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20代の皆さんに伝えたい、「最も効率よく成長するための、最初のステップ」。


「とにかく目の前のことに集中して、楽しくしっかり働いてきてほしい」

とある公共機関に数年間出向することが決まった若手メンバーから、「アドバイスください!」と言われて、しばし考えた末に選んだ言葉はこれでした。スタートアップ文化とはかなり異なる環境で修行をさせていただく間には、きっといろんな思いを抱くだろうなぁと想像し、「相手のカルチャーをリスペクトして、学ぶ姿勢を大切にすること」「何があっても出向期間中やり切ること」も伝えました。

立場上からか、優秀で成長意欲の高い20代、30代の方々に「辻さんが、今20代、30代なら、何をしますか?」とよく聞かれます。

年功序列、終身雇用が崩れ、「このやり方ならうまくいく!」というシンプルな方式がなくなってきています。また、仕事だけが全てではなく、いろんな価値観が認められる時代になりつつある中、自分自身のN=1の意見にどこまで意味があるんだろうか、とも正直思います。

とはいいながら、何も伝えないのも誠意がないので、仮に僕がもし今20代の自分自身にアドバイスすることができたとしたら、何かなあと考えてみました。

「目の前の仕事を、まずは一生懸命やってみよう」


当たり前で説教ぽく聞こえてしまうかもしれないのですが、周りの素晴らしいビジネスリーダーの経験談を伺う中でも、「色々あるけど、結局成長の最速ルートはこれなんじゃないかなあ」と思うのです。

20代のうちから、自分が好きな仕事、やりたい仕事がわかっている人、恵まれる人は決して多くないはずです。(それがすでに見つかっている人は、スーパーラッキーなので、迷わず突き詰めてください。)

僕自身も、新卒時に「ものづくり」に憧れて、そしてインターネットの新しい仕事がしたくて、ソニーに入ったのに、配属先が経理部だったために、思いっきりがっかりした経験があります。ただ、これは大組織ゆえ、仕方がないところもあるよなあ、と今だったら思えます。当時はとても思えませんでしたが。。。(苦笑)

スキルも経験もなく、できることが少ないうちには、「好きでも面白くもない仕事」を与えられることは、与える側の立場から考えても、ある意味当たり前かもしれません。でも、その仕事にまっすぐ向き合ううちに、いつの間にか「好きで面白がれる仕事」のチャンスにつながっていく、恵まれていく。そんな可能性が高まるのではないかなあと思います。

「未熟なうちは、与えられた仕事で貢献できるまでとにかく力をつけよう」と考えて、青い鳥を探す暇があったら、食わず嫌いせずにまずはやってみる。

するとそのうち、自分の仕事の先に、今まで見えていなかった「ユーザー」の姿が見えてきます。ユーザーが抱える課題が見え、社会の課題が見える。自分視点、自分のことしか考えてなかった視点から、徐々に視野が広がり、視座が高まります。

どんなに高い山でも、まずは1合目まで着実に登ることから始まる。ふーふー息を切らして登るうちに、いつの間にか景色が変わり、気づけば脚力がついている。仕事の力って、そんなふうに身についていくものだと思います。

また、はじめは自分の周りのもの、自分のことしか考えられないのですが、登っていくうちに、見える世界が広がっていく。ユーザーや社会の課題が見える様になると、興味も持ち始めますし、「どうやったら課題を解決できるかな?」と考える様になる。自分の力も徐々についてきながら、視界が広がっていく。

また、一人で奮闘しているつもりでも、地道に頑張っている姿は、自分が思っている以上に、意外に周りの人が見てくれていたりします。

悪い噂は一瞬で広まりますが、良い噂は時間をかけて広がっていくもの。「あいつ、なかなか頑張るらしいよ」と社内にじわじわと評判が伝われば、面白いチャンスがあった時「そういえば、あいつ頑張ってたな。」と声をかけてもらえるようになり、面白いチャンスに取り組むと、面白い人たちと出会う機会が増えてきます。

そんなことを地道にすすめながらも、自分からチャンスに飛び込んでいく行動を探すことも大事かと思います。

僕も、経理部からキャリアをスタートして3年目の頃、目の前の仕事に打ち込みつつも、どこか冷静に「このまま経理部門でスキルを磨き続けるだけでは、自分がやりたかったものづくりに関わる経験、ビジネスを創っていく経験を積めないかもしれない」と考え、与えられた職務を超えて成長するチャンスを模索していました。そして、選択したアクションは、自ら他部署との兼務を申し出ること。

兼務を可能にするには、当然ながら、担当業務を早く終わらせる必要があったので、めちゃくちゃ頑張りました。結果として、「本業」だった経理業務の課題をより深く知ることができ、後のマネーフォワード起業のバックボーンとなったんですね。つくづく、一つとして無駄な経験などないのだなと実感しますし、ジョブズの「Connecting Dots」は言い得て妙だなと。

目の前の仕事に手を抜かず全力で取り組みながら、「もっと頑張りたい、早く成長したい」と思ったら、自分から手を挙げることをおすすめします

今のご時世、上司から「これも挑戦してみないか?」とは安易に打診しづらい空気もあります。子育てなどの事情も時期によって変化しますから、「どれくらい仕事にコミットできるか、したいか」の意思を本人から随時発信することは、上司的にも助かる時代ですし、そういった人には面白い(厳しい?)仕事が回りやすくなってきている時代です。

20代の最大の武器は「時間」です。

知識の量や成果を出すスピードでは、現時点では先輩方にかなわなかったとしても、自分に使える「時間」だけは負けないはずです。僕も当時はピンと来なかったのですが、40代も半ばを超えた今はこの財産の尊さがすごく分かる様になりました。

使える時間をフルに活用して、本を読み、人と会い、興味のあるテーマのインプットを貪欲に吸収すること。

頭が柔らかく、自分のためにじっくり時間をかけられる20代にしか鍛えられない筋力というものはたしかにあって、その筋力は30代・40代でどれだけ高く跳べるかを決めると僕は感じています。

今はウェブの記事やYouTubeなどコンテンツチャネルが多彩に増え、やろうと思えば勉強できる機会が拡充しているのは羨ましい限りです。

逆に言えば、やるかやらないかで、ものすごく差がつきやすい時代という見方もできます。そういった意味では、実はとても厳しい時代なのかもしれません。だから、ぜひこの「時間」という有限な資産を、最大限活用していただけたらと思います。

また、20代の頃には気づかなかった、とても大切なことをもう一つ。

今、目の前の仕事を通じて出会った人たち――同僚や顧客、取引先などとの関係性は、想像もできないほど遠い未来までもつながる可能性があるということ。

がむしゃらに走るしかなかった20代の頃には、目の前のことだけでしたし、人間関係も単に仕事を通して今だけの関係だと思っていました。

でも、実際に社会人となって20年を経過する今となっては、出会った人たちの中に、マネーフォワードのメンバーとして共に奮闘する仲間も多くいますし、協業、ビジネスパートナーとして、今も続く関係性にいくつも恵まれています。仕事を超えて、そういった関係があることが僕は本当に嬉しく、誇りです。

そして、こういった人の関係をつくるのは、やはりお互いの信頼関係と楽しさ。

だから、目の前の仕事を、目の前の人と共に、精一杯、楽しみながら頑張る。それが仕事をより楽しく、より価値あるものへと深め、希望するキャリアを引き寄せて、人生を豊かにしていく。しかも、きつい仕事をご一緒した方々とこそ、思い出話に花が咲きますし、きつい時に支え合って信頼関係がより強く結びつきます。

目の前の仕事に一生懸命取り組むことは、遠回りに見えながらも実は最速の方法なんじゃないかなあと。いろんな経験を積んでようやく最近思うことです。そんな綺麗ごとばっかりじゃないよ、と言う方も勿論いると思うのですが(そしてきっと若い時の僕もそう言っていると思うのですが)、近道と思った道が実は近道ではなく、愚直で遠回りだと思った道が、実は結果的に素敵な近道だった、みたいなことがあるんだなあと。

僕が若手メンバーにかけた「目の前の仕事にきちんと向き合って」という言葉は20年前の自分に言い聞かせたかった言葉なのかもしれません。

そんな僕も未知の世界に年々挑戦していて、日々余裕がありません!(笑)今年のテーマは、modest & learning animalにしました。謙虚に多くのことを学びながら、たくさんのチャレンジをする、みなさんと楽しい時間を作り、ユーザーのみなさまに多くの価値を提供できる様な2023年にしたいと思います。みんなで頑張っていきましょー!

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