コンティニューが起こした静電気が開くドアノブと手のひらの間に生じた火花に感電したとき、ひとは子供時代の友人の夢を見るか?

落語が化石から蘇り恐竜として食らいつく。
よみがえらせた科学者の名前は笑いのカイブツ、伝説のはがき職人、作家、ツチヤタカユキ

ツチヤタカユキと、出会い笑いの恐竜として鋭い牙を見せつけたのは、立川吉笑

会の題名はコンティニュー。
これだけ再起しにくい世の中で見せつけたのは起死回生の一撃だった。

ツチヤタカユキを語るにはオードリー若林がはずせない。
オードリーのラジオ、オールナイトニッポンに、大量の大喜利投稿を、ときに修験者のように送ってくる正体不明のツチヤタカユキに、
若林は引かれ、その面白さから放送作家見習いにならないかと彼にメールする

「人間関係不得意」
ツチヤタカユキの返信はこうだった。

若林はそのてらいのなさにさらに引かれ、ついぞツチヤタカユキを放送作家にさそいだす。


故郷大阪を離れて、東京でのなれない独り暮らし、人間関係不得意、笑いへの妄執、そして面白さだけでは通じない社会。

大喜利のお題を1日50考え、1日それの答えをひねりだして青春を過ごしたツチヤタカユキには、そのねじれがたえきれず、内蔵がねじれ、ついには大阪へ帰った。
その直前オードリー若林は、単独ライヴの作家を最後にしてもらい、引き留めたく蕎麦屋で説得しようとし、今日のライヴはどうだったと笑いを生めるツチヤタカユキに語ろうとしたとき

「宝物です」

という返答に射ぬかれてしまった。次はいつか、大金を掴んで評価をされてほしいなと祈りながら見送ることになった。

私たちが知っていた、伝説のはがき職人はそこまでだ。

彼が再び現れたのはNHK。上方で落語を作る姿だった。

ワクワクした、痺れた。生きていた!

私の友人は東京での彼と彼に惹かれた立川吉笑さんのコンティニューという落語会を教えてくれた。

立川吉笑の芸事は見事に、見事に、笑いを貫いた。ツチヤタカユキの鈍い私の日常を貫いた目線のような。
それでいて浮かぶ情景は子ども時代の憧憬だった。
子ども時代がコンティニューし、新しい火花が、扉を開き私は感電し、先へと向かう。

言葉から意味が失われなければ表せない人生、そのはずが言葉が人生を紡いでしまう。


ネタバレはしたくない。このタイトルがすべてと思ってほしい。
ぜひ、買ってほしい。

購入はこちらから。
https://kisshou.thebase.in/items/35939012

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?