歌詞を書いてみよう(下ごしらえ編)

さてさて、前置きで1つの記事にしてしまいましたので、気を取り直して歌詞の書き方をまとめていこうと思います。

今回、想定している読者のイメージは2点

・作詞未経験の方

・そもそも何を書こうか決めかねている方


特にコレといった題材が決まっていない場合は、大きなカテゴリーから決めて、徐々に具体的なシチュエーションへ絞っていくようにすると良いと思います。

歌詞を書くにあたって、アプローチの仕方は色々ありますが、今回は4つのステップに分けてイメージを作っていく方法をご紹介しますね。この4STEPがいわば下ごしらえになって、それを基に歌詞を書いていくスタイルです。

そのステップは、①テーマを決める。②主人公と相手との関係性を決める。③具体的な設定を決める。④主人公の気持ちを考える。の4つ。

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この中で最も情報量が多くなってくるのが③で、ここをしっかり埋めていけると歌詞を書き始める際に楽になります。その他のステップは決めるだけという感じですが、あえて文字にして視覚化しておくと、言葉が出てきやすくなる気がしています。

尚、各STEPはノートやPC、携帯のメモ機能などを使って、文字を残しておいてください。僕はいつも専用の歌詞ノートを持っていて、どこでも作業できるようにしています。実際に歌詞を本書きし始める時は携帯やPCが合っている場合もありますが、下書きの段階では手書きの方が効率が良いように思います。

STEP1 テーマを決める

先ずはテーマ決めから入ると、行き詰まりするケースが減るのでオススメです。既に具体的なイメージが浮かんでいる方は、この段階は飛ばしても良いです。

よくあるテーマとしては①恋愛②友情③社会派④応援歌などがあります。変わり種としては⑤社歌や校歌など、団体のテーマソング的な歌もありますね。こういうジャンルは職業作家さんが手掛けるのが普通だと思いますが、遊び感覚で作ってみるの面白そうですね。あとは、今は我が国では書かれる事が無いと思いますし、今後もそうであってほしいですが⑥軍歌というテーマも世界中にありますね。

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さてさて、大きなテーマを決めたら、次はもう少し絞ったテーマを決めます。例えば一口に恋愛と言っても、片想いの歌だったり失恋の歌だったり、フラれた側の恨み節や、果てはストーカーの歌など、色々な題材がありますので、好きなテーマを決めてみましょう。

友情というテーマを選んだ場合も、色々なシチュエーションが考えられますね。親友の事を歌う事もできますし、応援歌だったり卒業や転勤などの別れを書くのも良いですね。

STEP2 主人公と相手の関係性を決める

STEP1でテーマを決めたら、次は主人公と相手の関係性を決めます。主人公というのは、そのままですが歌の中で歌われる中心になる人物です。シンガーソングライターの曲は、この部分がアーティスト自身というケースも良くあります。でももし書き手が男性だった場合、あえて女性になってみるのも有りですし、人じゃなくても良いと思います。楽器になっちゃうとかね。

そして、歌というモノには大抵の場合、主人公と対になる他者が登場します。分りやすいケースだと、前述の恋愛や友情の歌では、恋人や友達が出てきますね。また相手は個人だけでは無く、社会や団体全体、常識や風潮などの概念を置く事もできます。ゴスペルでは神様を相手に歌われますし、未来や過去の自分を相手として設定するのも面白そうです。

そして、主人公と相手が互いにどういう関係なのか書いておきましょう。上に添付した写真で考えると、恋愛で片想いをテーマに選んだ場合、相手が先輩だったり、後輩・同僚などのパターンが考えられますね。ここまで進めてくると、徐々に頭の中で物語が生まれてきている方もいるのではないでしょうか。そういった具体的なディティールを、次のSTEPで埋めていく事になります。

STEP3 具体的な設定を決める

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さぁ、下ごしらえ4STEPはここがメインの箇所になります。このSTEPでは、ここまでで決めてきた設定を、より深堀していく作業になります。この後、実際に歌詞を書いていくにあたって、ここで設定を追い込んでおくと、書く内容に関しては悩むことが限りなく少なっていきます。

逆に、ここをおざなりにして歌詞を書き始めると、拠り所が無いために内容に矛盾がおきたり、先に提示しておかなければいけなかった要素が後半に突如現れたりして、非常に聴きづらい詞になってしまう事もあります。例えば、途中まで主人公目線で展開していたのに、急に第三者目線で教訓を述べ始めたとか、、、「窓に打ち付ける雨を眺めている」という描写があったから、当然室内にいるのかと思っていたのに、「ずぶ濡れの僕を抱きしめて」なんて言い出したら混乱しちゃいますよね。いや外から眺めてたんかいー!って言われそうです。他にも、恋人へのラブソングかと思って聴いていたら、最後に”大好きな僕の愛犬”って…あ、それはむしろ面白い演出になりそう。

さて、ここで決めておくべき設定は①主人公のプロフィール②相手のプロフィールと、他に決めておきたい設定として③季節④場所⑤天気⑥時間の合計6項目です。

③~⑥は決めておくと、浮かんでくる言葉やシチュエーションに統一性が出てきます。最初にざっくり決めておいて、主人公と相手の設定を深堀りしていく中で、必要があれば加筆修正をしていくと良いかと思います。例えば”夏の晴れた夕暮れ”としておいたけれど、設定を作り込んでいく中で、”夏の夕立の直後”の方が合っていると思ったので直す…というような感じです。よりリアルに感じられるようなシチュエーションや、曲のメッセージを表現しやすいような設定が出来ると良いと思います。

主人公や相手の設定については、なるべく多くの要素を集めてプロフィールを作ります。特に・性格・好きなモノや嫌いなモノ・得意不得意・立場(会社員だったら入社何年くらいか、どんな仕事で役職は?学生だったら何年生か、理系か文系か、部活は)などは歌詞の世界観に繋がりやすい感じがします。あと声質話し方、服装、くせなどもイメージしておくと使えそうですね。このあたりは思いつくままにドンドン書き足していけば良いと思います。

ここまで来ると、創られた世界の中で、主人公たちの目に映る景色や聴こえる音、感じているもの等が見えてくるのではないでしょうか。それも忘れない内にメモに書き残しておきましょう。

STEP4 主人公の気持ちを考える

主人公の気持ちを考える事は、曲全体のメッセージに繋がるので、とても重要な要素になります。とはいえ、STEP3までをしっかり作り込んでいる場合、それほど難しい作業ではないと思います。シンプルで良いと思います。映画やドラマのメッセージも、辿り着けばシンプルなモノが多いですよね。歌も同じです。


さぁ、これで下ごしらえは終わりです。どうでしょうか、4つのSTEPを文字にして可視化することで、頭の中で物語が生まれてきているのでは無いでしょうか。止めどなくアイディアが溢れてくる時もあれば、まだ不完全な状態だなぁという状態の時もあります。下ごしらえの段階ではそれで良いと思います。というのも、次の記事では実際に歌詞を書き始める事になりますが、いきなり清書するワケではなく、まずは言葉を書き出していき、そこから今度は刈り取っていく作業をします。その段階で更に作品の世界観が見えてくると思います。楽しんでいきましょう。


ではでは。

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