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PMMが3ヶ月で人事労務freeeの基礎解説セミナーを作るまで

こんにちは。freeeでPMM(プロダクト・マーケティング・マネージャー)をつとめる伊関洋介です。

ふだんは、部署やチームを横断した社内の課題解決プロジェクトを担当しています。

PMMは海外では一般的ですが、日本ではまだまだ数が少ない職種です。freeeでは数年前に、海外カンファレンスに参加した役員が先進的なPMMの事例を知り、実験的にポジションを作りました。今ではメンバーも増え、各々が専門性を活かして活躍しています。

本記事では、PMMが中心となって進めた「人事労務freee 基礎解説セミナー プロジェクト」の事例を通して、PMMの具体的な仕事内容や、freeeでの役割をお伝えしていきます。

本記事はライター・佐藤まり子さんによるインタビューをもとに作成しています。どうぞご覧ください。

伊関 洋介(いせき ようすけ)
東京外国語大学中国語学科 卒。新卒でトヨタ自動車に入社。グローバルの需給調整業務を経て、アフリカ事業へ異動。南アフリカ駐在時には、サブサハラアフリカのマーケティング支援などを経験。2017年3月にfreeeに入社し、会計事務所向けのセールス、SET(営業企画)、アライアンス業務を経て、現在PMMとして会計の新プランリリースなどに従事。副業でLEKKER株式会社を経営。趣味はロードバイク、トライアスロン。最近長距離ライドのブルベに挑戦し、600kmを一泊二日で完走。

ユーザーが導入につまずき、プロダクトの価値が伝わりきらない

freeeが提供するサービスの一つに、人事労務freeeがあります。中小企業の人事労務管理を効率化するクラウド型ソフトウェアで、勤怠管理や給与計算、年末調整、入退社手続きまで、これひとつで完結します。

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手前味噌ですが非常に便利で、一度使うと契約を継続してくださる方が多いです。しかし、課題もありました。それは、ソフトを導入する際の設定項目の多さです。状況にもよりますが、お客様が自力で導入する場合、以下の設定を全て完了しなければなりません。

[shared]人事労務freee基礎解説セミナー

人事労務業務は多岐にわたり忙しいです。ユーザーが一度設定につまづくと、導入はどんどん後回しにされてしまいます。最悪のケースは、ソフトを利用することなく解約してしまうことでした。導入でのつまづきが原因で、せっかく購入していただいたのにソフトの価値が伝わらないのです。

ユーザーが「最短・最速で人事労務freeeの利用し、業務を開始できること」が本プロジェクトで解決すべき課題でした。

オンラインセミナーで、効率的な導入支援を目指す

これまで人事労務freeeでは、ユーザーに向けて導入支援のためにマニュアル配布や、個別のフォローアップをしてきました。しかし、1対1のフォローアップには限界があります。人力に頼ることなく、できるだけ多くの方が導入できる方法を模索する必要がありました。

ユーザーが人事労務freeeの導入を完了するまでには、長いプロセスがあります。多くの設定が必要なため、マニュアルで不明点を解消するよりも、セミナーで全体像を掴む方が効率的です。セミナー時間中に質問も受け付けることで、ユーザーが導入にかける時間の大幅短縮を目指しました。

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実際にPMMが初期設定を行い、ユーザー視点で課題の洗い出し

オンラインセミナーを作る際にまず取り組んだのは、理想の初期設定体験をゼロから考えることです。そのために、PMMのメンバーも人事労務freeeの導入設定を行いました。迷いそうな点・わかりにくい点をピックアップし、オンラインセミナーで流すデモ動画作りに活かしました。

さらに、設定をする際に感じたことや課題は、セミナーだけではなくプロダクト開発にも活かせるよう、項目別のまとめもPMMチームの尾籠を中心に作りました。

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上記は、初期設定を行う際に感じた課題の一覧表です。「従業員一括登録」「有給」「給与」などカテゴリ別にコメントと理由をまとめ、重要度が高いものには「高」マークをつけています。

人事労務freeeは充実した機能が特徴ですが、部分的な最適化は行なっていたものの、全体としてのナビゲーションのわかりやすさに課題があることがわかりました。

これらの課題は、プロダクトマネージャーに共有し、優先順位を鑑みた上で今後 の開発計画に盛り込まれることになりました。

コストを抑え、爆速でセミナー企画を実現

その後、他社の導入支援セミナーやマニュアルなども参考にしつつ、何度も社内で壁打ちし、企画をブラッシュアップしました。

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課題を発見してからソリューションを実行するまでの期間は3ヶ月。このスピード感もfreeeのカルチャーの一つです。

社内勉強会には、社内のサクセス担当、人事労務freeeのセールス、エンジニア、PMなどに参加してもらいました。セミナーの流れを見て原稿、デモ動画の手順、ナビゲーションなどに関して意見をもらいます。

さらに、PMMの伊関と尾籠、サクセス担当の黒田の三人で数回リハーサルを行い、原稿をブラッシュアップした上で3月4日の撮影に臨みました。

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オンラインセミナーで流す動画は、スタジオを借りて自分たちで撮影しました。ナレーターを務めるのは、サクセス担当の黒田です。

出来上がった動画のプレ上映会を行い、3月24日に第1回セミナーを開催。セミナーの満足度は95%以上と非常に高く、期待を上回る結果が得られたと感じます。

アンケート結果

スケールするオンラインセミナーのポイントとは?

好評だった第1回セミナーの結果を受け、導入支援セミナーは月に2回開催されることになりました。ここで意識しているのは「スケールするための工夫」です。

① 動画を流している間に質問に回答
セミナーでは、説明とデモ動画を組み合わせ、参加者が集中して受講できるセミナーを設計しました。セミナー中は常時質問を受け付けており、黒田がどんどん回答していきます。

質問はまとめて類型化し、同じ質問にはすぐに返答できるようにしました。また、ある項目に対して質問が多い場合は、プロダクト側にフィードバックも行います。このように、一回のセミナーで数十の質問に答えられるオペレーションにしました。

② 収集したユーザーの声をプロダクト改善に活用
さらに、オンラインセミナーはユーザーの課題の収集の場としても役立っています。

プロダクトを使うに際して、ユーザー自身が自分で問題を解決できたら良いですが、セミナーという接点を得たことで導入時にどのような課題を抱えているのか把握しやすくなりました。月に2回のセミナーで100前後の質問が集まるため、年間では1000件近くになります。これらの定性データをグルーピングすることは、プロダクトの進化の面でも有効です。

③ チーム・部署を超えて情報を共有
オンラインセミナーを企画する際は、過去の会計セミナーのノウハウをオペレーションに活かしました。freeeには「あえ共(あえて共有する)」という文化があり、チームや部署を超えた情報共有が盛んで、非常に風通しが良いです。

収集したユーザーボイスももちろんプロダクトチームに共有し、開発に活用することになりました。

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セミナーに参加していただいた方には、事前メールはもちろんステップメールでの連絡も行います。プロダクトの利用状況も見て必要な場合はフォローアップも行いました。

その結果、参加した人とそうでない人で、人事労務freeeの主要な機能の利用率に明らかな違いがあることが確認できました。

今回ご紹介したセミナーはイベントページ で「【無料オンライン講座】人事労務freee基礎解説セミナー」というタイトルで定期的に開催しております。人事労務freeeにご興味のある方は参加してみてください。

PMMは「プロダクトの価値を届けきる」少数精鋭のプロフェッショナル集団

 このように、一度プロダクトを販売したら終わりではなく、使っていただいて「プロダクトの価値を実感してもらうこと」まで含めて私たちPMMチームのミッションです。

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プロダクトの価値を届け切るためには、リードを獲得し、販売した上で、ユーザーに実際に使ってもらわないといけません。

このためPMMは、マーケティング、セールス、サクセス、すべてのフェーズに関わることができます。仕事の過程で発見した課題を伝えることで、中長期的なプロダクトの成長にも貢献できます。必要であればプライシングの変更にも関わることができるでしょう。

企画の上流に関わりたい人や、プロダクトの価値を突き詰めて考えたい人にとっては非常に刺激的な仕事です。

さらに「顧客に価値が届くのであれば手段は問わず、前例に縛られることなく自由にチャレンジできる」というのがfreeeのカルチャーです。PMMに限らず「価値を届けきること」にみんな共感しているため、プロダクトを軸に社内のいろいろな人と関わりつつ複雑な課題に取り組めます。このため、キャリアの引き出しが増えていきます。

特定のバックグラウンドで専門性があり、そこに閉じずに常に職域を超え、コラボレーションができる人はぜひfreeeのPMMに応募してみてください。

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