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移動制約−20%の壁、データから見る経済活動と感染者対策のジレンマ

 経済活動を再開すると、多くのケースで感染者が再拡大する事例が世界的にも確認できる。人の移動によって人人感染が拡大するためだといえるが(人の移動が感染拡大の要因にならないというのは、希望的観測が強いのではないかと思われる)、Google社の人移動統計データと、新規感染者数の間に量的な関係がみられるかを確認したのが、下の図である。

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人の移動の1月後の新規感染者数を見ると、移動が増加するとそれが1月後の新規感染者数の増加に跳ね返るケースがヨーロッパの多くの国で明確に確認できる。逆に、移動が減少すると感染者数は減少していく。
この関係は、量的な違いはあれど、殆どの国で確認される動きとなっている。移動制限、ロックダウンは程度の違いはあれど「感染者抑制に効いている」といえるだろう。
問題は、一旦抑え込んだ状態から再度、人の移動を戻したときに感染者数を抑制できるかどうかである。この再拡大の基準となりそうなのが、マイナス20%以上に戻した際の動きの違いである。
つまり、5人に4人が移動を感染拡大前の水準に戻したときに、新規感染者数をコントロールできているかで国によって結果が分かれているようだということである。
現状で、それにうまく成功しているのはノルウェーハンガリーエストニア、ラトビアなどである。
東アジア地域では、日本が順調にこの管理に「失敗」しつつある中で、韓国は優等生的な状態になっている。よく引き合いにだされるニュージーランドは、依然、移動自体は平常時のマイナス30%程度にとどまっている。つまり、人の移動は完全に戻っていないのである。今後、NZの成否は多くの国で見られるマイナス20%を超えたときに、新規感染者数がコントロールされるかにかかっているといえるだろう。

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