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Webディレクターが地方でフルリモートワークをして感じたこと

働き方改革と叫ばれる時代。

ストレスフルな通勤時間。

子育てしにくい環境。

このような時代の中、現役世代にとってリモートワークは、選択肢のひとつとして考えることが徐々に当たり前になってきました。ですが、実際のところ、全員がその享受を受けられるわけではないと感じます。

特に、クライアントとの対面コミュニケーションが多いWebディレクターは、デザイナー・エンジニアとは違い、リモートワークを取り入れるのはむずかしい職種ではないでしょうか。事実、ディレクターやマーケターといった職種でのリモートワークの求人は、デザイナーやエンジニアに比べてかなり少ない状況です。

他方で、デザイン思考といったキーワードが挙げられるようになり、Webディレクターに求められる知識やスキルは広がっている...。

働く環境が変化し、Webディレクターに求められるニーズが少しづつ変わろうとしている今、これからのWebディレクターには何を身に付ければ生き残れるのか?

今年4月からフルリモートのデザインチームで働き始めたWebディレクターの私が、考えてみたいと思います。

現在の職場環境について

まずはじめに、現在勤務している職場について紹介します。

私は現在、島根に在住し、今年3月に起業しました。
そして、Goodpatch Anywhereのメンバーとしても活動しています。

Goodpatch Anywhereは、「デザインの力を証明する」をミッションに、UI/UX領域に特化をしたデザイン会社としてスタートしたGoogpatchから2018年に生まれた、フルリモートのデザインチームです。

一緒に働くメンバーは、日本だけではなくポーランドやイギリスなど、世界に存在しています。また、メンバーそれぞれに、育児や介護などといった様々な環境が存在してます。

働く場所が様々あるということ以外(住んでいる場所・メンバーの環境)は、世間一般の企業と変わりありません。

そんなメンバー構成でも働けるのはフルリモートだからこそですし、リモートワークは手段であって、それ以外は普通の会社と何ら変わりありません。

フルリモートでのワークスタイル

では、どのようなツールを使って、どのような時間に仕事をしているのかを簡単に紹介します。

私が業務で使用しているツールは、以下のとおり。

コミュニケーション

Slack(チャット)
Zoom(ビデオ会議)
Discord(ボイスチャット)

デザイン

Figma(コラボレーションデザイン)

資料作成・共有など

Scrapbox(共有ノート)
miro(ホワイトボード)
・GoogleやOfficeなど

業務でどのように使われているかは、こちらの記事をご覧ください。

使用しているツールだけを見れば、リモートワークかそうではないかの違いは、あまりないように思っていただけるのではないでしょうか。

そして働く時間については、先述のとおり、メンバーそれぞれに環境があるためバラバラになることが多いです。

自分の場合は、朝夕は子どもの保育園へ送り迎えや楽しみな娘とのお風呂があるので、それ以外の時間がコアタイムになります。

一方、一緒に働くメンバーの場合、他業務やプロジェクトと掛け持ちをしている人もいれば(大体がそんな感じに思います)、固定の曜日は日中・それ以外は夕方〜夜に働くという人もいたり、そもそも海外に住んでいるので時差が存在したりと、人によってコアタイム様々です。

このように、人それぞれのスタイルを維持しながらみんなでプロジェクトに真剣に取り組むことができる働き方は、今の僕にとってはすごくありがたい環境です。

ただし、フルリモートで働けることにより、今までに感じなかった点もあります。

チーム全員が揃う時間が少ないため、案件の状況を共有したり一緒に作業をするために相手への配慮が必要になる場面が多くなりますし、チームで共有するためのコミュニケーション量も多くなってきます。

リモートワークとそうでない場合、それぞれに良し悪しはあるのかもしれませんが、合う合わないはあるだろうなぁと感じます。

スキルの高いメンバーに囲まれて感じる不安

そのような環境ですので、周りのメンバーのスキルが、非常に高く感じます。

例えば、ディレクターやPMの場合、クライアントにヒアリングしたりプレゼンすることが多いと思いますが、Anywhereでは職種は関係なく、担当がする・できる場合がほとんどです。

メンバー全員が、ディレクターのような存在を介さずクライアントとコミュニケーションを取れることで、コミュニケーション量が増え、プロジェクトのスピードが早くなると感じています。

Webディレクターからすると少し自分の立場がなくなってしまいそうな気がしますが、僕は、これが本来のあるべき姿なのかとも感じています。

このような状況下で働いていると、ディレクターのすることはマネジメント領域くらいしか活躍の場がなくなってくるわけですが、正直、マネジメントについても、メンバー誰もがやろうと思えばできちゃう感じではあるので、もはや、自分の価値を新たに身に付けていかないと生きていけない状況です...。

さらに、昨今、いろんな業界でデザイン思考といったキーワードが挙げられるようになり、クライアントとコミュニケーションを取る上で、Webディレクターだからデザインに関する知識や経験は不要というような状況ではないように感じます。

では、そのような状況でWebディレクターはどのようなスキルを身に付けて、生き残っていけるのか。

Webディレクターに求められる3つのスキル

Webディレクターとして最低限のマネジメントスキルやコミュニケーションスキルは必要だという前提で、僕は、ビジネスに対する理解力・UXデザイン・情報設計力の3つのスキルを磨いていくことが、Webディレクターが生き残る術だと感じています。

ビジネスに対する理解力

プロとして、クライアントに対して価値を提供しお金をもらう以上、クライアントを理解することのみならず、市場環境の理解は必須だと感じています。

具体的に言うと、クライアントがどのような価値基準・判断基準で物事を進めているか・組織体系がどのようになっていて、プロジェクトを推進していく上でカウンターパートや関係者がどのような人間なのか…そういったことを理解することは、とても大切だと感じます。

僕自身にそういったスキルが完璧に備わっているとはまだまだ思えませんが、自戒を込めて書かせていただきました。

また、マーケティングやブランディング、会計や経済の知識なども必要だと感じており、知っているWebディレクターと知らないWebディレクターでは、雲泥の差があるのではと感じます。

UXデザイン

2つ目はUXデザインです。

Webディレクターでも、UXデザインの知識やスキルは必要になると感じています(自分も勉強中です)。

Goodpatch BlogにおけるUXデザイナーの業務は、

・デザインプロセス全体の設計
・ユーザー調査の設計と実施
・ユーザー体験の設計
・サービスのコンセプトの設計
・ユーザーテスト設計と実施

と、書かれています。

ですが、Webディレクターがいきなりすべてをやれるようになるというのは、少々無理があるとも思います。

そこで、私個人の意見は、Webディレクターならまずはユーザー体験の設計から始めることが良いかと思います。理由は、ユーザーを知る・理解することは、どこにいっても活用できるスキルだからです。

さらに、「ユーザーがプロダクトやサービスを使う・必要とする状況をイメージし、その解像度を上げる」という姿勢でのぞむことで、よりよいアウトプットが出せるのではないかと考えています。

それができた上で、ユーザーの視点に立ってプロダクトやサービスを見ること(具体的には、ワイヤーフレームを作成する際に、この画面をユーザーが見たときにどう思うか?どう操作するかを意識すること)で、いろんな気付きが得られると思います。

情報設計(IA)力

また、ワイヤーフレームを書く際には、情報設計(IA)力を身につけることが必要だと考えています。

ワイヤーフレームと密接な関係にある情報設計。それを抑えずして、良いUIは作れないでしょうし、良いUIが作れないということは、良いUXは作れないことに繋がるとも言えるのではないでしょうか。

特に、情報設計においてはIAシンキングやIA100など様々な本が出ていますが、Anywhereに入り最初のプロジェクトで触れたOOUIには、とても感動しました。

知るのが遅すぎるとは思いますので、もっと広めたい!ということで、参考としてURLを貼っておきます。ここまで読んだディレクターさんは全員読んで損はなしだと思います。

最後に

Webディレクターの肩書きでGoodpatch Anywhereに応募し、なんとかなんとか仕事をさせていただいており、振り返りをするにはいい機会だと思い、Advent Calendarを書いてみました。

島根に移住し、訳あって今がありますが、なぜAnywhereに入りたいと思ったかだけ、最後にご紹介させてください。

以下、Anywhereの紹介ページからの引用です。

どこにいても「デザイン」はできる

育児や介護・家庭があるから
オフィスで働けない

東京にいないから
規模の小さい案件しかできない

クライアントに直接会えないから
上流からのUXデザインができない

ひとりでデザインしているから
「さびしい」

すべての「しかたがない」を跳び越えて
本当にやりたいデザインをしよう

あなたはデザイナーとして
自分の働き方を自分でデザインできる

Prove the power of Design.
デザインの力を証明するために。

この環境を用意してくれたGoodpatchには感謝しかありません。

そして、これからも、Goodpatch Anywehreでデザインの力を証明できるように、頑張っていこうと思います。

僕以外、みなさん優秀ですので、ご興味ある方はぜひご応募ください。
複業なんかでも大丈夫そうですよ。


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