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「和食って何でも健康なのか?」

 文化としての和食がユネスコ無形文化遺産に2013年に登録されたことは誠に喜ばしく且つ誇らしいことでした。

 その日本料理・和食の歴史を紐解けば、その起源は稲の神様と共にお酒を飲みながら小皿料理を頂く神人共食(しんじんきょうしょく)にあります。
 その様式は式三献(しきさんこん)と呼ばれ、それが室町時代の本膳(ほんぜん)料理へと段々に進化をしていきます。

 その後、懐石(かいせき)料理や会席(かいせき)料理などのスタイルも出てきて現在の和食文化に繋がっています。
 懐石料理とともに発展した茶湯文化は、現代に日本人にも受け継がれている美的感覚の礎だとも思います。
 日本料理の歴史の話にはとても興味深い内容が多く、知れば知るほどその素晴らしさに感動を覚えるほどです。
 そんな素晴らしい日本料理がユネスコ無形文化遺産に登録されたということは、さぞかし理にかなったもので、余計なものを省いた美しさと味があると誰しもが思うのは当然なことでしょう。

 また、大豆や米などを発酵させて作る味噌、醤油、納豆などの発酵食品は日本が誇る素晴らしい健康食品ですが、今ではこれらの発酵食品にも様々な食品添加物が入ってものも売られていて悲しい状況です。

 実は和食にはあまり健康的と言えない意外な盲点もあったりします。その一つが焼き魚です。
 イワシ、サンマやサバなどに代表される青魚の油(脂肪酸)はオメガ3系の必須脂肪酸です。
 EPAやDHAで有名なでオメガ3脂肪酸ですが、この脂肪酸は熱にとても弱くて酸化しやすいため、効率良く人が体内に摂り入れることが結構難しい油でもあります。
 そんなデリケートな油を持った青魚を七輪やグリルで煙をもくもくさせて焼いていませんか?
 残念ながら、煙が出ているということはDHAやEPAが酸化してしまったという合図なのです。

 酸化した油を摂取することは細胞内のアブラに酸化したアブラが入り込むということですので出来るだけ避けたいものです。
 昔から「魚の焦げたところを食べるとガンになるよ」、と言われていたのは迷信でも何でもなくて、全くもって化学的にも正しい知識なのです。
 中年男性の加齢臭で嫌な匂いがするのも、体内のアブラが酸化して嫌な匂いを発しているからと言われています。

 さて、日本料理には植物油のオメガ6系のものを使うことが多く、この脂肪酸も必須脂肪酸なのですが、この脂肪酸は摂り過ぎると身体に良くないことも分かっています。
 今の日本ではオメガ6系脂肪酸はそれほど気にしなくても十分に摂取できるどころか、逆に気にしなかったら必要以上に摂り過ぎてしまい体調を崩す原因になりかねません。
 毎日のようにコンビニ弁当やスーパーのお素材を買って食べているような方は、間違いなくオメガ6過多になっていますのでご注意ください。
 
 そしてもう一つは皆さんが大好きな白米が盲点なのです。
 白米のGI値が高いことをご存知な方も多いと思います。白米は日本人の糖質の摂り過ぎの原因の一つになっています。
 GI値とは食品に含まれる糖質がどれぐらいの割合で身体に吸収されるのかを表したものです。
 昔は玄米食を食べたり、自宅で精米をしていたので三分づき程度の精米度だったのでそれほど問題もなかったのです。
 今の精米は精白米と言われ、胚芽も糠も全てきれいに取り除かれたきれいなものです。
 そのために米粒一粒内の栄養のバランスが崩れているという考え方をしても良いのではないでしょうか。
 言ってみれば、糖質の塊になってしまっているのです。その分、白米を炊くと甘くて艶のある美味しいお米になるのですが、、、。
 玄米にはその糖質をちょうど良いものにしてくれるビタミンやミネラルも豊富に入っていてバランスが良いということですね。

 若い人は大丈夫ですが、年齢を重ねるごとに白米を食べる量は減らしたほうが健康ですね。

 日本料理は、日本人のイマジネーションとアレンジ精神で目覚ましい進歩と発展を遂げてきました。
 しかしその一方で、今では難しい和食メニューがレンジで温めるだけ簡単に出来てしまうインスタント食品もたくさんありますが、ほとんど理科の実験と同じです。
 ものに拠っては、とても人が食べるものではないと思えるようなものがあるのも事実です。

 ユネスコが和食を「和食の食文化が自然を尊重する日本人の心を表現をしており、伝統的な社会慣習として世代を越えて受け継がれているものである」と評価しています。
 この評価に恥じないように、世界の中の日本人として生きていきたいなぁと思います。

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この文章は既に上梓しています「小学5年生でもわかる‼️ 食と健康のはなし1」から抜粋したものを再編集・加筆したものです。
 
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