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GEAIM:イベント主催や実況配信で RTS や eスポーツシーンを盛り上げる matsujun 氏、「ゲームで日本にプロを作る」

公開日:2011-04-11 19:47:16

『Starcraft2』や『Age of Empires3』といった RTS のコミュニティや大会を主催し RTS や eスポーツシーンを盛り上げる matsujun 氏に活動の目的、モチベーション、実況で意識していることなどについて質問させて頂きました。

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ーmatsujun さんよろしくお願いいたします。自己紹介と、どのような活動をしているのか教えていただけますでしょうか。

たくさんあるので、代表的なものだけ列記します。RTS の日本コミュニティサイトを立ち上げ、その管理を行っています。立ち上げたのは『AoE3 JP Community(AJC)』『HaloWars JP Community(HJC)』『Starcraft2 JP Community(SJC)』の 3 つです。HJC は更新が止まってしまっていますが、他二つは現在も活発に活動しています。

普段は RTS コミュニティの活性化のためフォーラムの管理やユーザー Blog の更新チェック、クランの紹介、大会/イベントなどを行っています。良く勘違いされるのですが、大会やイベントを行うことが目的ではありません。あくまで、コミュニティ活性化の一環として行っています。

また、AoE3 では『AoE3 Simple Elo Ladders』、Starcraft2 では『SJC Ranking』という統計サーバーの提供を行っています。これにより、過去の自分の戦跡や独自レーティング、国内ランキングなどを確認することができます。自分の成績を簡単に確認できることで、よりプレイイングを楽しんでもらいたい、という狙いです。

更に、クランイベントへの協力なども行っています。主に大会告知や決勝戦実況だったりしますが、呼んでいただいたクランの内戦に参加したり、実況配信のやり方を伝えたり、告知協力を行ったりもしています。クランイベントが盛んになることも、コミュニティ活性化の重要な要素です。

そして、オフラインイベントも行っています。『Tokyo Game Night』運営スタッフにもなりましたが、TGN 3 部 RTS の部 主催者として BYOC イベント (Bring Your Own PC, 自分の PC を持ち込むイベント)を年 2 回開催しています。もうすぐ 6 回目のイベントを開催する予定です。そのほかマイクロソフトの広報活動としてオフライン対戦会や、ネットカフェイベントの協力もさせていただきました。

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Tokyo Game Night公式サイト
2011年 5月14日(土)には RTS のイベントを開催。

また、実況者として呼ばれたこともあります。ニコニコ公式生放送を 2 回。WCG 日本予選の実況、以前開催された eスポーツスタジアムでも実況を行ったことがありました。マイクロソフトの製品プロモーションビデオ作成で行ったプレイ実況をしたこともありました。

AoE3 アジアの覇王 SUPER EXHIBITION MATCH
nemuke 少将 vs tombo_ 中将

そして RTS 以外では、『GODSGARDEN』という格闘ゲームイベント運営のお手伝いをしています。こちらは初期のサイト構築や、TGN の経験を生かしてのオフライン大会運営を、裏方として協力させてもらっています。RTS の 10 倍の規模を誇るイベントに関わることで、RTS コミュニティを 10 倍の規模にしたときの展開に、大きな希望が持てました。素晴らしい経験ができています。

ーmatsujun さんが初めてプレーした PC ゲームはなんでしょうか? やはり RTS タイトルだったのでしょうか?

中学生のころ MSX でプレイした『信長の野望』が最初の PC ゲームだと思います。もともと小学生の頃からボードゲームのシミュレーションが好きでした。PC ゲームでも SLG にハマって、光栄ゲームはほとんど購入してプレイしていました。

RTS は、『Age of Empires III(AoE3)』が初 RTS ですね。それまで『Ultima Online』や『Lineague II』で戦争をプレイしていましたが、友人に誘われ、手軽に戦争が行えるという理由で AoE3 を始めました。他の人を指揮して戦う MMO の戦争システムはとても楽しかったです。ただ、MMO で戦争を 1 回行うにはその何十倍もの時間、経験値稼ぎをしなければいけないのが苦痛でした。RTS の手軽さと爽快感は本当に衝撃的でした。MMO の戦争を指揮する場合と比較して手軽、という意味ですね。


ーイベント主催、実況配信等の活動を始めようと思ったきっかけについて教えて下さい。

イベント主催を始めた理由は、その当時メインでプレイしていた AoE3 を盛り上げたかったからです。その頃はプレイヤーとして真剣勝負をする場が欲しかったですし、周りにもそういう意見が多かったので「それなら自分が主催するか!」という気持ちで始めました。

AJC を立ち上げたのは、海外のコミュニティサイトを見て羨ましく思い、日本語で話せるコミュニティサイトが欲しくなったからでした。当時、本当にほとんどの人から反対されたのを覚えています。「2ch がある」「クランサイトやブログがあるので、需要がない」など・・・。

実況配信は、ある人がやっていたので真似して始めてみた、という感じでスタートしました。数回やってみた後、今でも記憶に残る、素晴らしい試合を偶然配信することができました。

そこからどんどん回数が増えました。その配信や動画を見て「AoE3 を始めました!」と言ってくれた方が多く、当時ほとんどなかったゲーム配信の魅力に気づいたときでもありました。

 AoE3 アジアの覇王 少将オランダ vs 准将アステカ
実況・解説付き H2H Part1

ーニコニコ生放送や USTREAM などの動画配信サービスが普及し、最近ではゲームイベントに実況は欠かせない物になっていると思います。matsujun さんはかなりの回数の実況をされていますが、どのような点を重要視して実況を行なっているのでしょうか? また、実況が上手くなりたいという人が意識すると良いというような点はありますでしょうか?

実況が上手くなる為のコツからお話します。まず大切なのは数をこなすことです。そして、自分の配信録画を観ることです。自分が観て自分の配信を楽しく感じられるようになるまで、改善を繰り返すことが大事だと思います。また、他の人にスポーツ実況などと比較してもらって、良い点悪い点を指摘してもらうのも有効です。

全て自分で実践した練習方法です。細かい点では、以前 Twitter で呟いたこともありました。発言を Togetter というサイトにまとめてもらったので、参考になるかと思います。もうちょっと体系立てたいですね。

Togetter にまとめられた matsujunさんの実況論。

自分が実況中重視していることは、自分が何のために実況をしているか意識することです。初めてこのゲーム実況を観る人を意識するのか、大会決勝として経緯を踏まえ盛り上げるのか、不慣れなプレイヤーが楽しんでプレイしているのを紹介するのか。毎回状況が変わります。

ただ、意識しすぎると説明ばかりでつまらない実況になるので、そうならないよう気を付けています。そして大きな目標として、コミュニティが活発になるために配信をしているという意識を常に持つようにしています。それによって、同じ事を説明する場合でも話し方が変わります。

ー大会やイベント開催、実況放送等、かなりのハイペースで実施されており、端からみると信じられないような活動量です。なぜここまでの活動をされているのでしょうか? 活動のモチベーションは何でしょうか?

そんなことはないと思います。普通の人がゲームをプレイしている時間が、そのままコミュニティ活動や配信の活動になっているだけです。ゲームに関連している時間として考えると、MMO をプレイしていた頃のほうがよっぽど廃人でした。その分、今はほとんどゲームをプレイしていませんが…。

活動の大きなモチベーションは、多くの人に喜んでもらえること、『楽しかった』という声を実際に聞くことですね。そして最大のモチベーションは、コミュニティの規模を大きくしていくことです。リアルのコミュニティ育成ゲーム、と言っても良いでしょうか。これは頑張れば頑張るほど結果が付いてくるものなので、こんな楽しいゲームはないのかもしれません。

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Tokyo Game Night で観戦を楽しむ matsujun さん

matsujun さんの活動は仕事でやっていると思われてもおかしくないレベルです。実際にはプライベートの時間を利用して活動されているという事で間違いないでしょうか?差し支えなければ、日常をどのような時間配分で過ごしているか教えていただけないでしょうか?

就職してお仕事もしていますし、仕事先の人にも多少ばれています。活動は仕事の合間や夜中、休日を利用して行っています。妻の理解には、本当に感謝しています。配信がある日の日常は以下のような形ですね。配信がない日は、そのまま配信の時間が家族との時間です。

3-9 時 : 睡眠
10-20 時 : 仕事、お昼にサイト更新など
21-23 時 : 帰宅、食事、家族の時間
23-24 時 : 配信、サイト更新
0-2 時 : サイト更新

ー数年イベントを行なってきて、コミュニティの変化のようなものは感じますか? FPS では、無料のオンライン FPS の影響で間口が広がり 10 代の若いプレーヤーが増えたように思います。また、メジャータイトルの Counter-Strike でいえばリーマンショック以降、世界大会の予選で PC やモニタを大量に用意しなくてはならない事や代表チーム全員の渡航費用をサポートしなければならない点など、予算的な問題で同タイトルが採用されない事が多くなりました。

RTS も若年化が進んでいます。『AoE2』『Starcraft1』などシリーズ旧作からプレイしてきた人より AoE3 から RTS をはじめた人が大会上位にランクインするようになってきました。10 代の人の多くは配信や動画を観て RTS をプレイし始めているので、過去の積み重ねが良い形で今につながっていると感じています。

コミュニティの傾向としては、積極的に自分をアピールする人が増えてきました。コミュニティサイトでは連夜プレイ配信・大会配信で溢れています。決してトップクラスではないプレイヤーもトークやプレイスタイルで多くのファンを得ている場合もあります。コミュニティとして、プレイスキルだけではない面白さも出てきたのはすごく良いことだと考えています。

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SC2JC コミュニティメンバー配信

海外コミュニティ視点だと、AoE3 は海外コミュニティが閉鎖・縮小しています。僕の方でそれらを巻き取る事を考えていますが、ちょっと手が足りていないのが課題です。Starcraft2 では、活発な海外コミュニティと連携を取れてきました。「日本でも Starcraft2 がプレイされているんだ!」というアピールができてきたので、このまま日本のコミュニティが大きくなれば、今後もっと面白い取り組みもできると思います。

ーいろいろと質問させて頂きましてありがとうございます。最後に読者の方にメッセージをお願いいたします。

3 年前に、『10 年後にゲームで日本にプロを作る』と宣言しました。そのころは無謀に思えた目標も、僕と近い目的に向けて活動している多くの方々から得た知識や培ってきた経験によって、決して夢物語ではないと実感するようになりました。

宣言した時から 3 年分、着実に前に進んでいると考えています。あと 7 年です。ゲーム活動を通じて知り合った方々や RTS コミュニティの方々には、本当にいつも助けられています。今後もご支援ご協力、よろしくお願いします!

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matsujun さんはイベント&大会主催、サイト運営、実況配信など信じられないような活動量をこなしておりそのモチベーションや活動の目的などを聞いてみたいと思っていました。matsujun さんは、最後のメッセージにあった目標をいつの日か有言実行するのだろうと思わされてしまいました。

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