提案2

『「麻・大麻に関するガイドライン」のご提案』を読んで

まずは示唆に富む、この『「麻・大麻に関するガイドライン」のご提案』を一読して欲しい。その上でこの文を読んで一緒に考えて頂ければ幸いです。

↓↓↓『「麻・大麻に関するガイドライン」のご提案』↓↓↓

提案内容は、

① 違法な薬物に関する報道については、「マリファナ」という用語を用いて頂きたい。

② 神事や伝統文化を支える農作物に関する報道については、「麻(大麻)」という用語を用いて頂きたい。

の2点で、その目的は、
〈「農作物としての大麻」への理解を求めると共に、大麻という「言葉」への拒否反応を少しでも軽減すること〉であり、〈様々なご意見あることは承知していますが、このままの状態では「日本人の営みを支え続けてきた農作物」が失われてしまうという危機感が強い〉からだという。

そもそもの問題として「農作物」とは何かってところから考えると、田畑で作られる作物全般というのが一般的な定義なのだけれども、現代農業においてはプラントなどを活用した工場野菜などもあり室内外で作られる作物全般は農作物ということになるのかもしれない。

そして各作物を大雑把に分類すると普通作物・飼料作物・緑肥作物・園芸作物・工芸作物・特用作物といった区分けがなされたりもするし、違った分類法やさらに細分化された分類法もある。大麻は漆などと同じく特用作物かな。

そのような中で簡単に言ってしまえば「大麻」は大麻という植物の総称。使用部位や使用用途が様々に分類されるだけで室内であろうと畑であろうと何目的だろうが栽培する以上は当然農作物にすぎない。

「農作物としての大麻」の反対語は「農作物ではない大麻」ということになるだろう。それでは「農作物ではない大麻」とは何だろうかということになるが、それは野生の大麻、雑草としての大麻、あるいは化学的に合成された大麻(そんなのあるのか?ないけどね)ということになるように思う。

そう考えると「農作物の大麻」を麻(大麻)といい、嗜好品としての大麻はマリファナと呼ぼうという呼びかけはおかしなものと言うしかない。繊維型であろうと医療型であろうと「農作物としての大麻」にすぎないからだ。保健所とかのポスターや看板で見かける「不正大麻」はまた定義が少し違うし、過去においては大麻と印度大麻という区分けがされていた。

あえて定義付けするなら「2018年の日本における大麻取締法下における農作物としての大麻」ということになるのだろうか。しかし、それでも大麻とマリファナを呼び分けるには疑問は残る。「マリファナ所持の疑いで大麻取締法違反の疑いで捕まったけど大麻はマリファナじゃ無いから」ということには違和感を感じる。

なぜなら、マリファナ取締法ではなく大麻取締法だから。とりあえず大麻取締法とか家庭用品品質表示法とかは置いといて、ってことかもしれないが、法との関係性は避けては通れないだろう。

それに、「大麻取締法」における大麻の定義では〈「大麻」とは、大麻草(カンナビス・サティバ・エル)及びその製品をいう。ただし、大麻草の成熟した茎及びその製品(樹脂を除く。)並びに大麻草の種子及びその製品を除く。」であり、法に則すのであれば「大麻草の成熟した茎及びその製品(樹脂を除く。)並びに大麻草の種子及びその製品」は大麻ではないという解釈すら成り立ってしまう。言うなれば大麻取締法においてはいわゆるマリファナこそが大麻ということになってしまう。

まぁ、普通に読めば、「全部大麻なんだけど、茎と種、それから作った製品はOK」ってことだ。

また、面倒なことに「家庭用品品質表示法」においては大麻は麻ですらなく「指定外繊維(大麻)」という扱いとなっているのは『「麻・大麻に関するガイドライン」のご提案』に書かれているとおりだ。

そして広義の麻は植物繊維全般だし、狭義では大麻のみ。現状、大麻は麻であって麻でなく、麻じゃ無いけど麻で、、、という混乱の中にある。

僕はなぜそうなっているのかという歴史軸や現状、そして国内だけでなく海外の動きも含めた上で議論していくためのたたき台としてこの『「麻・大麻に関するガイドライン」のご提案』を捉えている。大麻の理解を深めるってそこからでしょ。全部大麻なんだもん。その上で区分けしていけば良い。

共通の認識と言っても良いけど、共通の定義も無い中でその上に何かを積み上げても机上の空論、砂上の楼閣になってしまうだけだ。

日本における大麻の歴史軸の中で定義するのであれば法制度的には明治以降〜大麻取締法制定までの期間、大麻の繊維利用と医療・嗜好の区分けは大麻と印度大麻としておこなわれてきた。現在では繊維利用を含めた産業用として「ヘンプ」、医療用として「カンナビノイド」、嗜好用は「マリファナ」とか、、、隠語が多い。とはいえ大麻は「カンナビス」だ。

だから、実はカタカナというか外来語で統一させて「大麻はカンナビス、嗜好用はマリファナと呼んでください。医療用はカンナビノイド。私たちは大麻のことをこれからヘンプと呼びます」ならなんとなくサクッといきそうなもんなのだけれども、「大麻」という言葉を、定義の曖昧な「農作物としての大麻」という定義の上に重ね、ただでさえ混乱している大麻という言葉を限定使用、そして麻という言葉を自分達だけのものにするための理屈付けに感じてしまうのだ。

誤解なきように言っておくが、僕はいわゆる大麻活動家では無い。また、「吸えばわかる」という考えにも与しない。また大麻取締法に基づかない栽培を推奨する立場では無いし、嗜好目的の利用を進める立場にもいない。ただし、大麻取締法は当初目的とは管轄も運用も変わっている変な法律で免許保持者にさえ負担をかけてしまう法律だ。これから先、混乱を招かないようにゆっくりと非犯罪化くらいになっていけば良いと思うが、それはそれは別の機会に。

また、日本におけるメインカルチャーの中では大麻の喫煙文化や習慣は無かったと考えているが、地域や宗教をはじめある意味閉じた環境下での文化や習慣の中にはあった可能性は大だが、それもまたの機会に。

そして、〈「日本人の営みを支え続けてきた農作物」としての大麻〉として多くの文献や資料があり、大麻が日本の基層文化を形成してきた重要な作物のひとつであることは間違いないことだと考えるけれども、だからといって大麻=農作物としての大麻、大麻≠マリファナの定義は問題があると考える。

他の麻類と区別をつけたいのであれば「日本麻」といった言い方も提唱できそうだし、それでマニラ麻やジュート麻などとの区別はつく。また、マリファナは「貧乏人の煙草」という意味合いもあり、日本から世界に発信するのであればマリファナではなく学術的名称でもある「カンナビス」で良い。

「ガイドラインの策定」について、例えば、薬物依存の問題についてマスコミに向けてまさしくガイドラインを提示した「依存症問題の正しい報道を求めるネットワーク」の例をあげると、発起人を羅列するとともに【望ましいこと】【避けるべきこと】と題された「依存症問題の正しい報道を求めるネットワーク」からのマスコミ向け提案をおこなっているけれど、ネットワークでまだまだ協議を重ねてより良いものを生み出そうとしているし、働きかけをおこなっていたりもする。完成形はあるようで無いような現在進行形の動きだ。

↓↓↓「依存症問題の正しい報道を求めるネットワーク」↓↓↓
http://izon-hodo.net

そんなこんなで〈「農作物としての大麻」への理解を求めると共に、大麻という「言葉」への拒否反応を少しでも軽減することが目的〉なら方法が違う。「大麻にもいろんな用途があるんだよ」ってことを広めれば良いだけ。まぁ、それが大変なことではあるのだけれども。

〈様々なご意見あることは承知していますが、このままの状態では「日本人の営みを支え続けてきた農作物」が失われてしまうという危機感が強い〉というなら排除の方向じゃなく理解してくれる人の分母を増やす方向を目指す方が良い。

社会的にまだまだ少数派のさまざまな観点から大麻に関心のあるいろんな人や様々なご意見を汲み取りきれない状態のガイドラインはやはりまだまだたたき台。大麻取締法制定以降70年かけて現状が生まれてきている中でいろんな問題も生まれている。一足飛びにではなく、叩いて揉んでほぐして撚って織って、、、気の遠くなるような作業していかないと良い布にはならないように感じる。

『「麻・大麻に関するガイドライン」のご提案』はマスコミ向けというだけではない。大麻をどう考え、どう理解し、どう未来へ伝えていくかを考えていくための大きな問題提起だ。

真摯に受け止めて、考えていきたい。

※まぁ、言いたいことは実は一年前とあんまり変わらなかったりして。興味ある人は下記もfacebookで読んでみてください。

↓↓↓facebook2017年6月2日の投稿。↓↓↓

「※コメント欄も是非読んでみてください&タイトル変えましたm(_ _)m」

《大麻生産者らが「大麻の定義」を問題提起》

https://www.facebook.com/permalink.php?story_fbid=645799385612626&id=100005477102556&comment_id=798752396983990¬if_id=1527211059963066¬if_t=feedback_reaction_generic


意見・感想・反論・賛同、などなど、コメントもいただけるとありがたいです。サポートいただいたものは資料購入や取材費などにしていきます。