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6572:RPAホールディングスの決算分析

「AI」というワードはここ数年でもう聞き飽きたわというほど耳にするようになりましたが、最近「RPA」という言葉もよく耳にします。
RPAは、Robotic Process Automationの略で、主にロボットによりホワイトカラーの仕事を自動化させることで、生産性を向上させることができる仕組みことを指します。
今回は、国内のRPA業界で今非常に勢いのある「RPAホールディングス」を見ていきたいと思います。

1. RPAホールディングスのビジネスモデル

まず、RPAホールディングスは、以下の3つのセグメントに分類して事業を展開しています。

①ロボットアウトソーシング事業(以下、RA事業)
②ロボットトランスフォーメーション事業(以下、RT事業)
③その他(セールスアウトソーシング事業とコンサル事業)

①のRA事業は、RPAのサービスを直接顧客に提供、もしくはパートナー企業(代理店的な)を通して提供している事業です。外部のRPAソフトウェアベンダーから付与されたライセンスを元に、各顧客にRPAを導入しています。すでにソフトバンクや日立、アビームコンサルなど名だたる企業がパートナー企業となっています。

当たり前ですが、RPAの導入企業を増やすことで、RPAホールディングスに入るライセンス売上が増加していく仕組みです。そして、パートナー企業販売方式も採用している場合の方が、直販方式だけの場合よりも顧客数の拡大速度は速くなります(そのパートナー企業が、規模が大きくかつ知名度の高い企業であればなおさら)。RA事業は、このパートナー企業販売方式により加速度的に売上高を伸ばしています。

次に、②のRT事業。もともとは「アドネットワーク事業」という名前だったのですが、19/2月期から名称変更がなされています。なので少し名前分かりにくくなってしまっていますが、現在はアフィリエイトサイト「PRESCO」の運営と、広告代理店や企業のマーケティング部門に対するロボット化サービスの提供を行なっています。


もともとはPRESCOの運営のみ行っていたところ、「PRESCOから派生して広告業界に携わる顧客に自社の有するRPAのノウハウを提供していったらオモシロくね?」的な感じで色々なサービスが始まったんだと思います。
この流れは非常にいいと思っていて、なぜかというとアフィリエイトサイトの運営だけだと収益が安定しないからです。アフィリエイトの運営は、広告主とパートナー(メディア)をつなげ、実際にパートナーのメディア上で紹介された商品が販売に至った場合に広告主から手数料収入が入る成果報酬型ビジネスなので、有力なパートナーや広告主がPRESCOのサービスを離脱することで急激に売上が減るといったこともあり得ます。なので、成果報酬以外の売上を増加させることで収益基盤を安定化させることが可能になると考えられるということです。

③のその他は、セールスアウトソーシング事業とコンサルティング事業を行っていますが、重要性に鑑みて一旦説明は割愛します。

2. 成長の鍵はロボットトランスフォーメーション事業か?

では、セグメントごとの業績を見てみましょう。下表は18/2期と19/2月期のセグメント情報の抜粋です。

RA事業、RT事業ともに売上高・営業利益が倍増していることがわかります。すごいですね。上場企業ではなかなか見ることのできない成長を遂げています。
利益率でみると、RA事業が約20%程度、RT事業が約6%程度となっており、RA事業の方が利益率が高いことがわかります。
RA事業は、一旦契約を締結してしまえば、以降顧客がRPAの利用を中止したり、同業他社のサービスへ乗り移られたりしない限り安定的に収益を得ることができるストック型ビジネスだと言えます。利益率が急激によくなることはないかもしれませんが、落ちることもないと考えられるので、売上が拡大するにつれ利益を生み出してくれる、いわばキャッシュカウ的な存在だと言えるでしょう。しかも今後も需要は更に伸びると考えられるので、「成長するキャッシュカウ」と考えたらかなり魅力的な事業だと言えそうです。

では、利益率ではRA事業に劣るRT事業はどうでしょうか?個人的に、今後の成長のキーになってくるのは、むしろこのRT事業だと思っています。
今はRT事業はアフィリエイトサイトであるPRESCOの運営をメインとしたうえで、主に医療人材系の広告業界においてRPAサービスの提供を開始していまが、会社としては今後は他の広告業界でも順次RPAサービスを提供し、更に広告業界とは別の業界においてもロボット化を推進していくことを企図しているとも考えられます。「アドネットワーク事業」から「ロボットトランスフォーメーション事業」へ名称を変えたのも、今後広告業界以外のエリアにも進出して、色んな産業をロボット化を通じて再定義していくぜ!という気持ちの表れなのかもしれません。

オンライン広告業界以外の新規の事業分野に入り込んでロボット化を推進していくことは簡単ではないと思いますが、長期的に大きく成長していく可能性も秘めていると考えています。

3. 積極的な資金調達を行う理由

では、そんなRPAホールディングスのキャッシュの流れはどうなっているでしょうか?直近の連結CF計算書を見てみましょう(丸々貼っちゃいますw)。

営業CFはちゃんと出ていて、営業利益とほとんど相違ありませんね。本業からしっかりとキャッシュが入っているので、会社としてはなかなかいい状態だと思います。

投資CFを見ていると、RPAのライセンスであるソフトウェアの取得に3.5億円投じており、買収にも12.6億円を投じています。買収した会社は、「ディレクト」というネットメディア企業です。具体的な買収の目的は定かではありませんが、会社は「ロボットトランスフォーメーションを加速化するのに最適なシナジーが得られるため」と説明しています。このディレクトのメディアをRPA化して、アフィエリエイトの成果を高めていくのが狙いなんですかね。
ちなみに、この買収でのれんが11.8億円発生しており、5年で償却されているので今後年間2億円程度の償却負担が出てきます(キャッシュが出ていくわけではないのでそこまで気にする必要はないでしょう)。

そして着目したいのが財務CF。十分営業CFは出ているものの、16億円を借入、32億円を株式で調達しています。株式の調達は、最近よく見るMSワラントの行使による調達です。これらの調達の結果、割と大きい買収を行なっているにも関わらず、BSのキャッシュ残は大幅に増えています。

今年3月にも10億円の私募債発行により資金を調達しています。なぜここまで積極的な資金調達を行なっているのでしょうか?理由は大きく2つあると思っています。

①急激な事業拡大に伴う運転資本の拡大に備えるため
②新規事業への投資資金を確保するため

売上高が急激に増加している会社は勢いに乗っているので、このままどんどん売上伸ばしていくぞー!となるかと思います。しかし、そういう会社こそ油断してはいけないのが「運転資本の急激な増加」です。
超簡単な例でいうと、売掛金の回収サイトが2ヶ月、買掛金の支払いサイトが1.5ヶ月の取引条件下で、1億円で仕入れて2億円で売る場合、キャッシュを1億円持っていなければ資金ショートしてしまいます。なので、売上の急拡大時はある程度資金に余裕を持っておかなければならないのです。売上金の回収サイトが支払いサイトよりかなり短い場合等は別ですが。
RPAホールディングスのような売上が倍々で成長しているような会社なら尚更です。この運転資金を確保することは積極的な資金調達を行う理由のひとつでしょう。

2つ目が新規事業への投資資金を確保するためです。先述のとおり、RPAホールディングスは今後、RA事業を基盤として事業拡大しつつも、RT事業にも注力していくことを考えているように思います。RPAにとっての「新規事業」は、ロボット化を通じて既存の様々な産業を再定義していくことだと思われますが、この新規事業を行うにあたっては、とにかく人員や開発費等のコストがかかってきます。
営業CFは十分に出ていますが、運転資金を確保する必要性があることに鑑みると、外部からの資金注入がない場合はチマチマした投資しかできないかもしれません。重要な成長フェーズでそうならないためにも、レバレッジをかけて大きく勝負に出ようとしているところなんでしょう。中途採用ページを見ても、現在新規事業立ち上げのプロデューサーのみを募集していますね。

とまあ、非常に勢いがあるし将来性もあるいい会社だと思うのですが、UUUMと同じく株価が高い。。。
先月かなり上がったのもあり、すでにPER200倍超えの状態となっています。

これはあくまで私の考えにすぎませんが、翌期以降、RT事業の不振が原因で予想利益を達成できなくなった等の要因で株価が下がった場合は買うチャンスと見てもいいのかなとか思っています。RT事業は新規事業の立ち上げの段階でコストが先行して赤字になる可能性もありますが、あくまで先行コストが発生しているにすぎず、今後大きく利益を生み出す可能性があるので、そういった要因で市場の評価がひと段落するようなことがあればチャンスなのかもしれませんね。

ということで、本日もお読みいただきありがとうございました!

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