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#14うつくしいハイヒール

神奈川県の横浜でパーソナルスタイリストをしています、Caoliです。
パーソナルスタイル=おひとりおひとりへの「似合う」のご提案をしています。

赤いエナメルのパンプスを手放すことにしました。
KiBERAというセミオーダーブランドのもので10年近く履いていたのですが、表面に亀裂が入ってしまったので諦めることにしました。

赤いパンプスは「持っておきたいリスト」のひとつなので新調したいのですが、まずまず難のある足なのと、10年前とは筋肉の仕様が変わってしまったので、ヒールの高さを7センチでキープするか低くするかも問題です。

23の初夏から29の冬まで、ちゃらんぽらんとですが社交ダンスを嗜んでいました。
就職活動もバレエシューズと履き替えつつ乗り切ったくらいで、パンプスという靴型には警戒しまくりの私。ピンヒールで飛んだり跳ねたりダッシュしたりするなら、ちゃんと足に合わせたものが欲しいと上野のKentで調整いただいたのがファーストダンスシューズでした。

私の足は肉質が柔らかく、素足に体重を掛けるとペタリと広がります。この状態で足幅を測ると4Eあります。
これをヒールのある筒に納めると、時間とともに靴の形に馴染んでいって、爪先へ爪先へと流れ落ちます。めちゃめちゃ痛いです。足長が21.5と22.0と小さいこともあって、足幅に合わせた大きい靴を履きがちだったのも良くなかったようです。
指先はみっちみちなので、指が動かず重心コントロールも利かなくなります。なので締めても痛くならない位置で足を締めて、靴底に足を留める必要があります。
甲が開いたパンプスでそれは限度があるので、踵もサイズを合わせてしっかり捕まえます。
適当に歩いても、着いてくるパンプス、脱げないパンプス、走れるパンプス。感動でした。ダンスシューズは外履きを想定していないため、靴底までスウェードの柔らかな革製なのでしなやかに足の方に合わせてきます。

これに加えて、体重の掛け方を習得すると一日中走り回れます。
アムロちゃんのヒールは減らないとか、Perfumeのヒールは飾り発言のエピソードをご存知の方もいると思います。球技をしていた方にも通じると思うのですが、瞬時に体勢をコントロールしようとすると、重心を踵に置くことってありません。
頭の下に背骨、背骨の下に骨盤、膝、そしてボールまできちんと積むことで、ヒールを履いた形のボディラインをキープすることができます。感覚としては、床ではなく靴の中に立っていて、靴がそっとサポートしてくれる感じ。
ボールというのは、ダンスをするときの重心のホームポジションなのですが、天啓のように「ここならずっと立っていられる✨」とある日突然掴む感覚っぽく、人によって説明にバラつきがあります。爪先立ちしたときの足首の真下とか、母指球とか、私の場合は横アーチと縦アーチが重なるいちばん凹んでいる辺り。

ボールの感覚は失っていないので、靴の中に立つことは今でもできます。ただそれをキープできるだけの筋力と体力はありません。
冬頃、別のパンプスで歩く自分がショーウィンドウに映るのを見てショックだったんですよね。安いパンプスなのにあんまりパカパカしないものを引き当てられてラッキー♪と思っていたのに、いつの間にかパカパカさせない歩き方に戻ってたんですよ。ヒールの奴隷です。ほんとにショックでした。

7cmを履きこなす筋力を取り戻すか(単純な脚線としてもその方が美しいに決まっている)、無理な歩き方をしなくなるローヒールにするか、当の本人としては究極の選択です。
個人的な趣向としては、足首グネったり、膝が割れたままハイヒール履くくらいならスニーカーでいい。履くならキめたい。

ジミー・チュウもマノロもルブタンもうつくしいけれど、どうせなら履き方までうつくしいのが私の理想なのでもう少し悩みますというお話でした。

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