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「『うれしい』体験を届けよう」は強い悲しみから生まれた

マネーフォワードでは半期ごとに「スローガン」を発表しています。前回のスローガンは「BEYOND●●!(●●を超えて行こう)」、過去には「やり切る!!」「まず、動け。」などを選んできましたが、今年6月からの半期のスローガンは『「うれしい体験」を届けよう』にしました。

スローガンを選ぶようになったのは2017年上期からなので、今回の『「うれしい体験」を届けよう』はちょうど10番目のスローガンに当たります。

当時から、半期に一度メンバー全員が集まる総会を開催していましたが、僕たちが大切にするMVVC(Mission(社会への使命)Vision(目指すべき未来)Value(行動指針)Culture(大切にする文化))に加えて、この半期で一番メンバーに意識してもらいたいこと、大切にしたいことをうまく伝えたいなと思いながら、なかなかいい方法が見つかりませんでした。

そんな課題感を持っていた時に、サイバーエージェントさんでスローガンを掲げていらっしゃるという藤田さんの社長ブログを拝見して、「これだ!」と思い、真似させていただきました。(藤田さん、ありがとうございます!)

当時、サイバーエージェントさんが掲げてらっしゃったスローガンは「低姿勢」。イケイケのサイバーさんのイメージと異なった意外性にもすごく驚かされました。外部環境や自社状況を踏まえた藤田さんのメッセージは、社員に響く、そして社員の行動を変える強い言葉、スローガンだなと感じました。

日常で使ってもらえるスローガンを

会社のMVVCは普遍的なものですが、会社を取り巻く環境や、社内の状況は時事刻々と変化しています。そのため、MVVCとは別に、この半期全社で意識することをスローガンとして掲げています。

スローガンはキャッチーで、みんなに日々使ってもらえるような言葉を選ぶようにしています。僕も含めた経営陣のスピーチを全部覚えておくなど到底できないので、この半期意識したいことを社内に浸透させるための手段としてのスローガンの役割は大切です。また、スローガンは社内のコミュニケーションの中で使ってもらうことが重要です。

シュワッと溶ける議論に「まず、動け。」

前回の「BEYOND●●!(●●を超えて行こう)」は、直後にForbesさんの特集で「BEYOND DX」が組まれていたりして「これは来た!」と思ったのですが、意外に使いにくくて社内ではあまり浸透しなかったように思います。。考案者の僕としては、かなりがっかり&反省です。

これまでのスローガンの中で特に印象に残っているのは「まず、動け。」です。

まず、動け。

これは、クリエイティブディレクターの渡辺潤平さんとのディスカッションで受けた痛烈な指摘がきっかけになっています。

マネーフォワードのみんなって、ほんといい人、賢い人、一緒に仕事していて、気持ちいい人多いよね。
でもね、問題提起したまま、答えを言わない人が多いと思う。

シュワッとその議論が溶ける。

「で、どうするんだよ?」と。
自分の答えを示さないと卑怯でしょ。
外の世界では許されない。

ユーザーに何を届けるのか、が一番大事なのに、自分自身は安全地帯にいながら問題提起をして、仕事をした気になっていることが時にあるのかもしれない。強い危機感がこのスローガンに繋がりました。

実際、このスローガンによって、社内の会議やメンバーの行動は少しずつ変わっていきました。今、マネーフォワードに新しく入ったメンバーからは、このスローガンは意外だったという声も聞きますし、きっとスローガンの効果はあったんだろうと思います。

「『うれしい』体験を届けよう」は強い悲しみから生まれた

今回の「『うれしい』体験を届けよう」のきっかけとなったとのは、一つのミーティングでした。それも、強い怒りと悲しみを生む。

ある日、『マネーフォワード クラウド』一筋でずっと応援いただいている会計事務所の方とミーティングがありました。サービスの開発に関してもさまざまなアドバイスを頂いている本当に大事な僕たちのパートナーです。その時に遠慮がちに下記の話をしてくださいました。

先日、ご厚意で当社のサービス改善にご協力くださるために、開発メンバーとのミーティングを行ったときのこと。当社の担当から、
「マネーフォワードどのぐらいお使いなんですか?」
「他社製品も使っていますよね?比べてどうですか?」
といった信じられない言葉が飛び出したというものでした。

『ずっとマネーフォワードだけを応援してきたのに、びっくりして、悲しくて涙が出そうでした。』という言葉を聞いて、僕も申し訳なさすぎて、涙が出そうになりました。今まで忙しい中も時間を割いて、さらにマネーフォワードの可能性を信じて、ずっと応援してくださっていた期待と気持ちを裏切ってしまったなと。

後で聞いたところによると、本来であれば営業担当が同席して、関係性など背景を前もって伝えておくべきところ、忙しくて同席できず、ミーティング前に情報共有も十分にできなかった、とのこと。僕も昔、同じような失敗をしたこともあるのでよく理解はできますし、当事者を責めるつもりはありません。(そして、既に充分、反省と改善をしてくれています。)

ただ、一事が万事と言います。大なり小なり、こういった同じような事象を、プロダクト作りだったり、営業だったり、カスタマーサポートだったり、いろいろな場面でお客様に対して起こってしまっているのではないだろうか。

組織が大きくなるにつれて、お客様の思いという一番大事なものが伝わりにくくなって、僕たちが大事にしていることがほんの少しずつ薄れ始めていく兆候を感じました。それを招いてしまったリーダーとしての自分の力不足が悲しいやら、腹立たしいやらで、その日、残した備忘録。

とにかくUser focus
顧客を見て、価値を届けること。

社内の議論に時間をかけることなんて、顧客に価値が伝わらなければ、何の意味もないこと、をみんなに伝えたいな、と。イメージできるように具体的な例を踏まえて。
プロセスを進めることや、社内での議論で仕事をした気になっているのを垣間見て、危ないなと。資料作ったり、note書いて自己満足したりとか。

全ての価値は、ユーザーにサービスを届けて、ユーザーの生活を少しでも良くしているかどうか。
備忘録まで。


「それって、User Focus?」

そんな背景もあって、僕が決めたスローガンは当初「それって、User Focus?」でした。今回のようなことがないように、社内でお互いに「それって、どうなの?」のように戒め合うような形で使ってもらいたいと思ったのです。

しかし、スローガン発表の場であるグループ総会(マネーフォワードグループ全員が参加する半期に一回のイベント)のプロジェクトメンバーから、せっかくの半期に1度のイベントなのだから、ネガティブな発信ではなく、ポジティブに伝える方法はないのか、User Focusに批判的なニュアンスを入れないほうがよいのではないか、といった意見をもらいました。

「確かにそうだな」と再度練り直し、最終的には、CDOのセルジオさんにアイデアをいただき『「うれしい体験」を届けよう』になりました。当日は、みんなが予想をオンライン上で投稿してくれ盛り上がったところで、発表。社内の反応もこれまで以上によく、これから半期かけてしっかり浸透させていきたいなと思っています。

総会で発表

これから、マネーフォワードグループに関わっていただく、全てのみなさまに「うれしい体験」をお届けできるよう、メンバー一丸となって取り組んでまいりますので、お気づきの点があったら、フィードバックいただけたら幸いです。
引き続き、どうぞよろしくお願いします!

追伸
「失敗を語ろう。」が重版になりました。応援いただいたり、SNSなどでシェアいただいているみなさまのおかげです。ありがとうございます!




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