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2018年のインフルエンサー事情についての考察

新年明けましておめでとうございます。

昔に比べ発信癖がなくなってしまい、FacebookもInstagramもブログも意識せねば発信ができない身体になってしまったが、今年はリハビリを兼ねて少し意識を高めていこうと思っている。

さて、新年にしかも久しぶりのブログにて書く内容かわからないが、昨年一番一緒にお仕事をさせていただいたであろう、インフルエンサーについての個人的な考察と、今後の展望を綴っていきたい。このブログを読んで意見があったり、指摘したい部分がある場合はぜひTwitterなどでメンション飛ばしてほしい。

ちなみに僕はインターネット広告代理店にて主にブランディング施策、販促施策を行っており、Instagram、YouTubeでファンを多く持つインフルエンサーと共に仕事をすることが多く、ここではその中で感じる個人的な所感を素直に書いていくことにする。


インフルエンサーとは

先に説明しておくと、「インフルエンサー」という言葉は主に広告・マーケティング業界でよく使われるようになり、最近は業界を問わず多くの人が使っているように感じる。Google Trendsによるとちょうど一年前あたりから話題になっているようだ。広告主や代理店がSNSでフォロワーの多くネット上で影響力のある人たちを総称してインフルエンサーと呼ぶ場面が多いが、それ自体を職業として肩書化している場面も最近はよく目にする。

検索キーワード:インフルエンサー」、期間:2016/09/04〜2017/12/27


インフルエンサーの定義も様々で統一されてないように感じる。僕らは概ねフォロワー1万人以上などその他複数の要件を満たすアカウントをインフルエンサーと定義しており、明確なラインを持ってインフルエンサーマーケティングを行っている。マーケティングを語る上でのインフルエンサーなので報酬を受け取った上での宣伝活動を行ったことがある人、行う意思のある人をインフルエンサーと呼んでいる。

インフルエンサーのことが語られる場合、多くは広告案件とセットになる。商品やウェブサービスなどのPRをする際、オンライン上での広告手法は様々だが、近年はインフルエンサーを使ったマーケティングが注目を浴びた。理由は様々だが、個人的には商品の魅力を一個人の声に変換してなおかつ確実に多くの人に届けることができるからだと考える。中にはステマとして消費者ファーストではない案件もあり色々な意味で注目をされているのだと思っている。

そんなインフルエンサーという存在だが、やはり様々な場面でとてつもないパワーを発揮しており、その影響力はオンラインに留まらずオフラインにも影響を与える。個人的にはインフルエンサーをさらに細分化して認識しており、以下のような図で表現することが多い。僕らがインフルエンサーと呼ぶ人たちは「一般人である」ことが重要だと捉えている。


インフルエンサーが2018年に局面するであろうこと

2017年は「インフルエンサー元年」なんて呼ばれることもあったが、2018年はどうなるのだろうか。個人的にはインフルエンサーの人数は増え続ける一方、二極化すると考える。すでにその流れはできつつある。

僕の周りでもインフルエンサーとしての収入が増え独立する人は多くいるが、やはりそこはプロの世界。誰でもフォロワーが多ければ稼げる時代は終わる(2017年はとにかくフォロワーを増やすことが収入に繋がると考えられていた)。フォロワーが一定数いることは大前提で、フォロワーの属性、年代、興味分野、その後の購買などアクションへの遷移率などが重要視される。今後はいいねがたくさん付くとか、そんなことはあまり重要ではない。

国内のインフルエンサーが活躍する舞台としてはInstagramが一位、次いでYouTube、Twitterは少し、と考えているがこの構図もいつまで続くかはわからない。「ゆうこす」の愛称で知られる菅本裕子さんや「はあちゅう」こと伊藤春香さんの戦略が最前線だと感じていて、プロのインフルエンサーとして生き残るためにはクロスメディアでのファン獲得はマストとなる。一つのプラットフォームに依存することはリスクとなることはすでに顕著になってきている。

一昨年書いたnoteにもあるように、プラットフォーム側は状況によって仕様が変わり、昨日できたことが今日できなくなったり、みんなが望む機能がなかなかリリースされなかったりする。AKB48の元メンバーの小嶋陽菜が個人のサイトを立ち上げたように、今後はプラットフォーム依存しないインフルエンサーも登場してくるのかもしれない。

また、「ステマ案件」を強要されることも多いらしい。代理店の知識不足、悪意のある広告主などが原因で誕生してしまうステマだが、お金をもらえるからと言って協力してしまうとインフルエンサーも共犯者となり、今後のキャリアに傷が付くことは確かだろう。広告周辺の知識も身につけていくことがインフルエンサーとして生き残ることには重要になってくるのではないだろうか。(詳しくは後述)


エンゲージメントこそすべて

インフルエンサーと仕事をする上でよく使われる言葉の一つに、エンゲージメントというものがある。僕よりも詳しい方はたくさんいると思うが、インフルエンサーマーケティングにおいて、この言葉も定義は様々である。インフルエンサーと仕事をする際、リーチ数をKPIとされることが現状では多いが、その状況も変わってくるだろう。YouTubeにおいてはチャンネル登録数よりも再生回数やコメント数、いいね数を重視される傾向があり、いかにフォロワーがアクションを起こすかが鍵を握るようになる。どのプラットフォームも同じだが、フォロワー数が多くてもエンゲージが少ないアカウントはかなり多い。アクティブなフォロワーのいないアカウントは影響力を持たないことと同義であり、インフルエンサーと呼べないのは残念だが当たり前だ。いかにエンゲージメントが高まるよう自身のアカウント戦略を考えていけるか、そのへんの差別化もポイントになってくると考える。


フォロワー数、いいね数以上に大切なもの

先に述べたようにフォロワー数などの基準をもってインフルエンサーか否かを判断しているのが2017年であったが、今後その状況は変わる。フォロワー数はたいした判断基準にならなくなり、いいね数やコメント数などの「単純な数字」自体も価値をなくしていく。前述した内容と矛盾するようにも感じるが、大切なことは数ではなく、質。その数字の裏側にある実態なのだ。

簡単な例を挙げてみる。20代前半の女性でフォロワーが3万人、平均で1000いいねほど付く人がいたとする。フォロワーの60%は男性で、自撮りや水着の投稿が特にいいねが付く。仮にこの人に化粧品の案件をお願いして自撮りと一緒に化粧品を投稿してもらえば、きっと1000いいね以上は付くだろう。リーチ数、エンゲージメント率をKPIにしていればこの施策は成功となるかもしれない。ただ本当にその数字だけを見て、施策が成功だったかどうかを判断できるだろうか。広告主としては商品のブランディングやその後の購買が目的だと思われるため、エンゲージメントの内訳を分析した上で成否を判断する必要がある。単純なフォロワー数、いいね数などだけ見るとそのブランドにとってのインフルエンサーかどうかは全く判断できないのだ。

2017年はリーチ数がKPIとして置かれていたため、フォロワー数とギャランティが比例する世界であったが、2018年はもしかするとその構図は崩れるかもしれない。

さらには、ライブコマースの登場によってインフルエンサーのコンテンツからの購買のCVRが可視化されるようになった。このことが意味するのは、今後売れる人、売れない人でオファーの数や発注単価が変わってくること。Instagramなどは購買導線の弱さから、購買率はそこまで重要視されてこなかったが、コマースでの実力が他の仕事への影響を及ぼすことになるだろう。


絶えない広告表記についての論争

先に述べたように、インフルエンサーの仕事の大半はPR案件によるものであり、ステマにならないよう努力する必要がある。「ステマか否か」の論争はかなり長く続いており、その背景には様々なプラットフォームの台頭にルール整備が追いついていないことがある。広告表記についてのポリシーは各メディアやブランド、代理店などによって異なるが、個人的には「PRと表記すれば良い」という考え方が嫌いである(急に個人的な感情)。消費者がコンテンツ(静止画、動画、テキストなどすべて含む)を見た際、一瞬で「これは広告なのか」とわかる必要があり、そうでなければすべてステマと言われても仕方ない。20〜30個あるハッシュタグの中に紛れて「#PR」とあっても誰も気づけなければそれはステマだ。その他、個人の感情を操る行為(商品が良かったと書かせる等)も同じく広告ルール的には違反行為だ。この分野に詳しくなりたい方はJIAAWOMJのガイドラインを読んでいただければと思う。
違反広告の責任はインフルエンサーだけでなく、そのブランドまで負う必要があるため、広告表記についての勉強会などはもっと積極的に行い、インフルエンサーも積極的に参加すべきだと思っている。
また、余談だが広告表記とは別で薬事法関連についても厳しい目を持って取り組む必要がある。詳しくはググっていただきたいが、薬事法的にグレー、いやクロな案件は多数存在していて現状はカオスと化している。


さらに需要が増す実名レビュープラットフォーム

インフルエンサーが果たす役割は情報の拡散だけではない。各プラットフォームにおいて、数々のレビューが存在する今日、インフルエンサー自身によるレビューの価値が高まってくる。レビューといえば食べログやAmazon、@cosmeなどを参考にする機会が多いと思うが、どれも匿名でのレビューである。匿名のレビューのメリットもたくさんあるが、その情報の出どころがわからない以上、信用していい情報かどうかの判断が難しい。一方実名レビューはその情報の信用度が非常にわかりやすい。書籍の帯などでよく「◯◯さん絶賛」などと記載してその書籍自体の価値を高めることにも実名のレビューが使われている。Rettyはその分野にいち早く目をつけ食べログとの差別化を図った。今後匿名実名ともにレビューは存在する必要があり、実名レビューの存在感は増していく。その中でインフルエンサーによるレビューの価値は高まってくと考える。


今後期待するプラットフォーム

個人的に2018年以降、インフルエンサーの活躍の舞台として注目しているプラットフォームがある。結論から言うと、動画メディア。特にYouTubeとライブ配信プラットフォームには注目している。

今更YouTubeかと思う読者も多いと思うが、他のプラットフォームに比べまだまだインフルエンサーとして成り立っている人は少ない。参入障壁が高いというのも事実だが、だからこそ価値が高い。
最近各プラットフォームのフィードを眺めていても、InstagramやTwitterなどに多くある静的なコンテンツは真実か否かの判断が難しく、動画コンテンツは嘘をつけないと感じている。動画コンテンツには人の動きの癖や声のトーン、表情など多くの情報が含まれており、コピーが難しいのだ。
ライブ配信に注目している理由も同じで、リアルタイムで閲覧者とコミュニケーションする必要があり、偽物のコンテンツやコピーコンテンツが生まれにくい。情報の信用度が鍵になると考えているため、静的なコンテンツよりも動画コンテンツに注目している。

動画コンテンツではYouTubeが頭一つ抜け出している感じがするが、ライブ配信プラットフォームに関してはまだどの企業も試行錯誤をしている最中で、2018年の戦略次第では勝敗が着いてくるのではないかと考えている。SHOWROOMやLINE LIVEが台頭しているのは配信者への報酬還元が刺さっていると考えており、そのへんもキモになってくるのではないだろうか。


稼げるプラットフォームに移行しよう

2017年はインフルエンサーにとってバブルの年であった。まだバブルは続くが、そう遠くない未来にそのバブルは崩壊するだろう。

インフルエンサーとして仕事していくためには広告効果が求められる。広告効果も以前より可視化されるようになってきた。広告効果が可視化されやすくなれば費用対効果が見込める人の広告単価は上がっていく。つまり、数字がより可視化されるプラットフォームでファンを集め、数字は積極的に公開し、単価を上げていくべきだ。効果があると主張できればブランド側や代理店側への交渉力も強まるだろう。

このnoteのようにコンテンツに対して読者からお金をいただくか、コンテンツ自体は無料で提供し、広告費で稼ぐか。今も昔もスタンダードなマネタイズは二択だ。ファンを大事にし、信頼を築き上げて来た人が報われる世界が訪れてほしいと思う。


最後に

2018年はこちらのブログでもインフルエンサー関連の情報や個人的に注目するサービスなどについて触れていこうと思っている。
最後に宣伝になってしまうが、2017年12月に「to buy」というメディアを立ち上げた。インフルエンサーが愛用品を紹介していて、そこから商品がそのまま購入ができるメディア。背景としては、消費者としては広告案件よりもインフルエンサーの愛用品が知りたいという声が多い一方、インフルエンサー側も愛用品情報をまとめておける場所がない。さらにはそのまま買える場所があったら良いねということで今回の立ち上げに至った。

現状のインフルエンサー事情なども踏まえ、
・実名レビュー重視
・脱リーチ数至上主義
・購買導線のシームレス化
・購買への遷移率の可視化
・ファン属性の可視化

などを網羅し、これからのインフルエンサー市場の発展に貢献できればと考えている。

今後一切SNSをやらない人は別として、インターネットでの影響力を持つことはあらゆる場面で自分にチャンスをもたらすだろう。もちろん良いことばかりではないが、今日書いた話を他人事にせず、影響力を持った際には一度見直していただきたいし、自分にも言い聞かせようと思う。

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