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パッケージ化と個別性

 病院での支援がパッケージ化され、迅速に連携し効率的に結果を出すことを求められます。後輩たちも業務として求められることを実践しますが、本当のニーズは効率的に対処できるものではないことが多いと思います。
 ですが、個別化して対応していくと非効率になりパッケージ化では収まらなくなってしまいます。後輩には、パッケージ化されてしまった範囲で「業務が順調」=「ソーシャルワークができている」と勘違いして欲しくないと思うし、パッケージ化と個別性でその葛藤ができるように成長してほしいと思っていますが、葛藤することが苦手のようで・・・

コメントから

コメントをいただきありがとうございます
そして、この記事を開いていただいてありがとうございます
今回もいただいたコメントに関する僕の経験をふりかえってみます

「葛藤」が大事というけれど

コメント送っていただいた方も葛藤を大切に考えていると思います
ですが、後輩は葛藤することは苦手と・・・
葛藤はストレスですからね
近年はストレスを抱えない教育を受ける傾向にあると思うので
葛藤はしても効率的に結論を出すことが好ましくて
葛藤を抱えることは好ましくない印象を持つのではないでしょうか
なのに葛藤できることがなぜ大事なのか
ソーシャルワークを学ぶ中で「葛藤」「揺らげる力」
というキーワードを大事だと学ぶと思いますが
その意味も時代とともに変化しているように思います

みんな求めるものが違うから

SWが支援するのは「困っていて、支援を必要とする方」です
コメントいただいた方は病院で働いている方のようなのですが
例えば
病院は利益につながる働きを効率的に求めます
医師は医学的な判断によるタイミングで支援を求めます
患者さんは不安を受け止めてもらいながら支援を求めます
患者さんの家族は自宅の事情を考えて欲しいと求めます
受け入れてくれるところも事情を理解して欲しいと求めます
みんな気持ちが一つではありません

そんな中で「パッケージ化されてますから」で進めますか?
事情がそれぞれあるけれど、どう調整を判断しますか?

価値観が多様化してきたというけれど

30年前と比べれば、すごい多様化だと思います
若い世代からすれば、何が多様化?普通でしょ?
昔の人にとっての多様化でしょ?
なのかもしれない
昔の人にとって多様化してきたのであって
多様化に慣れない昔の人が大変なだけ
若者は多様化を理解できない社会や大人たちに大変だよ
個別に対処してると非効率だから
パッケージ化して効率化するのは当然では?
あとは個人が選択すればいいだけじゃない?
そんな他人事のような矛盾を当たり前に思っていないだろうか?

パッケージ化も個別性もない30年前

僕がSWとして働き始めた頃はパッケージ化と縁がなかった
個別性を大事にやれていたかというと・・
個別性もなかったように思います
個別性=馴れ合い のようなイメージでしょうか
30年前は精神疾患は「障害者」ではありませんでした
言葉も法律上も社会の認識も「障害」に遠かった
当然、地方の社会資源は皆無でした
精神科の病院の中でさえ個別性はなく「患者」だったと思います
「〇〇ちゃん」と馴れ合いの関係を個別化と勘違いしてるようだった

変化してきた30年

一人の「働いてみたい」という思いを支援しようとした時
院内と社会の「障害」をものすごく感じた
個別性を大事にしたいけど大変だった
そして個別性を大事にする支援が少しずつ実現できるようになる
けれど個別化してやっているといい変化は進まない
日本の医療費も日本の財源を圧迫し続けている
効率的に変化を進めるには機能分化、パッケージ化の仕組みづくり
質を落とさないようにするのは病院、施設の努力となった
言葉も法律も変わり資源もできて社会の認識も変化した
その変化を効率よくしようと更にパッケージ化は進む
個別性を尊重してパッケージ化に抗う人は「理想ばっかり」と煙たがられ

そして「葛藤」する意味は

そんな変化の中で「パッケージ化」も「個別性」も経験から意味を学んだ
どちらも大事な意味があるのだけれど
すでに存在しているものの中で始めていくと
「パッケージ化」は単なる仕組みでただの歴史じゃないか
「個別性」はバイステックの7原則のひとつ「個別化」で学んだ
あくまで理想であって現実はそうもいかない
葛藤しないで割り切る考え方に慣れてきていないだろうか

葛藤することを求められても
ルールに従ってやっているのに
患者さん個人がそれで大丈夫か?と先輩に言われる

そんな「葛藤」になっていないだろうか
意味が違ってきていないだろうか

SW個人が何を思い専門職としてやっているのか
それこそ個別性を大事にして
気持ちや思いを言葉にしたり、考えを言葉にしながら
「人」「社会」「ルール」など割り切れない矛盾
どのように整理していくのか言語化を
後輩、若手中心に語ってもらいながら
先輩も共に学ぼうとする態度で語り合うことが大事ではないか


今回はここまでとします
僕個人の経験をふりかえりながら思うことを書いてみました
感じ方はたくさんあるはずです
こうでなくてはならないという狭い視野にならないように
あなたはどう思うかを大事に
してほしいと思います
最後までお読みいただきありがとうございました


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