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ドイツ代表に見るビッグデータサッカー

先月、ドイツ代表はスペイン代表にまさかの0−6で完敗。
たしかに同国は2018年のW杯以降、FIFAランキング15位くらいに甘んじてはいましたが、それでもこれは・・って感じです。

実はドイツは2014年W杯でぶっちぎり優勝した強豪国

実はドイツは強豪国です。2014年W杯の準決勝では、あのブラジルを7−1で下す衝撃の結果も残しています。
その原動力になったのは意外にもERPでおなじみのSAP社(しかもHANAですよ)。

2006年のW杯、自国開催にも関わらず3位の結果を受けてドイツは改革に着手。SAPのHANAを採用したこともさることながら、特筆すべきはセンシングシステムです。スタジアムには無数のカメラを設置し、選手のレガース(すね当て)にもセンサーを内蔵、90分で実に4,000万のログを採取できるようにしました。

これにより導き出された結論は「ボールの保持時間を最小化する」いわゆるパスサッカーです。スペインの強豪、FCバルセロナも得意とする、いわゆるポゼッションサッカーってやつです。

野球やバレーと異なり、ピッチを駆け回るサッカーはこれまでデータ化が難しいとされてきました。それに固定的な動きも少ない。データを取ることも解析することも難しいわけです。

しかもドイツが改革に着手したのは2006年のこと、まだIoTもビッグデータも馴染みのない時代です。この時期からデータサッカーに着手したというのはとてもチャレンジングですし、同時に優れた先見眼だなと思います。

ちなみに当時の記事がこれ、私はこの記事を見てビッグデータの可能性と未来を感じました。そのときの興奮は今も忘れられません。

データを使うサッカー、データも使うサッカー

そうして8年かけて改革をやりきり、2014年大会で花開きました。大会後すぐに、ビッグデータサッカーは話題になり関連書籍も多数出たようです(ついでにSAP社も一躍スポーツ分野でも脚光を浴びたみたいですね)。

世界では2009年あたりからビッグデータブームが到来、IoTも一気に普及していたこともあって、データを取ったり解析することの難易度は劇的に下がっていました。
手法さえわかってしまえばサッカーにデータを取り入れるのはそれほど難しくなかったということでしょうか、ドイツはすぐ次の2018年大会でベスト32(リーグ戦敗退)に甘んじています。
それまでずっとFIFAランキング5位以内にいた同国ですが、2018年のW杯以降は15位に後退、同国のアドバンテージはあっさりと失われたようにも見えます。

ドイツと日本はよく似ていると言われますが、ドイツのブンデスリーガでも求められるのは高い戦術理解と献身的なハードワークなど、確かに近しさを感じます。ブラジルやフランス、スペイン等のように華やかなスター選手が少ない印象もあります(もちろんいないわけじゃないですよ)。

そんなドイツの今回の惨敗。

いちサッカーファンとしても衝撃ですが、データ屋としては「ビッグデータサッカーの敗北」にも感じられて悔しさを覚えます。
いま一度立ち上がって「ビッグデータサッカー」でもう一度立ち上がってもらいたいです。

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