撮れちゃった写真。良いフォトグラファーとは…~取材のこぼれ話~

ここ3日間、ラグビーワールドカップの取材が続いています。
今日9月23日の朝刊には、撮影した写真がスポーツ面に大きく掲載されました↓↓

画像1

アイルランドの選手が仰向けにのけ反りながらもトライする、力のこもった瞬間を見事に捉えていますね!笑
トライを防ごうとするスコットランド選手の必死さも表情から読め、攻防の激しさがビシビシ伝わってきます。

「ナイスショット!」と思わず声が出そうな、THEスポーツ写真!!



ですが、、、、




正直に言います。これ偶然撮れちゃっただけなんです。
決して私の腕が良いから撮れたわけじゃないんです…。
残念ながら。。。

↓は掲載される元のトリミングなしの写真です。
なんの加工もなし。撮ったそのまま。

画像2




お気づきでしょうか。いや、一目瞭然ですね。
トライする人(紙面で使われた部分)が本当にちっちゃい。
見えない位に…。
そう、紙面に使われた写真はかなり大胆なトリミングをしていると。

写真を撮ったことがある人にはすぐにバレると思います。
「重要な場面だから、とりあえず連写しまっくったら写っていた」と。
決して狙って撮った写真ではないのです。


最近、業界用語で「鬼トリ」と呼ばれる現象です。
(実際に使ってるのは私の周りだけです。たぶん)
意味は、「画素数が良くなったカメラの性能が、カメラマンの腕(ミス)を補ってくれる」です。
完全にフォトグラファーをからかう(今風に言えばディスる)言葉です…


良いスポーツカメラマンの条件のひとつは、そのスポーツの醍醐味を伝える瞬間を適正な画角で撮れるとことだと思ってます。


ですが、この写真は95%が運とカメラの性能でできています。
僕はその場にいてシャッターを押しただけ。(残りの5%)

要は、もう今のカメラがどれだけ素晴らしい性能かが分かると思います。
別にニコンやキヤノンの回し者じゃないっすよ。笑

鬼トリしても、紙面で使える写真になるんですから。
10年前のデジタルカメラだと、これだけトリミングした写真は粗くなって紙面では使えませんでした。


まぁ、どの業界も同じように、たまに「運も実力のうち」という言葉も聞きます。たしかに、どれだけ腕が良くても、撮影位置が悪ければ良い瞬間を撮れないですからね。

なので今回、私はここぞとばかりその言葉をかみしめています!笑
気付けばしょっちゅう自分に言い聞かせてますが。。。


写真を生業にしてはや13年。
何年経っても、まだまだ日々是精進です。

以上、紙面に掲載された写真の裏に隠された、カメラマンのありふれた日常でした。

P.S 
決して褒められた話じゃないんですが、ひとつの職業の裏側を知ってもらい、少しでも親近感を持ってもらえれば幸いです

この記事が気に入ったら、サポートをしてみませんか?気軽にクリエイターを支援できます。

16
朝日新聞のカメラマン。2014年9月から4年8カ月仙台に住み、被災地のいま、東北のいまを取材してきました。 特に原発事故の被害を受けた福島の浜通や、風光明媚な東北の絶景と各地のうまいものが得意分野。

この記事が入っているマガジン

コメント (1)
偶然撮れてトリミングで更によくなった写真、やはり今の技術ですね。
スポーツに限ってでは種目によると思いますがフィギュアスケートはトリミングでどうにかならずカメラマンの腕が試される被写体ではないかと。プロの方が数千枚撮った中から選んだものが紙面や雑誌にのってますが瞬間的によくこれをとれたものだなとというのを沢山みかけます。感性が必要な分野だなと思いました。
コメントを投稿するには、 ログイン または 会員登録 をする必要があります。