見出し画像

ピアソラ生誕100周年&没後30周年記念 SHOW & MILONGA – Main Cast 渡辺えり (2022年5月22日 WATERRAS COMMON)

久しぶりに音楽をライブで聴きました。しかも普通のコンサートではなく、ミロンガ (タンゴのダンスパーティー) と一体化したイベントで、なおかつメインキャストに女優の渡辺えりさんを迎えたショーというなかなか贅沢な内容。そのどれもが素晴らしく、やっぱり音楽っていいなあ、と実感しました。

以下、ショー部分の感想を中心に書きます。

内容は2部に分かれ、第一部は「死の世界」、第二部は「生の世界」と題されていました。ストーリーや曲目は下記に掲載されています。

とにかく、渡辺えりさんの声が圧巻でした。曲の合間に入る短い語りだけで、場の雰囲気をコントロールしてしまう声。ひとたび歌えば、圧倒的な声量と歌唱力で詞の世界を表現する声。歌われた歌詞は日本語で、タンゴを日本語で歌うことには賛否が分かれがちですが、今回に関して言えば彼女の女優としての表現力が最大限に活きていて、異の唱えようのない出来映えだったと思います。

プログラムに載せられたご本人のメッセージには「日本語しか知らない自分は日本語で歌うことを決めて訳詞しました」とあるので、ご自身の監修による訳詞だったのでしょうか。特に「ロコへのバラード」「チェ・タンゴ・チェ」は、歌が完全にご自身のものとなっていることが感じられました。

演奏は鈴木崇朗 (bn)、三枝伸太郎 (pf)、吉田篤貴 (vn) のトリオ。コントラバスがいないことを感じさせない三枝さんの左手の重量感がすごい。奇をてらったところのないオーソドックスなスタイルの編曲で、曲の魅力を存分に味わうことができました。

そしてダンス。今回の公演をプロデュースした Gyu さんをはじめとして3組のダンスペアが登場し、歌、演奏と共に死と生のストーリーを表現していました。アクロバティックなリフトや争いを思わせる激しい動き、そして美しい所作が印象的でした。ショーの第二部には観客も一緒に踊ることの出来る時間が設けられていたのも、プロのダンサーが踊るのを観るだけとは違う形で「生」を感じることができた演出だったと思います。


本記事はブログとの同時ポストです。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?