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『自走できる社員』に育成するにはどうすればいいか?

ここでいう『自走できる社員』というのは『受け身ではなく自分で考えて行動できる社員』という意味です。こういう社員が多くなると会社は活気がでて勝手に成長をし続けていきます。

では『自走できる社員』に育成するためにはどうすればいいのか?
これは正直に言うと『そんな素晴らしい育成方法はない』です(苦笑)。
僕の経験上、残念ながら全員が『自走できる社員』になれることはないと思いますが(レベルはマチマチですが)数を増やすことはできると思います。自走できる人になれるかどうかはその人の性格によるところが大きいため、それは『ゼロから育成する』というよりは『当人がもともともっていた性格や価値観に気づかせてあげる』ということが正しい表現かもしれません。

この『気づかせる』ということが重要で、人によって気づかせる内容は違ってくるのですが『仕事の楽しさに気づかせる』『自分の成長が楽しいと思えることに気づかせる』『自分がやりたかったことを気づかせる』『自分の負けず嫌いな性格に気づかせる』などといったことなのかなと思います。
※『気づいた社員』は再度その楽しい気持ちを得ようと思って自分から動きだし、自然と『自走する社員』になっていくと思います。

そのうえで『(プロフェッショナルとして)自分の仕事への責任感』が芽生えることができれば、あとは勝手に自分で考えて行動していける人材になっていくことでしょう。


では、D2Cdotではどのようにやっているか?ということを今回は書いていきたいと思います。他にもいろいろやり方はあると思いますが、あくまで一例ということで。

『自走できる社員』になってもらうためには『①明確な目標設定』⇒『②責任ある裁量権の付与』⇒『③正しい信賞必罰』を行うことが重要で、そのサイクルを何度も繰り返すことで『自走できる社員』になっていく可能性がでてくるんじゃないかなと思います。
※あくまでも『可能性』です。なので『教育』とはちょっと違うのかも。

①明確な目標設定:
ここがすべてのスタートです。
達成すべきGoalが明確になっていないと、なにをやればいいのかもわかりませんので目標設定は明確に行います。

目標設定はゼロベースで本人に決めさせてはいけません。
上長が現状よりもちょっと上くらいの大枠の目標設定(方向性)を決めます。本人がゼロから決めてしまうと人によっては現状維持の目標を立てる可能性がありますし、上長が伝えた内容が『会社が対象者に期待していることである』という意味でもまずは上長が意志を示すことが大事です。
※そもそも『目標』は会社が目指したいものから導き出されるものですし。

Goalに向けての具体的な施策は当人に考えて決めてもらいます。
人によって性格や得意領域が違うので、人に決められずに自分で目標達成に向けたベストなやり方を考えるというのは至極当然なことですね。
ここにまで上の人が口出しすると『やらされ仕事』になってしまうので、アドバイスは行っても良いですが、達成に向けての施策は当人に考えてもらうというのが大事です。
※あくまで『仕事』は『自分のもの(担当)』ですので検討段階から自主性をもってもらいましょう。

設定内容の多くは直近の目標を達成するためのものになると思いますが、目先のことだけになってしまうと中長期的な視点が養えなくなるため、一部において半年~1年後を見据えた目標設定の内容も入れ込みます。
※D2Cdotでは新しいこと/やりたいことに挑戦することや、半年以上かけて積み重ねないと結果がでないような内容を設定しています。
②責任ある裁量権の付与
目標設定ができたら行動あるのみです。行動において大事なのは裁量権を与えることです。自主性をもてるかどうかで大事なのは『自分で考えたことで行動をし、結果責任をもつこと』です。上司はよっぽどなことがない限りは口出しせずに温かく見守りましょう(笑)。
※ときには失敗することも成長にとっては必要な要素です。

『自由な環境』はみんな欲しがるものですが、実際に与えられるとけっこう大変です。自由をうまく使いこなせる人こそが優秀な人材だと思いますが、いざその状況になるとなにから始めれば良いのかわからなくて途方に暮れる人もいます。ただ、『自走できる社員』はこの『自由』をうまく使いこなせることが必要な条件になりますので、当人に適正があるかどうかはここでわかると思います。

この『裁量権』をうまく使いこなし、結果をだすという経験を重ねることで自分が担当する仕事に対して『自分事化による責任感』が生まれてきます。そしてそれがプロフェッショナルになっていく過程なのだと思います。

なお、上記を実行するうえで重要なのは対象者がどのステージにいるか?ということです。例えばまだ指導(ティーチング)が必要な新卒などにいきなり裁量権を与えても使いこなすことは難しいでしょう。また、責任感がなく、自制心があまり効かない人に裁量権を渡すと調子にのって大きな失敗(倫理的な問題もあり)をする可能性が高いです。よって、どのような人に裁量権をどこまで渡すかは事前に検討の必要があるでしょう。
③正しい信賞必罰
一定の期間が終了した際には評価をしなければいけません。
ここでの評価はもちろん『結果』が大事ですが、仮に結果がでなかったとしてもどのように工夫して結果を出すために最後まで頑張ったかという『経緯』も評価します。このため、ヒアリングの際には具体的にどのように考えてどのような行動をしたか詳細を聞きましょう。

評価で大事なのは『正しい信賞必罰』を行うこと。そこに情や好き嫌いの感情を入れてはいけません。正しく公平/平等に全体をみます。

当たり前のことですが、頑張っている人が報われないと誰も結果を出そうと思わなくなるし、怠けて結果を出せない(出さない)人を降格もせずに放置しているとしっかりやっている人からの不満がたまっていきます。よって信賞必罰はしっかりと結果をみて行うのは経営者やマネージャーの責任であり、これによって『自走できる社員』がつくれるかどうかが決まります。


そして、上記とは別に大事なのは経営者やマネージャーの心構えです。
『自走できる社員』が生まれるかどうかは環境が左右します
経営者やマネージャーは以下の心構えをもって『自走できる社員』が生まれやすい環境を創っていきましょう。それが企業文化にもなるはずです。
※上の評価に向けての姿勢にも関わる内容になります。

【自走できる社員をつくるために経営者やマネージャーに必要な心構え】
①現場への強引な介入(トップダウン等)は極力避ける:
 ⇒トップダウンが多いと現場はトップの意向(顔色)をうかがう文化になっていき、自主性はどんどん失われていきます。メンバーを信頼して任せられる環境こそが『自走できる社員』をうみだすものだと思います。
また『暗黙のトップダウン』というものも存在します。口答では「どう思う?」と聞きながらも相手からの返答は「YES」しか言えない状況になっている、というものです。これも上にいる立場にありがちな失敗なので気をつけましょう。

②提案してきたことは極力受け入れる(却下するとしても否定はしない):
③自主的に行動したことを評価する文化をつくる:
 ⇒メンバーがなにかしらの提案をしてくるということは『ゼロ⇒イチ』の行動をしたということです。それだけでも十分な評価に値するし、仮に提案内容がイマイチだったとしても否定することなく評価をすることで自主的な行動は評価される会社だという文化をつくりましょう。
※却下する場合にもきちんと理由は説明しましょう。

④メンバーを『群』ではなく『個』としてみる:
 ⇒多様性が叫ばれるなか、メンバーひとりひとりの個性はさらに複雑化してきています。経営者やマネージャーにありがちな失敗ですが、社員たちを『群』としてみてしまい、全員統一のルールや成果を求めてしまいがちです。しかし社員はひとりひとり別々の感情をもった『個』であるため、できる限りひとりひとりに合った接し方をすべきだと思います。

⑤会社や組織の情報(主に活動内容)を社員に随時開示する:
 ⇒これは会社や組織によってどこまで開示すべきかという考えはあると思いますが、情報(主に活動内容や方向性)は極力開示しておいた方が『自走できる社員』は状況を踏まえて考えて活動できるようになると思います。

つらつらと書いてきましたが『自走できる社員』を増やしていくためには、企業文化としてそういった社員を評価することが最も大事だと思います。
経営者やマネージャーはそういう環境を用意するし、評価でもきちんと反映する、ということができれば自然と『自走できる社員』は増えていくのではないでしょうか。

ちなみに『自走できる社員』と『自分勝手に暴走する人』は全然別ものなので勘違いしないように注意が必要です。前者と後者の大きな違いは思考や行動の軸が『企業/組織』にあるのか『自分』にあるのか、です。
後者の方の軸が強そうな人には裁量権を与えると逆効果になる場合があるので、うまく指導しながら前者の人材になれるように導いていってください。

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