2度のセリフで大好きになった映画『隠し剣 鬼の爪』

今回は、好きな映画の話をします 。

題名は『隠し剣 鬼の爪』(かくしけん おにのつめ)
永瀬正敏、松たか子の共演で2004年に公開された時代劇です。

当時の映画のキャッチコピーが「幕末。愛に生きる侍がいた。」というのでわかるように、時代劇ですが内容は若い武士の愛情物語です。

この映画で、松たか子扮する女性が「ご命令だば、しかたありますめえ」というセリフを2度使います。
私はこのセリフで、この映画が大好きになりました。
1度目は辛く悲しい『ご命令』、そして2度目は…。

私はだぶん、山田洋次監督の想いのままに操られた観客の一人だと思います。
ちなみに、好きでも嫌いでもなかった女優・松たか子もこの映画で好きになりました。


【あらすじ】

東北の小さな藩の武士・片桐宗蔵(かたぎり むねぞう)は、母親と妹そして女中のきえの4人で貧しくとも明るく暮らしていた。
やがて、きえと妹は嫁入りし、母は亡くなって宗蔵は一人で暮しになった。

そんな、ある雪の日に宗蔵は嫁にいったきえと三年ぶりに出会う。
大きな商家の嫁となり、幸せに暮らしているものと思っていたきえの姿は、とてもやつれて見えた。
その場はそのまま別れたが、後日きえが寝込んでいることを聞かされる。
きえは嫁ぎ先で酷いあつかいを受け、身体を壊してしまったのだ。

それを聞いた宗蔵は、きえの嫁ぎ先に乗り込み、「きえは、この俺が刀にかけても守る!」と啖呵を切り、きえを連れ戻します。

その後、回復したきえとともに穏やかに暮らしていましたが、噂がたちます。
「片桐宗蔵は、商家の若妻を奪い取ってふしだらに妾同様に囲っている」と。

噂を知った宗蔵は、海を見たことがないと言うきえを連れて海に行きます。
宗蔵は、はじめての海に興奮し楽しげなきえに実家に帰るように伝えました。
「このままではダメですがんすか?」と問うきえに、
「ダメだ! お前にはお前の人生がある」と答える宗蔵。

「実家にけえれ!」と告げる宗蔵。
「旦那はんのお言いつけでがんすか それは」と問うきえ。
「んだ、おれの命令だ」と答える宗蔵。
「わかりました。ご命令だば、しかたありますめえ」と涙を拭うきえ。

きえは実家に帰っていきました。

その後、藩命による幼馴染みの友との果たし合いや、悪徳な家老に「隠し剣 鬼の爪」の技を使います。

そんなあれやこれやがあり、宗蔵は武士を捨てて蝦夷(現在の北海道)へ向かうことを決意。
蝦夷へ向かう途中、宗蔵はきえの実家へ立ち寄ります。

きえに嫁入り先は決まったかと問う宗蔵。
首を振るきえ。
その答えに少しほっとしたように笑みを浮かべる宗蔵。
宗蔵はきえに蝦夷へ向かうことを告げる。
もう一生会えないのかと落ち込むきえ

そして宗蔵は、はじめて会ったときから好きだった。
俺と一緒に来てくれないかときえに告白する。

夫婦になってくれという宗蔵に
きえが問う。
「それは、旦那はんのご命令ででがんすか」
「んだ、おれの命令だ」と答える宗蔵。
「ご命令だば、しかたありますめえ」ときえが、幸せそうに答えた。


【蛇足のはなし】

この映画は、山田洋次監督の時代劇三部作の2本目です。
1本目は真田広之、宮沢りえ共演の『たそがえれ清兵衛』。
3本目は木村拓哉、檀れい共演の『武士の一分』。
(三部作とも原作は藤沢周平で、私は時代劇の作家として、この藤沢周平と山本周五郎だ大好きです)

とくに『たそがえれ清兵衛』はアカデミー外国映画賞にもノミネートされただけあって、素晴らしい映画です。
今回の『隠し剣 鬼の爪』ともども、ぜひ見てほしい作品ですね。

ここ何年かは、映画をほとんど見ていなくて、たまにテレビで放映されているのを見るぐらいでした。
ですが、新型コロナの影響で家にいる時間が多くなったのもあって、amazon primeに加入して映画を見るようになりました。
amazon primeは安くていいですね、コスパが高いように感じます。

最近は、映画の面白さを再認識しています。
これからもたまに面白かった映画のことを書いていこうかと思っています。

面白い映画があったら教えてくださいね。


本当はもっと「ご命令だば、しかたありますめえ」の話をしたかったのですが、長くなったので今回はこのへんで……。

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