見出し画像

看護師のネクストキャリアを語る

iCARE メディカルスタッフのさいとうです。

この記事では、医療現場出身者のネクストキャリアとして、産業保健に興味のある方にむけて書きました。私が産業看護師になるまでの経緯をまとめています。看護師さんたちの参考になれば幸いです。


先日、iCARE10周年企画として、メディカルスタッフの紹介がありました。https://note.icare-carely.co.jp/n/n097a495aa583

その中で少しだけ私のお話もありますが、この記事ではもう少し深掘りしてご紹介しようと思います。(自分のキャリアを赤裸々にお話ししていて、恥ずかしいです苦笑)

1998年看護師になる

親の勧めもあり看護の専門学校に入りました。
当時は看護系大学も少なく、たたき上げの看護師を育成するような専門学校が多かったと思います。
寮生活をしながらの実習、国試勉強。古い宿舎の寮生活ならではの幽霊騒ぎなど思い出もありつつの看護学生時代でした。
無事国家試験に合格し、はじめは横浜にある病院に就職します。
そこで循環器内科に配属になり、60床+CCU2床、緊急カテや他科入院など案外忙しいところでした。
ただ、当時は今と比べても考えられないくらい長期入院が当たり前の時代。半分の30床はほぼ寝たきりに近く、なかなか退院できない方が多かったと思います。
みなさんが教科書でならったゴールドプラン21の全盛時代となり、介護保険や地域医療がより本格的に広まっていく感じでした。
 
ここで、看護師の専門性を考える毎日がありました。急性期の専門性もありながら、介護的要素もある病棟看護。
いつか、介護福祉士さんなど、別の専門家が病院の中で活躍する時代もくるかもしれない。そのとき看護師はなんの専門家だろう?
ちょうどその頃、日本看護協会の認定看護師制度が認知され始めていましたので、私は急性期医療の専門家になろうと、転職を決めました。
 

集中ケア認定看護師から予防に興味をもつまで
 

ネクストキャリアは循環器専門病院でした。
ここで認定看護師受験資格をクリアし、看護師6年目に集中ケア認定看護師となりました。2005年のことです。
CCUやHCUなどで認定活動をしていました。集中ケア認定看護師は、重症患者さんの生命を守り、専門性高く看護を行う責務があります。その中に「早期離床、早期回復」が掲げられていました。
病気をする前の姿にできる限り近づいて社会復帰できることを、今まさに病気になったばかりの急性期からイメージして看護する。
これが一番楽しかったかもしれません。
 
そして少しずつ、急性期からリハビリ、予防へと興味が変わっていきます。
病院は、患者さんの経験として記憶に残るとても重要な時である一方、長い人生のほんの数日です。
インパクトは大きいけれど、その前後の人生のほうが、よっぽど長い。
そう感じた時、「病院で患者を待つ」ことから、もっと手前でのアプローチに使命感を感じ始めていました。
肌感ですが、2010年くらいになってくると、動脈硬化性疾患の患者さんが若年化していました。
働き盛りが重症化して搬送されてきます。命が救われても、心機能は救われません。またあの時と同じように働きたい、子供の将来が心配だ。。と悩まれても、元の体には戻せませんし、働き方も変えなくてはなりません。
病院では、心臓リハビリ保険期間、約3ヶ月は寄り添えますが、それ以降は不安のまま社会に戻っていきます。

もっと幸せにできるのであれば、それこそ0次、1次予防の早期介入では。
集中ケアから完全にキャリアチェンジを決心させた時期でした。


医療のIT化の波
 

ここでは2つの気づきがあります。
1、遠隔モニタリングの登場
2、地域医療・救急・3次予防それぞれの場面でデータ連携のないジレンマ
 
 
1、遠隔モニタリングの登場
某企業さまで、ペースメーカの遠隔モニタリングシステムが開発されました。患者さんは寝室にモニタリング器械を設置し、就寝中にペースメーカーにリンクし心電図データを送ってきます。また、危険な不整脈が生じて電気ショックがかかった、フェラーが起きている、そういったアラートも確認ができ、患者さんはすぐに受診行動がとれるようになりました。

IT化が、患者さんにも医療者にもメリットを感じさせる体験をしました。

2、地域医療・救急・3次予防それぞれの場面でデータ連携のないジレンマ
ここでデータ連携について考えることが増えました。
クリニックでつい先日行った血液検査結果がわかれば、病院で二重に採血しなくて済む。他院の患者さん受け入れ前に、向こうの病院がとった心電図が見れたら。救急車内のバイタルがタイムリーに飛んできてくれればいいのに。内服薬のデータが一元化されててほしい。などなど。
 
そして看護師はいつも人手不足です。私は救急をみながら、合間に外来患者さんの生活指導を行ったり。
患者さんが手書きで書いてきた日誌をマジマジと読み、指導プランを速攻で考えて15分の面談をします。
もうこれ、日誌をオンラインでみれたら良いですし、遠隔で血圧や脈がチェックできたら工数が相当改善し、みんなの専門性が効率よく発揮できるのに。。。というジレンマです。

当時は、遠隔診療などを開発するスタートアップが情報発信をはじめておられ、私の心は完全に病院から外に向かうこととなりました。

iCAREと出会う
 

予防✖️ITをキーワードに、ネクストキャリアを考えるようになりました。
  
そこで見つけたのがiCAREです。当時は to C のオンライン保健室というサービスが主流でしたから、私は予防もやりつつ、ITにも触れていける素晴らしい環境だと思い、2018年に転職を決めました。

当時はまだ20名くらいの小さな会社でしたが、初めてオフィスで働き、同僚として出会ったのが、エンジニアのみなさんですし、カスタマーサクセスやセールスマーケ、コーポレートの皆さんです。
みんなで知恵と力を合わせて、お客様が便利だと思うものを作っています。私はもちろんコードも書けませんが、そんな私のこうなったら便利だなと思う要望を形にしてくれることは、とても魅力的で楽しいことの連続です。
そして私は、今までの看護師経験を生かし、仲間が作ったシステムを使いオンラインで健康相談を行っています。自分のケアを提供することで従業員さまが明るくなっていく、体調がよくなっていくという素晴らしい体験がたくさんあります。

臨床看護師から産業看護師へマインドセットを変える
 

ここは医療現場の方からすると、とても興味がある部分だと思います。
そして弊社社長山田にもとことん叩き込まれました笑
関わる方は、みな健康な方。患者さんではないですし、受ける相談も、病気ベースではありません。
胸が痛いと言われると、何を想像しますか?真っ先に、怖い病気を想像して、病院へ!と案内しそうになります。臨床マインドセットはときに見当違いなアセスメントをすることを知りました。もちろん、痛みの頻度、強度、労作時か安静時か、随伴症状は・・と思うことも大事。
気胸かもしれないし。帯状疱疹かもしれない。心理的な理由で胸が痛むこともあるし、器質的な理由もないかもしれません。例えば24歳の従業員が胸苦しいという相談をしたら、狭心症を想像することが第一選択でしょうか?
胸が痛いということを解決してほしいわけではなく、その奥に本人も気がついていない何かが隠れているかもしれない。相談の本質にたどり着く。
オンライン相談を通して、臨床マインドセットを壊す第一段階でした。

そして、産業保健は法律ベースです。臨床では、診療報酬は気にしても法律は気にしませんでした。
法律ありきであり、その法律を守ることで、従業員も企業も守られるのですよね。
ですので、to C サービスとしても、あまりにも従業員様に偏ったことはしません。患者側に立つ癖がついている看護師は、ここの切り替えが本当に難しく感じることが多いと思います。法律を守って安全配慮することも、健康に働くことも、会社や従業員が主役です。そこを第三者的な立場から専門性でサポートできることが大事なんですね。ようやく産業看護師マインドセットが見えてきた、この頃です。

いかがでしたでしょうか。医療現場出身者のネクストキャリア、わたしの体験を書いてみました。少しでも、産業保健に興味のある看護職の方々の参考になれば幸いです。

看護師20年選手、まだまだがんばります^^


現在さまざまな職種で絶賛採用中です。
iCAREメンバーがブログやtwitterなどで積極的に発信していますので、チェックしてみてください。
https://www.icare.jpn.com/recruit/

 


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?