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手羽元の骨髄からとったボーンマロウスープ

市販されている顆粒の出汁は簡単で便利なのですが、その分酵母エキスやグルタミン酸ナトリウムなどあまり摂取したくない添加物が含まれていることが多いです。
たまに使う分にはよいのかもしれませんが、日常的に使い続けるとなるとちょっと心配になります。
それはそれとして、昔の時代の料理の仕方に興味のある自分としては、肉や魚、野菜といった自然の素材から出汁をとる方法を日々研究しています。
伝統的な日本の料理では、昆布とかつお節から取った出汁を使ったお味噌汁があります。
子どもの頃は、夕飯時に自宅へ歩いていると、ご近所さんの家から昆布と鰹節の出汁のよい香りがしたものです。
昆布とかつお節以外にも、鶏ガラから出汁をとる鶏ガラスープも有名ですね。
実際に鶏ガラからスープを作ると、想像していた以上にあっさりとしたスープになります。
鳥の脂を含んだ濃厚な出汁が欲しい場合は、手羽先と手羽元で出汁を取る方法があります。
この場合、手羽に含まれている軟骨からコラーゲンが抽出できるので、かなり濃厚なスープが作れます。
で今回は、以前からやりたいと思っていた、鳥の手羽元の骨をのこぎりで切断し、手羽元の骨の中にある骨髄からも出汁を取り出す実験を行いました。
骨髄から出る出汁がどんな味なのか、興味があったからです。
骨髄はボーンマロウと呼ばれ、海外の料理系ユーチューバーが、骨髄を使った料理を動画でよく紹介してくれています。 
彼らがよく使うのは牛の骨ですが、そこまでワイルドでなくても、手羽元で手軽にやってみようというのが、今回の実験です。
買ってきた手羽元は、一端冷凍庫で、半冷凍状態にすると、のこぎりが使いやすいことに気づきました。
のこぎりは100鈞で販売されているものを、洗剤を使って表面を洗い流し、煮沸消毒しました。
さて、いよいよ手羽元をのこぎりで切断してみましたが、最後まで切断しなくても、薪を割るのと同じ要領で、途中までのこぎりを入れれば、簡単に手で割れることが分かりました。
のこぎりを使う時点で結構な手間かも・・と考えていましたが、実際やってみると想像以上に簡単に割れました。

切断した手羽元

ただ、半冷凍の手羽元を押さえてのこぎりを挽くのですが、押さえている指先が冷めっちゃ冷たくなります。
全部の手羽元を切断した後は、丁寧に手羽元を洗い流していきます。
と言うのも、切断された骨付き肉には、骨の細かい破片が肉にこびりついていることがあるからです。
昔アメリカで、よくTボーンステーキのバーベキューをしていたのですが、あちらで市販されている骨付き肉は洗いが不十分で、焼けたお肉を食べた時に、よく小骨が歯に引っかかったことがあったからです。
さて、洗った手羽元は、圧力鍋でホロホロになるまで煮込んでいきます。
ですが、今回は最初は圧力をかけずに、普通に煮込むことにしました。
圧力鍋は、確かに短時間でお肉が柔らかくなりますが、使い方によっては難点があります。
それは、お肉のアクまで、一緒に煮込まれてしまうことです。
その結果、アクの雑味がスープににじみ出てしまうのです。
今回は骨髄の純粋な出汁を知りたかったので、あえて最初は、普通に強い火力で煮込み、アクを取ることに専念しました。

強火で手羽元を煮込みアクを取りました

ある程度アクを取って、これ以上アクが出てこない状態にして、弱火で圧力をかけました。
ほんの些細な手間なのですが、これをするのとしないのとでは、煮汁の味に雲泥の差が生まれます。
さて、煮込まれた手羽元の骨髄スープですが、まずは有機野菜のスープに利用することにしました。
出来上がったスープを一口飲んだ感想は、これまでXY軸しかなかった出汁に、Y軸が加わったような感覚になりました。
つまり、これまでの2次元だったアニメーションが、立体的な3D映像として浮かび上がったような感覚です。
「笑いは骨を健やかにする」という昔の諺がありますが、骨の中にある骨髄は血液を生成することで知られています。
「肉の命は血にある」という諺もありますが、やはり骨髄はうま味の原点なのかもしれません。
まだまだ実験は初段階ですが、面白い実験結果を得ることができました。
そう言えば、以前に三崎でマグロのテールの焼肉をしたことがありましたが、販売されているテールには骨の中まで実が詰まっていました。
焼きあがったテールを食べた時に、骨の中の身がプルンプルンで美味しかった記憶があります。
ボーンマロウは、まだまだ研究の余地がありそうです。

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