yoshiko

アラフォーの妄想です。よかったらおつきあいください。

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  • 同じ月を見ていた

最近の記事

おじいちゃんの声援

実家がある狭い町の中で、祖父は名の知れた「先生」だった。祖父は誰からも「○○先生」と呼ばれていたし、殆どの学校の先生はわたしの祖父を知っていて、名字をみてよく「○○先生のお孫さん?」と訊かれていた。 祖父は主に中学で国語の教師をしており、小学校では校長も勤めていたらしい。もちろんわたしが生まれる前の話なのでにわかには信じがたかったのだが、掃除で校長室担当になった時、壁に飾られた歴代の校長先生の写真の中ににこやかに微笑む祖父を見つけた時は「ほんとだったんだ……」と驚いた。

    • わたしならね、の話。

      みなさんこんにちは。 おかげさまでTwitterのフォロワさんも3000人を超えました。いつもこんな平凡ないち主婦のつぶやきについてきてくださってありがとうございます。 TLがどんどん通りすぎてしまうのであまりフォロバできてなくてすみません。でも、ほんとうにありがとう。 うれしいです。 ところでこの度のアップデートで使えるようになったTwitterの新機能、みなさんはもうご存知でしょうか? あの返信できる人を選べる機能です。 最初、「わたしもついにエラバレシ人に!!」と一瞬

      • 空蝉の詩 ②

        お通夜とお葬式はあっという間に終わった。 親戚や近所のおじさんおばさんたちが慌ただしくしている間に終わってしまった、という方が正しいのかもしれない。 父は結局来なかった。 どうしても手が離せない仕事が入ってしまったそうだ。会社に泊まり込むことになるから行けそうにないと母に電話があった。 曲がりなりにも義理の母親が亡くなったというのにお葬式にも行かせてくれないなんてどれだけブラックな会社なんだろう。 いや。。そもそも、仕事なんて嘘なんじゃないか。 実は父と母の夫婦関係は既に破綻

        • 空蝉の詩 ①

          母方の祖母が亡くなったと知らされたのは、大嫌いな数学の授業中だった。教室の廊下に呼び出されてすぐ帰るように言われ、わたしは荷物をまとめていた。 「美波、どうしたの?」 隣の席の茜が心配そうに尋ねる。 「おばあちゃん、死んじゃったんだって」 帰るね、と大して重くないリュックを背負うと、クラスメイトの好奇の視線を浴びながら後方のドアへと向かう。 「美波」 小声で呼ばれて目を向けると、ドアのすぐ側の席の耀太がまた心配そうな顔をしている。 「連絡して」 うん、と頷くと、わ

        おじいちゃんの声援

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        • 同じ月を見ていた
          6本

        記事

          同じ月を見ていた⑥〈終〉

          話があると蒼一の家に行ったのは、火曜の夜のことだった。 指輪は受け取れない、と箱を返すと、蒼一は虚をつかれたような顔をした。 遼への想いに気付いてしまった今、何でもないふりをして蒼一の傍にいることはできない。 「ごめんなさい」 「……理由を聞かせてもらえる?」 蒼一はわたしの前にコーヒーの入ったカップを静かに置いた。 付き合いだして1年目の記念日に、一緒に買ったペアのコーヒーカップだ。 「蒼一とは別に……付き合ってる人がいたの」 「……あの美容師の人?」 少しの沈黙のあとに

          同じ月を見ていた⑥〈終〉

          同じ月を見ていた⑤

          月曜日の午後。 外は朝から雨が降り続いている。 わたしは会社を休んでいた。 あの夜からまだ開けられずにいる小さな箱を、手のひらの上に乗せる。蒼一のことだ。きっとわたしの左手薬指にぴったり合う、素敵な指輪なのだろう。 箱を元通りテーブルの上に置き、ベッドの傍らに投げられたスマートフォンを横目で見た。 遼からの連絡は、変わらずないままだった。 部屋着のまま、ゴロンとベッドに横になる。 どうすべきなのか、ずっと考えている。 いや、考えるふりをしている。。 もう、とっくに答えは出て

          同じ月を見ていた⑤

          同じ月を見ていた④

          金曜の夜だった。 仕事から帰り、シャワーを浴びた後、わたしはスマホと睨めっこをしていた。 あれから遼からの連絡はなかったし、わたしからも出来ずにいた。 ……怒ってるのかな。。 電話してみようか。。もうお店は終わっている時間だ。 でもなんて切り出そうか。。 そう思ってからもう1時間、緑のボタンを押せずに固まっている。 急に鳴ったインターホンの音に驚いて落としてしまったスマホを拾い上げ、こんな時間に誰だろうとモニターを見ると、蒼一がコンビニの袋片手に立っていた。 「体調

          同じ月を見ていた④

          同じ月を見ていた③

          「シャンプー替えた?」 ふいに訊かれてドキリとする。 「髪、いい匂いだなって思って」 「あぁ、うん……昨日ジムに行ったから。そのまま寝ちゃって」 「そっか」 咄嗟に嘘をついてしまった。でもうまく誤魔化せたみたいだ。彼、浅見蒼一はそれ以上何も訊いてこなかった。 遼と会うのは決まってサロンが休みの月曜の夜だ。わたしも急に残業になったり遼に別の予定が入ったりするので、もちろん毎週という訳ではないが、この前のように蒼一との約束と重なる時もある。 今日は火曜日。昨日、遼と会っていた

          同じ月を見ていた③

          同じ月を見ていた②

          「あっ、苗字」 「え?」 フラっと立ち寄ったサロンの受付で名前を書いているとそんな風に声をかけられて、わたしは顔を上げた。 「あっ……すみません。同じだなって思って」 「同じって?」 「僕の苗字にも、入ってるんです。ほら」 彼はそう言うと、胸の名札を指さした。『如月遼』と記してあった。 「ね?」 「あぁ、月」 わたしが答えると、彼は頷いて満足気に笑ってみせる。 「月島灯里さま、素敵なお名前ですね」 それが遼との出会いだった。 彼は今日スタイリストになったばかりだと言うの

          同じ月を見ていた②

          同じ月を見ていた①

          「いつおれのものになってくれるの?」 甘えるような試すようなそんな声だった。 「さぁ……」 わたしはそうはぐらかすとベッドの端に腰掛けてペットボトルの水をひと口飲んだ。 「……怒ってる?」 言葉とは裏腹に、唇の端をキュッとあげて何か楽しげな笑みを浮かべている。きれいな顔だ。いつ見ても見蕩れてしまうほど。如月遼。それが彼の名前だ。 「いつもその質問して飽きない?」 「今日は違う答えが返ってくるかもしれないでしょ」 「同じだよ」 「ちゃんと答えてくれるまで離さない」 遼はそう

          同じ月を見ていた①

          はじめまして

          の方もそうでない方も、こんにちは。yoshikoです。 今まであまり周りには言ってこなかったんですが、わたしは小学生のころから小説を読むのがすきで、自分でも小説紛いのものをたくさん書いては友達に読んでもらったりしてました。 noteの存在は前から知っていて、いつかわたしもまた書いてみたいなと思っていたのですが、それが今のようです。 アラフォー主婦による拙い妄想ですが、よろしければお付き合いください。

          はじめまして