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提案の型は、「仕事観」があってこそ

このnoteの概要

こんにちは、村井庸介です。
就職・転職における内定取り消し、自宅待機が増え今後のキャリアについて悩む方の話を聞く中、僕が世の中に貢献出来ることは何かと考え、働き方・キャリアについて、出版した2冊の著書をもとに、このnoteを始めました。

前回までは、異動や転職、取引先への「提案する際の抑えておきたいポイント」についてお伝えしてきました。

今回からは、私がこれまでの転職経験を経て育んできた「仕事観」についてお話しします。「提案」の背景には、ビジネスパーソンとしての「仕事観」という基盤が必要だと考えるからです。

そもそも、なぜ人は提案したくなるのか?

提案というのは、誰かに強制されて行うものではありません、むしろ自発的に行うことがほとんどでしょう?

提案、成果創出までの過程は、ざっくり以下のような流れをたどります。

・相手がよくなり、喜んでもらうために
・自分の資産(能力・経験)を最大限に活用する方法を
・自ら積極的に手を挙げて実行し
・成果を挙げた結果として「ありがとう」と言ってもらう喜びを得る

たとえば、ゴールを考える際、自分(自社)が受注して成績を上げることだけを目的とするなら、あえて「正しくない(相手にとってベストではないが、自分にとっては有利な)」ゴールを設定して提案することも、できなくはありません。

つまり、コンペに勝つことだけを目的とするなら、提案の型である「GISOV」をテクニックとして用いれば、「勝つためだけの提案」も可能だということです。

しかし、この場合の提案は、相手にとって一番いいものではありません。場合によっては「何だよ、こんな提案して」と後々思われるかもしれません。

結果として、自分に「ありがとう」が返ってこないことになります。残るのは、相手からの不信と、自分の虚しさだけでしょう。自分の会社の仲間からも「なんでこんな受注しちゃったの?」と言われるかもしれません。

同じ提案であっても、自分にとって喜びが得られるものと、虚しさしか残らないもの。その違いは、バリューにあります。自分にとっての本当のバリュー(付加価値)と、仕事や会社のゴール(目的)とのつながりが見えない状態だと、仕事に喜びを見出すことができず、どんどんイヤになっていくのです。

私がそのことを痛感したのは、野村総研の次に入社したリクルートに在籍していた時のことでした。

求人広告の営業を担当していたのですが、当時の私は、自分のバリューは何なのか、自分の特性がどこにあるのか―たとえば自分が何を大事にしていて、何の優先順位が高いのかについて、まだまだ無自覚でした。自分がわかっていなかったのです。

最初の2カ月は受注がとれて、好調でした。そのため、2カ月で四半期の目標を達成できました。しかし、その先に壁がありました。受注後のフォローもしなければなりませんから、仕事はどんどん増えていきます。

一方で営業ノルマは厳しくのしかかります。

すると、提案の質が下がってきたのです。売る商品は決まっていますので、とりあえず「これ、いりませんか」と、押し売りに近い無理な営業をするようになりました。

結果として、営業成果はどんどん落ちていきました。

当然、喜びはありません。仕事がイヤになってきます。
「なぜだろう?」と考えてみて気がつきました。「ノルマを達成するために売りまくる」ことと、「受注後のフォローをする」こと。どちらも自分のバリューを活かせない、どちらかといえば苦手なことだったのです。無理に受注して、その後のフォローも苦手。すると「イヤイヤ作業」が増えます。

相手によくなってもらうという仕事のゴールに対して、自分のバリューが発揮できていない。だからイヤになるのです。

相手がよくなるから、自社や自分がよくなる

さらに当時、自社の方向性に沿わない、不得意な顧客領域にまで踏み込まざるを得ない状況にもなりました。そして、単価を下げてでも受注する。

とったのはいいけれど、会社にとっても負担が大きいということになります。すると、相手からは「最初はいいことを言っていたけれど、結局、話が進まないよね」と言われます。同時に社内では「面倒で儲からない注文をとってきた」と受け止められてしまいます。

もちろん、戦略的にあえて不得意な分野に打って出たのであり、あらかじめ「大変だけれど、こういう理由があるからあえてここを攻めましょう」という認識ができていれば問題はなかったでしょう。しかし、当時の私には、そういう視点も余裕もありませんでした。

すべて私がまいた種であって、もちろん会社のせいではありませんが、結果として、相手にも、自分の会社にも、そして自分自身にも負担をかけることになりました。

そこで思い出したのが、野村総研で教わった「顧客と共に栄える」という言葉でした。仕事とはそもそも、みんながハッピーになることを目指すものであるはず。相手もよくなる、自分の会社もよくなる。そして自分もよくなる。仕事とはそうあるべきです。

そうではない仕事をすれば、外からの評価も、社内での評価も下がります。自分の仕事や作業もイヤイヤやらなくてはなりません。それは仕事として不幸な状態です。誰も嬉しくないのです。

それを解決するためには、「GISOV」という「型」を守ること、仕事の本質に立ち返り、仕事のゴールと自分のバリューを一致させるのが大事だということを、はじめての転職で学んだのでした。

出展:どんな会社でも結果を出せる! 最強の「仕事の型」


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