短大生時代①

中学から高校にかけて、母がガンになり術後も体調不良が続いてとても辛そうな様子を見てきた私は、進学先を食物栄養科のある短大にした。

新入生歓迎会で、私は出会ってしまった。
久々に心を鷲掴みにされた感覚。

そこで踊る女性の笑顔、首から指先までのラインの美しさ、男性の背中のラインの美しさと対照的な力強いダンスに、息をするのも忘れるほど釘付けになっていた。

知り合いも誰もいない状態で、私は『競技ダンス部』に入部した。

本来なら、初心者である1年同士のカップルになる所、主将の鶴の一声で私は2年生の先輩と組む事になった。

先輩と組むと言うことは、2年生と同じステージに立つと言うこと。
初心者だからと言う言い訳は通用しない。
基礎の習得が出来た頃から、週に3日ダンススタジオへ通う日々が始まった。

スタジオでは、競技ダンス部のOBOGが先生として働いていて、若手育成の為に格安で(月謝を払っていなかったかも)指導してくれていた。
スタジオへ通えるのは2年生以上。先生が付いているカップルはベーシックと呼ばれる基本ステップ以外に、様々な技を組み合わせアレンジされたルーティーンと言うステップを踊る事ができる。

夢中で踊った。鏡の前で体の動きを見てどこが違うのか、筋肉をどう動かしたら理想の動きが出来るのか研究の日々。あの時の私には、「成長」「上達」と言う言葉しか見えていなかった。

ルーティーンを覚える事から始まり、組んで踊る事に慣れるまでカップル練習が夜遅くまで続いた。
私たちカップルが、本当のカップルになるまで時間はかからなかった。
しかし、部内恋愛禁止!だったので、部活中はそっけないフリ。部活後スタジオへ向かう途中から、二人の時間を楽しんだ。
その緩急が、私には堪らなく萌えた笑

短大生時代②へつづく

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