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【Voicy】#個人か組織か チーム戦で輝けてこそ個人の能力が活きる(2021.10.28放送)

こんにちは、吉塚康一です。私は会社経営の傍ら近代史を研究し、「百年ニュース、毎日が100周年」という放送をお送りしています。本日はVoicy編集部が募集中の「#個人か組織か」というテーマで放送を収録してみたいと思います。タイトルは「チーム戦で輝けてこそ個人の能力が活きる」です。よろしければ最後までお付き合いをお願いします。

さて「個人か組織か」ということです。日本人の働き方が今大きく変わっていると言われています。働き方改革の一環で、ワークライフバランスを実現する「自由な働き方」を選ぶ人が増えていると言われます。

フリーランスや自営業、個人事業主という働き方が増えて、会社員という働き方が減っているというニュースに触れることがあります。実際直近のニュースでは、クラウドソーシングの仕事依頼サイト「ランサーズ」の統計で、2021年の日本のフリーランス人口が1,670万人になった、昨年に比べて約600万人も増えた、と報じられました。日本の労働人口は総務省統計局の集計で、2020年の年間平均で6,868万人とされていますので、その急増ぶりに驚きが拡がりました。

実際東京で生活をしていますと、フードデリバリーの配達員として自転車で街中を駆け回る人たちが目に見えて増えています。これもフリーランスのひとつの形ということになるのでしょう。他にフリーのライターさん、ブロガーやアフィリエイター、Youtuber、フリーのSEやプログラマー、あるいはフリーのWEBデザイナーなど、新しい職業と言えるものが近年増加しているのは間違いありません。

しかし、本当にこれが大きなトレンドなのでしょうか。先程の「ランサーズ」のフリーランス人口の統計ですが、直近で600万人増加した要因は、いわゆる「自由な働き方」の広がりなのか、ということです。これは明らかに違います。当然ですがコロナウィルスの感染拡大による、一時避難としてのフリーランス増加が主因なのは間違いないでしょう。

実際のところ2018年に1,151万人だったフリーランス人口は、コロナが始まる前まで少しずつ減少し、2020年には1,062万人になっていました。そこから突然コロナで600万人増加したのが実態なのです。一方で先程の総務省統計局によれば、会社員は2010年の5,500万人ちょうどという数字から、コロナ直前の2019年には6,004万人に500万人増加し続け、コロナで一転31万人減少したとされています。特に宿泊業や飲食サービス業に従事していた人の多くが職を失ったとされます。

これらの数字が示していることは明らかです。この10年間の日本の雇用の大きなトレンドは、フリーランスから会社員、つまり正社員へ、という流れです。その大きなトレンドのなかで、コロナウイルスによる打撃があり、一部の業種の職が失われ、他業種の正社員への転換が遅れているために、一時的にフリーランス人口が増加している、ということです。

そもそも働き方改革でいうところの「自由な働き方」は、正社員をやめて個人の資格で働きなさい、ということではありません。会社員すなわち企業の正社員に対して、柔軟な働き方を認めて行こう、ということで、これが本丸です。そしてこの10年間、それは大きく進展しました。大企業だけではなく、たとえば私自身が経営しているような中小企業においても同様です。

業務効率を上げて残業を減らすのはもちろん、産休・育休を制度倒れにせず実践する。フレックス制度による就業時間の柔軟化、テレワークの活用、オフィスのフリースペース化、服装はもちろん自由、研修を整備し個人の能力を成長させるエンパワーメント制度、そして大変重要なのが、社員が上下の別なくお互いを尊重し、活き活きと働くことが出来る心理的安全性の確保、これらは当社だけではなく、多くの企業が積極的に取り組んでいる内容です。なぜならば、そのようにして優秀な人財を集めることで企業自体が成長していけるからです。

そう考えると、冒頭の「個人か組織か」という二分法では現状を十分に表現できないのかも知れません。組織、すなわち企業がこの10年で大きく変化し、より多くの優秀な個人を引き付けている、ということでしょう。つまり優秀な個人は、自分の所属する組織を選ぶことが出来る。残酷な話ですが、逆もまた真なり、です。

ピータードラッカーを読むと、ビジネスはチーム戦であることがよくわかります。個人と組織とで真正面からそれなりの規模感のあるビジネスを取り合えば、組織が100%勝ちます。個人は組織と組むことで十分に自分の能力を最大限に活かすことが出来るのです。野球選手は究極のフリーランスかも知れませんが、その自分の能力を発揮する競技は、野球というチーム戦です。チームに貢献し、チームを活かしてこそ、自分も輝けるのです。

つまりフリーランスか会社員かは関係なく、個人は自分の能力を最も引き出してくれるチームすなわち組織と組むべきでしょう。優秀な個人は行き場に困りません。しかし逆もある。また今回のコロナ禍を考えると、いかに優秀であっても場所を失うことがある、つまり運も大きく左右します。気を付けたいのは、先程私が数字を挙げて説明したような大きなトレンドを見誤ることです。「個人か組織か」という問いに対し、安易に「これからは個人・フリーランスの時代だ、ニュースでもそう言っていた」と飛びついて、自分自身の能力・競争力を越えて、苦しい立場に飛び込まない賢さもまた生きる知恵かなと思います。

ということで、本日は「#個人か組織か」「チーム戦で輝けてこそ個人の能力が活きる」というタイトルでお送りいたしました。もしご参考になったのであれば大変嬉しいです。そして是非是非フォローを宜しくお願い致します。以上「100年ニュース」「毎日が100周年」吉塚康一でした。ご機嫌よう。


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