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メンタルクリニックに行った

最近、近所のメンタルクリニックに通院している。

初めてその病院に行ったのは7月の半ば。診察室で、私は訥々とこれまでの経過を話した。

思春期からずっと情緒不安定で、16歳から29歳まで精神科に通院していたこと。

昨年の春、調子を崩して実家に帰り、昔かかっていた病院に行ったら「うつ病の初期」と言われたこと。だけど、思うところあって投薬治療をしなかったこと。

その翌月から連載をすることになって、治療を打ち切って東京に帰ってきたこと。

それから少しずつ忙しくなって、特に今年に入ってからはとても忙しかったこと。本を出したこと。

先生(霜降り明星のせいや君似)は時間をかけてとても丁寧に話を聞いてくれた。

そして、「今のお話を伺っただけで、すぐに何病ですとは言えないんですけど……」と前置きをしてから話しはじめた。

この人は信頼できるな、と思う。今まで転居のたびに転院しては多くの医師と出会ってきたけれど、経験上、すぐに診断名をつけない医師とのほうが相性がいい。

しかし、その病院ではカウンセリングを行っていなくて、投薬治療しか打つ手がなかった。

私は投薬治療をしたくない。投薬治療を否定するつもりはなく、人によっては(おそらく今の私にとっても)それが必要なのだろうけれど、今は思うところあって薬を使いたくないのだ。過去にさまざまな種類の薬を服用してきた上で、そう考えている。

なので、それから病院には行っていなかった。


7月の末には週間連載が終了し、時間に余裕ができた。すると、どんどん調子が悪くなっていった。燃え尽き症候群だろうか。

他の病院を探せば良かったのだろうが、その元気がなかった。元気がないから病院に行きたいのに、病院に行くための元気がない。

延ばし延ばし、誤魔化し誤魔化しで夏を越え、10月に入って「もう限界だ」と思った。

投薬治療もやむを得ない。助けを求めて再び病院に行った。

3ヶ月ぶりに会ったせいや君似の先生を前に、私はまた、訥々と語った。途中で泣いてしまった。

私の長い長い独白を聞いて、先生は言った。

「お話を聞く限り、もしかしたらもうだいぶ前からうつ状態だったのかもしれないですね。忙しいときは気合いで乗り切ってしまって、ご自身も気づけなかったんじゃないでしょうか?」

そうなのかな。6月までの約1年間は調子が良かった気がする。だけど、ライターになれて浮かれてただけで、本当は前の病院で「うつ病の初期」と言われてからずっと、治っていなかったのかもしれない。

「ずいぶん『自分が周囲の評価に見合ってない』『もっと評価に見合う自分にならなければ』という気持ちに苦しんでるようにお見受けします」

たしかに、本を出してから「過大評価されてるな」と思う。詐欺師症候群の自覚もある。でも、そんなに気にしているつもりはなかった。思ってた以上にダメージ受けてる?

「吉玉さんはとても冷静にご自分を客観視できていると思います。でも、『思考と感情を切り分けるよう心がけてる』と仰ってましたが、どうしても思考は感情に引きずられるものだし、今はそんな自分を許してあげてもいいのでは」

そうか。認知の歪みが生じるのが嫌で、認知行動療法の考え方を実践しているけれど、今はまだ自分を律するフェーズじゃないのかも。

「会社員の方であれば休職を勧める状態です。しばらく休養を取ることは難しいですか?」

それは……怖い。新人だし、仕事しまくって実績作る時期なのに。今休んだりなんかしたら、もうどこも書かせてくれなくなるんじゃない?

怖いよ。


結局、今までどおりに仕事をしながら(休めそうなときはなるべく休む)、投薬治療をすることになった。


最後に、付き合いのある方々へ。

自分の不調には慣れているので心配ご無用です。特に気を遣わずに接していただけると幸いです。お仕事も、無理そうなときは早めにご相談させていただきます。いきなりバックれたりはしませんのでご安心ください。

どうか今まで通り、よろしくお願いいたします。


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