象に残っています。マスクを付けて感染対策を講じながら、既に実施している地域もあります。岡山でも早く出来るといいなと思います。

ーどんなことを目標に日々活動されていますか?

ポケット:
大前提にあるのは、活動に来てくれる子どもたちを笑顔にすること。「すごく楽しい一日だった!」と、言ってもらえることです。リーダー間で協議してプログラムを作るのは大変なこともありますが、皆で形にしていくことはとても達成感があります。チームが違っても、子どもたち同士の存在が友達以上の関係になれるよう、1日の活動を積み重ねていけると、とても素敵なことだなと思っています。

ーどんなところにやりがいを感じていますか?
ポケット:
リーダー同士で協力し合いながら、ひとつの形にしていくことにやりがいを感じています。ひと月に1回でも来てくれた時に、「あ!ポケットだ!」って声をかけてもらえるのも嬉しいです。
つくね:リーダーみんなの人生のうちの4年間は、短いようでとても貴重な時間だと思います。その時期を部活並みに本気でボランティアをして、気持ちや時間を割いて頑張ったことが少しでもよかったな、と卒業していってくれたらいいなと思っています。そんなことを少しでも感じれた時は、やっぱりやっててよかったな、と思います。

ーポケットさんは、来年から就活が始まりますよね。活動ペースはどうされる予定ですか?

ポケット:
小学校教員を目指しているので教採が始まったら難しくなるかなと思っています。回数を減らすことになると思いますが、可能な限り参加し続けたいと思っています。
自分だけならやらなかったであろう活動も沢山経験出来て良かったです。子どもたちやリーダーと、楽しい気持ちや悔しい気持ちを共有したり、それを肌で感じられることは、大学生活では得られない経験になりました。

ーポケットさんの私生活の話もちょっと聞かせてください。活動以外に興味があることや趣味はありますか?

ポケット:
プラモデルを作ったりしています。ゲームも好きです。アウトドアも好きですが、基本の趣味はインドアです。
つくね:そうかと思ったら、初日の出を拝みに登山したりしてるよね(笑)
ぽけっと:休日はアウトドア、平日忙しい時はインドアって感じです。

もっぱらのアウトドア好きかと思いきや、意外とインドアな一面もお持ちのポケットさん

ーインドアの趣味は1人でも出来ることですが、本当に両極端ですね。
活動の中で沢山の人と交流があると思いますが、最初疲れたりしませんでしたか?

ポケット:
趣味はインドアですが、外に出て人と話をするのが好きです。コロナ禍でインドアの趣味だけだったら、JOFの活動がなかったら、本当に孤独になっていたと思います。交友関係もとても狭かったと思います、今思えば。活動を通して自分自身も開けていってる気がしています。

ー就職は岡山県内で考えられていますか?県外に出てみたいなど思ったことは?

ポケット:
岡山市内の教員を目指しています。外に出たいと思ったことは、あまりないですね。地元が足守で、地元に残っている友達も多くて。岡山市内はどこに行くにも立地がいいし、意外と遊ぶ場所にも困っていないです。なのであまり外に目が向かなかったですね。自然や川が多いところも含めて岡山が好きです。

ーつくねさんは職員としてJOFでお勤めされていると伺いましたが、普段は何をされていますか?お仕事にされたきっかけもあれば教えてください。

つくね:
私も学生時代にリーダーをしていて、インターンのようにスタッフになりました。今は週末の活動のために岡山に来ていて、平日は大阪で仕事をしています。各地域にそれぞれ1名ずつの担当スタッフがいます。
以前は各地に事務所がありましたが、コロナ禍でどうしても立ちいかなくなってしまって。なくなったからといっても悪いことばかりではなくて、いいこともたくさんあります。今のやり方で続けていけれればいいかなと思っています。

ボランティアリーダーたちとつくねさん

ーボランティアリーダー同士、活動以外でも交流がありますか?

ポケット:
個人的に気の合う仲間とご飯に行ったり、遊んだりしています。大学生活で出来る友達とは違って、一緒に頑張る同志であり、相談できる仲間というか。いい影響を受けています。

ーリーダーも新しい出会いがあって、仲間が出来る場なんですね。自分も活動してみたいな、と思っている人にどんな感じで誘いますか?

ポケット:
子どもと関わることが好きな人には是非勧めたいですし、団体の雰囲気もアットホームで、僕たちリーダーが温かく迎え入れます!

ー体力がなくても大丈夫ですか?

ポケット:
徐々に付いてくるので大丈夫です。最初は不安かもしれませんが、リーダーたちが丁寧にフォローもしていきます。

ーイベントに参加してみたいと思っている子どもたちや親御さんに向けてひとことお願いします。
ポケット:
学校や学年を超えた友達が出来たり、普段の暮らしの中で体験出来ないものを一緒に共有したいと思っています。是非気軽に参加してほしいです。

ー市民の皆さんにPRしたいことがあればどうぞ!

ポケット:
たった一日の活動が、子どもたちにとって最高のものになることを求めて活動しています。街の中で見かけることもあるかと思いますが、温かく見守っていただけると嬉しいです。

「何をするか」よりも大事なことは、「何をするか・何をしないか」の決断を自分でする、ということです。大人になっていくと、いい意味でも悪い意味でも選択肢が狭まっていきます。だからこそ、選択肢がたくさんあり、挑戦したり失敗したりできる大学時代は大変貴重だと思います。
そのなかで、この活動を選択したポケットさん。先生になる夢を叶えた暁には、次世代の子どもたちに向けて、自身の経験を踏まえてボランティアのことを伝えていってもらえたら嬉しいな、と思っています。
子どもたちにとってたった1日の体験。
学生リーダーたちの貴重な4年間の経験。
楽しみながらボランティア活動に取り組んでいる姿が印象的でした。

取材協力:
NPO法人 ジャパンアウトドアファクトリー
ポケットさん(ボランティアリーダー)・つくねさん(スタッフ)

インタビュー・テキスト・撮影:
岡山県ボランティア・NPO活動支援センター「ゆうあいセンター」
大塚さやか

2021年度ボランティアリーダー募集ポスター



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