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中小企業の事業引き継ぎ後におけるポイント(PMI)

みなさん、こんにちわ。小規模事業の売買プラットフォーム(準備中)「Bish」運営会社 代表のYoshiです。

みなさんは、「PMI」という言葉を聞いたことがありますか?
PMIとは「ポスト マージャー インテグレーション」の略で、M&Aなど会社・事業の買収、引き継ぎ後の新体制を構築していくプロセスのことを指します。

「サラリーマンは300万円で小さな会社を買いなさい」の著者でもある、三戸政和さんが主宰するサロンで、三戸さんご自身とメンバーによる実体験を聞く機会もあったので、中小企業のPMIに関するポイントをまとめます。

0. 新オーナーによる関与について

まず、目的を改めて確認しましょう。
今回の引継ぎがどのような目的かによって関与度が変わります。

既存事業とのシナジーなど既存事業との統合を進める場合は、ビジョンの摺り合わせから始まり、各機能別の分科会でシナジー案を出し実行に移していくなどやる場合もあるかと思います。
一方で、個人が中小企業を引き継ぐ場合は投資的な意味合いになるケースが多いかと思います。

その場合、最初は自ら汗をかいていく必要がありますが、オーナーのリソースをなるべくかけずに運営していく(もらう)ことが最終ゴールとなります。
その為、目指すところはハンズオン支援は基本無し、月次の数値管理だけ行っていくというイメージになります。

これを行う為には何が必要でしょうか?
一番のキーとなるのは「人」です。
会社の運営を、自分がいなくても任せることのできるキーマンが必要です。

その為、M&Aを進める際にはキーマンについて、以下のようなことも確認をしておくべきです。特に3つ目の報酬面での改訂が必要である場合、将来キャッシュフローに関わってくる=買収価額に影響が出るので、確認しておいて損はないかと思います。

・ オーナーチェンジ後も残るか
・ 何年くらい残りそうか
・ 報酬や待遇など条件面でのリクエストが出るか

1. 具体プロセス

中小企業の引継ぎにおいては特に、業務が属人的になっているケースも多く、従業員のケア業務フローの把握・整理が重要になってきます。これらを大きく4つに分けて順番に書きます。

(1)自己紹介

最初は基本的に「」や「外の人」といった見られ方をどうしてもしてしまいます。あなたのことを知らないので当然です。
なので、自分がどういう人で、何をやってきたか。今どういうことを考えて日々取り組んでいるかなど丁寧に自己紹介をすることが必要です。

また、あまり厳しい表情をいつもするのではなく話し易い雰囲気を作ることと、「昼休みは食堂で食べるので気軽に話しかけてください。」というように「いつ、話しかけてほしい。」というようなことを伝えておくと、従業員とのコミュニケーションがうまくいきやすいと思います。

(2)各社員との面談・業務確認

キーマンを含む各従業員との面談を通して、考え方や特性を把握していきます。特に中小企業の場合、家族や生活に直結していることも多く親身になって聞いていくということも大事です。各従業員との面談は、3-4回きっちりやったというお話も聞きましたが、2-3ヶ月は最低でもかけて従業員との心合わせをしっかりやっていくことが重要です。

また、業務フローやKPIの整理を面談でのヒヤリングを通じてしっかり行っていく必要があります。
有事の際の復旧策というのもありますし、業績が芳しくない時なども何をどうすれば改善できるのかを把握していく為です。

大企業ではしっかり整備されているところが多いかと思いますが、中小企業ではオーナー社長が感覚値としてもっていたり、従業員もきちんと把握していなかったりするケースもあり、しっかりとヒヤリングを重ねて整理を進める必要があります。

(3)商流の確認

内部の整理がある程度できたタイミングで、取引先や外部の信頼獲得に動きます。
自己紹介やこれからの方向性についてお話していくのですが、ここで重要なのは、業務や経営がしっかりと理解できているかどうかで取引先からの信頼に影響する。ということです。

何もわかっていないオーナーになった途端に契約解除なんてこともなきにしもあらずです。(2)の面談を通して、しっかりと内部の整理を進めるとともに、業務・会社運営についての理解を深めてから外にでましょう。

(4)会議体の確認・設定

会社の運営・成長において必要な会議体を設定していく必要があります。
設定していくのは、業務の確認で見えた重要な機能から取り掛かかるのがおすすめです。

一方、「必要な」と記載の通り闇雲に会議体の設定をしてしまうと無駄な会議と思われてしまう可能性もあるので、しっかりと最初は自分でファシリテートを行い、会議体の必要性の説明と生産性のある議論を行っていくことが重要です。

既存の会議体があれば、その延長線上という名目で設定するとやりやすいケースが多くあります。

2. よくある相談&留意点

ここからはオーナーチェンジに伴って発生する課題、解決に向けた留意点について書きます。

一番多いのが、オーナーチェンジに伴って給与や待遇面のリクエストがあがるということです。

「従業員の心を掴む為にも・・・」と思う心はあるかもしれませんが、ルービックキューブのように1つ動かすと「私の方が勤続年数が長いのに。」や「俺もあげてくれ。」というようにどんどんリクエストが上がってしまいます。

全員をハッピーにすることは難しいかもしれませんが、ここで大事なのは「なるべく全員が納得するロジックを作る」ということです。そして、従業員への説明はロジカルに、丁寧に行いましょう。

もう一つ注意しておきたいのが、基本給での支給は固定費となるため業績連動賞与といった形の一時的な報酬(変動費)でなるべく対応するということです。

会社を買ったばかりで、これから利益を出しながら継続運営していけるかどうかも不透明な中、固定費をあげるということは極力避けた方が良いでしょう。

真摯に向き合っても従業員が辞めてしまうというケースもあります。しかしそこは「誰かがやってくれるはず。」と割り切って、そのほかの対応を進めていくことも重要です。

3. まとめ

企業の売買はモノの売買ではありません。その為、旧オーナーの思いや、そこで生活をかけて働いている従業員達も含めて引き継いでいく必要があります。

事業を引き継いだ場合、独り新参者となるため最初は中々理解を得られずに苦労することや、頭を悩ますこともたくさんあると思います。
コミュニケーションを地道に重ねることでキーマンを味方につけ、協力者を少しずつ増やしながら乗り越えていくしかない、ということを改めて思いました。

プチ起業・事業引継ぎをご検討の方、まずTwitterのDMなどで是非ご連絡ください!

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