大根の気持ちになるとは
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大根の気持ちになるとは

相馬 光

 日記を読みたいと言ってくださる方がいて、うれしくて久しぶりに更新する。
 求められるってうれしいのだ。
 特に他の誰でもなく、私の言葉を求めてくださることが何よりうれしい。
 でもいつもの日記の感じなので悪しからず。
 相変わらず暮らしのことばかりになると思う。

✍️

 先週、ワクチンの1度目を打った。
 色々と良いタイミングが重なり、予約が取れたのだ。
 会場の動線がものすごくしっかりしていて驚いた。
 受付前から人が滞留しないように常に動きがあるように配慮されていて、何も考えなくても「○番へどうぞ」と促されそこへ歩いていき、紙を渡して、またさらに奥へ進む。
 気付いたら腕をまくり注射をチクリといただいていた。
 接種後待機する時間があるのだが、その時に椅子に座ってぼんやり「これ何かに似ているな」と思っていたらわかった。
 すごい最先端の工場で仕分けされてる大根だ。
 コンベアに乗せられてシャーンシャーンと移動して、不良品はより分けられて、上がって下がって箱詰めされて出荷するアレだ。
 まさかワクチン接種で大根の気持ちになるとは。
 待機時間を終えた大根は、家族の大根と合流し、アイスを買って食べましたとさ。

🏭

 今一緒に音声ドラマを作っている平野鈴氏が主演した映画『僕の一番好きだった人』がロードアイランド国際映画祭に出品された。めでたい!!

 ご自身のラジオでも話されているのだが、8月22日までWEBで無料公開されている。

 ページ下部の『Tickets』のところからvimeoに飛べるのだ。
 早速拝見したのだけど、めちゃくちゃ好きな映画だった。
 たった43分なのに流れている時間が濃くて。
 だけど足りなくて、もっと見たいと思ってしまい、見終えてすぐにもう一度見返した。
 2人しか出てこないのに、出てこないからこそ不在の人物が浮かび上がる。
 一瞬重なり合う2人の時間が危うくて切ない。
 関係性の中でスリルが生まれて、惹きつけられるのだ。
 そして何よりこの家。
 まさに家が影の主人公というか、家そのものが家主である叶絵の内面として機能していた。
 縁側で2人が花火をするシーン、2人を隔てるように真ん中に柱がある。
 その柱が境界のようになっていて、踏み越えたい人物と、踏み越えられない人物の、人と人との壁のようなものが見事に映し出されていた。
 実はこのこと以外にもたくさん、本当にたくさんのことを言葉にしたのだが、それはもう届けたい人に届いたので、ここではこれだけを書く。
 真夏のピークが去った昼下がりや、虫の声のする夜、そして土砂降りの日も、夏という季節の中であればいつでも見たくなる、というか会いにいきたくなる映画だ。
 未見の方はぜひ。

🌊

 夏という季節を年々嫌いになっている。
 端的に言って暑すぎるのだ。
 絶対に前よりも暑い。
 ニュースを見ても「あの19〇〇年を超えた」「8月史上最も高い」「10年ぶりに平均気温を更新」などの暑苦しい文字が並ぶ。
 なんだお前。ボジョレーか。
 なんで毎年自分のベストを更新しようとするんだよ。
 向上心の塊じゃないか。体育会系出身なのか。
 昔はこんなんじゃなかった、なんて言葉は言いたくないのだけど、やっぱちょっと度が過ぎませんか、この暑さは。
 そう思ったら「あっ、そうっすか」みたいな感じで急に寒くしたでしょ。
 見てますよ。先生見てますからね。
 誰ですか、寒くしたの。先生黙ってますから手を挙げなさい。
 この2日ばかりは涼しいというよりもなんか寒くてこわい。
 こんな緩急つけられたら私たち大根だってしんなりしちゃいますよ。
 まじで頼むぜ。仲良くやろうぜ、夏よ。

🌞

 最近走っている。
 元々歩くのが好きでほてほてと打ち合わせ先の街や近所を歩いているのだが、「この暑さの中で短い距離走ればすごい汗かけるし良い運動になるんじゃないか?」と思い立ち、危険な暑さでない、ギリいけそうな早朝などに走っている。
 近所に大きい公園があるので、そこを目指して歩道橋を越えて大きな坂を登り降りしてなるべく汗をかける道を選んで走る。
 正直気まぐれで始めたので3日続けばいいかなと思っていたのだが、2週間近くほぼ毎日走っていてびっくりした。
 先日も早朝に走っていたら、私の横を自転車に乗った小学生がゆっくり通り過ぎて行った。少し走ったらその小学生が止まっていて、通り過ぎようと思ったら、また走り出すが何度かあり気付いた。
 「こいつ、煽ってやがるな」
 私を追い抜くとノロノロと走り、少し距離を保って止まるのだ。
 なんじゃいお前、そんなに中年を追い抜いて楽しいのか。
 2輪に乗って楽してやがるくせにと思いつつもペースを崩さず走っていたのだが、ついに奴は私を追い抜き少し離れた場所で止まると、クルリと振り向いて「まだそこ?」って顔で私を見たのだ。
 そうなったらやってやりますよ私にだって意地がありますからね。
 これでも短距離は早かったんだ。
 200m走で学校代表に選ばれて区で11位(ビミョー)という成績を残したんだぞ。
 だけど奴は二輪なんて文明の利器に乗ってやがるので、私が本気を出したことに気づかれたらすぐに逃げられるだろう。
 だから一見ゆったりしたペースを保ったままだけど、奴が背を向けて止まったその瞬間にグイッと追い抜くのだ。
 そう心に決めて、すぐ奴が止まった。
 ここぞ!とばかりにダッシュをして追い抜いたのだけど、奴が全然追ってこない。追ってこないどころか後ろを向いたまんま止まっている。
 あまりのことでびっくりしたのだろう。区で11位の俊足を目にして「道にピューマが現れた!」と泣いているのかもしれない。
 と、思ったのだが、私も後ろを振り向いて気付いた。
 私の少し後ろにゆっくりと自転車を漕ぐおばあちゃんがいた。
 小学生、おばあちゃん待ってた。
 めっちゃ良い子だった。私、眼中になかった。
 おまえ、いいやつ。おれ、やま、かえる。
 デロデロに疲れて家に帰り、「私ってなんなんだろうな」と思ってシャワーを浴びた。
 慣れないダッシュをしたせいかその日から数日間股関節が痛んだ。 

🚲

 ここ最近は、仕事と並行して先ほども書いた平野鈴氏とドラマ作りを行っている。
 収録日も決まったので、いよいよ公開が近いな、と日々感じる。
 このドラマは自分にとってすごく特別だ。
 でも、自分にとってすごく特別だからぜひ聞いて欲しいなんて、そんなことは書けない。だけど、すごく面白いものができる予感がある。
 今こんな状況になってしまって、家から出ることにも恐怖を感じるような日々だ。
 だからこそ、お家や散歩中など、いつでもどこでも聞いて楽しめるものを届けたいと思っている。
 今はとっても大変だけど、ほんの少し、ほんの少しでいいからその大変さや辛さを忘れられる時間になってもらいたい。
 だからご覧いただいているみなさまもどうか、お身体にだけは気をつけて、健康に過ごしてください。

 

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相馬 光

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相馬 光
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